執筆:外為どっとコム総合研究所 小野 直人
執筆日時 2024年5月31日 14時40分
156.00円前後の支持帯は厚め?同レベルからのリバウンドを期待
米ドル/円、高値圏で不安定な値動き
鈴木財務相による「マイナス面が強く懸念される」との円安けん制発言や本邦の長期金利の上昇から、156.583円まで売りが先行しました。その後、低調な米国の国債入札から米金利へ上昇圧力が加わる中、全般的に米ドル高へ傾斜。予想を上回る米消費者信頼感指数も後押しとなって、米ドル/円は157.649円までレンジ上限を広げました。しかし、月末のポジション調整や株価の下落を受けて米ドル/円は156.366円まで下げ幅を広げました。(各レート水準は執筆時点のもの)
FXのライブ解説、米株S&Pの動きがきな臭い?リスクオフ相場到来か (2024年5月30日)
※相場動向については、外為どっとコム総研のTEAMハロンズが配信している番組でも解説しています。
不安定な株価動向にも注意
米国の利下げを巡っては、春頃は「年内2・3回」だったマーケットコンセンサスも、現時点では「年内1回程度」へ低下しています。もっとも、今後のファンダメンタルズ次第で利下げ回数やそのペースが変わるため、現時点で確定的なことが言える状況でもありません。引き続き、各種ファンダメンタルズを確認しながら米国の利下げを巡る流れを見極めることになります。また、足許、株式市場の不安定さが意識される局面が増えているように見受けられ、発表される米雇用データや企業景況感を受けた株式市場の反応も目が離せないでしょう。
米雇用情勢ですが、高頻度データである新規失業保険申請件数は22万人前後でこれまでのレベルから大きく変わっておらず、労働市場が大崩れしている様子はありません。ただし、失業保険継続受給者数が少し増加気味であるほか、一時緩んでいた労働市場の減速ペースが再び加速し始める兆候も散見されます。トータル的には「底堅い労働市場」との見方に落ち着くのでしょうが油断できません。
かたや、本邦については4月毎月勤労統計調査が注目されています。4月の消費者物価指数が前年比2.5%となる中で、実質賃金の上昇が物価上昇に追い付く格好になれば、日銀の追加利上げ期待が意識されて、円を押し上げる可能性もあります。
もっとも、本邦の消費活動が限定されているなど、米国とのファンダメンタルズのかい離を考えればまだ円売りが優勢な状況で、多少の調整はあっても米ドル/円は上方向を目指す流れが継続しそうな雰囲気です。
安易な売りは禁物(テクニカル分析)
米ドル/円は押し目買い狙い。米ドル/円は徐々に下値を切り上げながら、上方向を試す流れが続いています。156.00円前後には日足一目均衡表・基準線、21日移動平均線、短期上昇チャネルの下限などの支持線が集まっており、下方向のサポート力は厚めに感じます。156.00円割れの場面があるようなら、押し目買いを検討すべきところかもしれません。仮にチャネル下限を割り込んでも、50日移動平均線(30日時点:154.442円)レベルではサポートされそうで、安易な売りは禁物と考えます。かたや上方向は心理的節目の158.000円、159.000円が意識されそうです。
【米ドル/円チャート 日足】
出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」
予想レンジ:USD/JPY:155.000-159.000
6/3 週のイベント:
一言コメント
「大変待ち遠しい」ってほどではないですが、7月3日には新紙幣が流通し始めます。最新の偽造防止技術やユニバーサルデザインはどういったものなのか、実物で確認したいです。
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