執筆：外為どっとコム総合研究所 小野 直人
執筆日時 2024年2月22日 13時10分
英欧で金融政策差が拡大？ユーロやポンドは対ドルで200日線を意識
2月19日週のユーロ/円、ポンド/円は緩やかに下値切り上げの格好に
ポジティブな材料が特別あったわけではないが、住宅ローン金利の基準となる5年物の中国LPR（ローンプライム金利）の大幅引き下げに伴うリスクオンや、新NISAを囃した円キャリーの動きをベースにユーロ/円は162.932円まで年初来高値を塗り替えました。かたやポンド/円も、190.226円上昇幅を広げました。（各レート水準は執筆時点のもの）
FXのライブ解説、AI×生産性上昇≒ドル円サポート (2024年2月21日)
※相場動向については、外為どっとコム総研のTEAMハロンズが配信している番組でも解説しています。
ユーロ/円、163円半ばを意識する展開か
来週も、3月1日発表のユーロ圏2月消費者物価指数（HICP、速報値）を確認しながら、ECB（欧州中央銀行）の利下げ時期を探る流れが続きそうです。ECB内部では慎重な意見もあり、市場は6月会合での利下げ開始を有力視していますが、インフレ指標の結果を受けてそれが前倒しとなるのか、それとも後ずれ観測が強まるのか着目されます。インフレ鈍化ペースが速まれば、円キャリー取引から底堅い動きが続くユーロ/円に対し調整圧力が高まるかもしれません。反対に、インフレ鈍化一服の兆しが確認できるようだと、ユーロ/円をもう一段押し上げる期待もあります。また、29日には日銀審議員の高田氏が滋賀県金融経済懇談会で講演後に発言するため、直近なされた日銀の政策修正を巡る観測報道をなぞるような主旨の発言がなされれば、ユーロ/円の上値を抑えやすくなることも考えられ、一応注意したいです。
※2024年2月21日時点
ユーロ/円は、約16年ぶりの高値更新となった昨年11月16日高値164.306円が意識される中で、この水準にどこまで近づけるかが先ずは着目点です。そのためには、23年12月7日安値（153.132円）を起点とするフィボナッチエクスパンションの61.8％ラインの163.474円を日足一目均衡表・転換線を支えに軽く突破していけるかどうかがポイントになりそうです。このときは、ユーロ/米ドルが200日移動平均線を上回っていることも期待され、ユーロ/円上昇への材料は増えそうです。ただ、163円半ばで上値が抑えられるようなら、日足一目基準線付近まで調整して値固めの時間帯が続くかもしれません。
【ユーロ/円チャート 日足】
出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」
予想レンジ：EUR/JPY：160.000-165.000
ポンド、景気減速・物価高の綱引き
英国経済はテクニカルリセッション入りとなり経済の先行き不透明感が残ったままの状態で、ポンド抑制の一因になっています。ただ、主要国の中で利下げが遅い方のグループと見られている点はポンドの下値を支えています。結局、景気減速・物価高の綱引きから、上にも下にも行きづらいのが本音です。クロス円は円安地合いが広がる中で、他のクロス円と共に下値を切り上げる動きが継続しており、買いで追随していかないといけない状況に陥っているように見受けられますが、徐々に高値警戒心が高まっているように感じます。
ポンド/円は1月19日高値（188.924円）と2月1日安値（185.234円）の下落幅の1.5倍返しの190.77円付近が目先は意識されるレベルになり、このレベルを上回れば、192.614円が次のターゲットになると考えます。ただ、ポンド/米ドルが200日線を割り込んでくるようなら、ポンド/円は一転して調整幅を広げる危険もありそうです。
【ポンド/円チャート 日足】
出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」
予想レンジ：GBP/JPY：187.000-194.000
2/26 週のイベント
2/27(火) 16:00 ドイツ 3月ＧＦＫ消費者信頼感調査
2/28(水) 20カ国・地域（Ｇ20）財務相・中央銀行総裁会議（-29日 於：サンパウロ）
2/28(水) 19:00 ユーロ 2月消費者信頼感（確定値）
2/28(水) 19:00 ユーロ 2月経済信頼感
2/29(木) 17:55 ドイツ 2月失業率
2/29(木) 22:00 ドイツ 2月消費者物価指数（ＣＰＩ、速報値）
3/1(金) 17:55 ドイツ 2月製造業購買担当者景気指数（ＰＭＩ、改定値）
3/1(金) 18:00 ユーロ 2月製造業購買担当者景気指数（ＰＭＩ、改定値）
3/1(金) 18:30 イギリス 2月製造業購買担当者景気指数（ＰＭＩ、改定値）
3/1(金) 19:00 ユーロ 2月消費者物価指数（ＨＩＣＰ、速報値）
3/1(金) 19:00 ユーロ 1月失業率
一言コメント
日経平均株価が1989年の大納会につけた3万8915円の史上最高を越え始めています。当時と銘柄や状況は違うものの、歴史的な瞬間に少し感激しました。
本サイトに掲載する情報には充分に注意を払っていますが、その内容について保証するものではありません。また本サービスは、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたものであって、投資勧誘を目的として提供するものではありません。投資方針や時期選択等の最終決定はご自身で判断されますようお願いいたします。なお、本サービスの閲覧によって生じたいかなる損害につきましても、株式会社外為どっとコムは一切の責任を負いかねますことをご了承ください。
