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来週の為替予想(豪ドル/円 NZドル/円 )「豪州の賃金上昇率はインフレ率を超えるか?」ハロンズ FX 2024/2/17

 

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執筆:外為どっとコム総合研究所 中村 勉
X(Twitter):@gaitamesk_naka
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今週の振り返り

今週の豪ドル/円は97.178円前後、NZドル/円は91.681円前後で週初を迎えました。今週は豪州、ニュージーランド(NZ)と交易関係の強い中国が春節で休場でした。また、豪州、NZの主要な経済指標は15日(木)の豪1月雇用統計のみだったため、豪ドル、NZドルは米ドルの動きを意識した展開が多くなりました。
12日には米連邦準備制度理事会(FRB)の高官が相次いで早期利下げを否定する発言をしたことで米ドル/円が上昇。豪ドル/円、NZドル/円はこの動きに連れました。また株価の上昇も資源国通貨である豪ドル、NZドルの後押しとなりました。13日には米1月消費者物価指数が前回から鈍化を示したものの、市場予想を上回る結果となり米国の早期利下げ観測が後退。米長期金利の上昇を背景に米ドルが買われたほか、米国株が米長期金利の上昇を嫌気して大幅に下落しました。これらの影響から、豪ドル/円は97.07円前後、NZドル/円は91.02円前後まで下落しました。ただ、米ドル/円が大幅に上昇したことで、豪ドル/円、NZドル/円の下値は限定的となりました。15日には豪1月雇用統計が発表されました。市場予想を大きく下回る結果を受けて、豪準備銀行(RBA)の利下げ開始に対する市場の期待が高まり豪ドルは売られることになりました。ただ、豪雇用統計の結果を受けた豪ドル売りは一時的で、その後NYダウ平均が大幅高になったことや16日には日経平均株価が史上最高値に接近するなど大きく上昇したことを背景に豪ドル/円は98.00円前後まで上昇しました(執筆時)。

豪賃金指数は上振れに注意!

来週は21日に豪10-12月期賃金指数(WPI)が発表されます。このWPIの結果が市場の予想を上回るか、下回るかが今後のRBAの政策策定に影響を与える可能性を秘めています。表1は豪州の四半期消費者物価指数(CPI)とWPIの推移です(ともに前年比)。これまで、WPIはCPIよりも低い上昇率での推移でした。物価上昇率よりも低い賃金上昇率のため、消費行動が抑えられる。これが豪州のインフレが急速に鈍化する一助となっていました。ちなみに賃金上昇率から物価上昇率を差し引いたものを実質賃金と表します。
今回発表される10-12月期WPIの市場予想は前年比+4.1%となっています(15日現在)。1月31日に発表された10-12月期CPIが+4.1%でしたので物価上昇率と賃金上昇率が同率になります。賃金上昇率が物価上昇率よりも高ければ、消費行動の拡大に繋がり、インフレ鈍化の妨げになる可能性が出てきます(表1参照)。そうなれば、RBAにとって次に打つ一手は「利上げ」である根拠のひとつになります。もちろん、これまでの低賃金・高物価で苦しんだ蓄積があるため、実質賃金がプラスに転換したからと言って、すぐに消費行動が拡大には繋がりにくいと思います。ただ、実質賃金のプラス幅が大きくなればなるほど、消費行動は拡大しやすくなります。

【表1豪州のWPIとCPIの推移】


実際に米国は実質賃金がプラスに転じ、個人消費が右肩上がりと言うこともあり、インフレ率は6月以降3%台で高止まりしています。米国の実質賃金がプラスに転じてからインフレ率が横ばいになるまで1カ月しか時差はありませんでした。(表2参照)
もちろん、実質金利がプラスに転じる前にどれくらいマイナス幅が大きかったか、政府の支援策の規模などの違いにより、豪州が米国と全く同じ道をたどるとは言いきれません。ただ、仮に今回の豪10-12月期WPIの結果、豪州の実質賃金がプラスに転じた場合には、RBAが「追加利上げ」というカードを手元に残す可能性がありますので要注意です。

【表2 米実質金利と米CPIの推移】 

豪ドル/円のテクニカル分析

豪ドル/円は昨年11月後半から大雑把に見て95円台半ば~98円でのレンジ相場が続いています。16日の執筆時に98.00円前後まで上昇していますが、まずはこの水準をしっかり抜けきれるかどうかになります。この水準を上抜けることが出来れば、98円台後半がその次の目途となりそうです。この水準は2022年(9/13 98.79円前後)、23年(11/15 98.58円前後)と2年連続で上値を抑えられているのでかなり意識されるでしょう。
下値は日足一目均衡表の転換線が目先の目途、その下は一目均衡表の雲下限。そして2/1安値の95.50円前後となります。95円台半ばは200日移動平均線(MA)もありますので下抜けるには相応の材料が必要になりそうです。

【豪ドル/円 日足・一目均衡表と200MA】

出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」

予想レンジ:AUD/JPY:95.50-99.00、NZD/JPY:89.50-92.50

2/19 週のイベント:

02/20 (火) 09:30 豪準備銀行(RBA)、金融政策会合議事要旨公表
02/21 (水) 06:45 NZ 10-12月期四半期卸売物価指数(PPI)
02/21 (水) 09:30 豪 10-12月期四半期賃金指数
02/22 (木) 06:45 NZ 1月貿易収支
02/23 (金) 06:45 NZ 10-12月期四半期小売売上高

一言コメント:

東京では15日に春一番が吹きました。例年より2週間ほど早いようです。我が家では息子のお気に入りのパジャマのズボンが強風により吹き飛ばされて、お隣さんの敷地の中に落ちていました。息子に「春一番は春が来るって合図なんだよ」と教えると「え?じゃあもう半袖にしよう!」と言ってました。まだ早いです。

nakamura.jpg 外為どっとコム総合研究所 調査部 研究員
中村 勉(なかむら・つとむ)
米国の大学で学び、帰国後に上田ハーロー(株)へ入社。 8年間カバーディーラーに従事し、顧客サービス開発にも携わる。 2021年10月から(株)外為どっとコム総合研究所へ入社。 優れた英語力とカバーディーラー時代の経験を活かし、レポート、X(Twitter)を通してFX個人投資家向けの情報発信を担当している。
経済番組専門放送局ストックボイスTV『東京マーケットワイド』、ニッポン放送『飯田浩司のOK! Cozy up!』などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。
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