トルコリラの焦点「政策正常化でも市場の評価は厳しい…2024年にリラ復活の足掛かりを掴めるか」FX予想 2023/12/21

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中東に位置するトルコの通貨リラを取り巻く環境を分析し、トルコリラの今後の値動きを予想した。

執筆：株式会社外為どっとコム総合研究所　調査部長　神田卓也 X(Twitter)

当局挙げて海外投資家にアピールへ

　トルコ中央銀行のエルカン総裁は、来年1月11日にニューヨークで国外投資家向けの説明会に終日出席し、金融政策、インフレ、トルコ資産などについてプレゼンテーションを行う。同会合ではシムシェキ財務相も、財政政策についてプレゼンを行う予定で、当局を挙げて外国投資家にトルコへの投資を呼びかけると見られる。

　総裁と財務相が指名された6月以降、中銀は金融政策正常化の一環として大幅な利上げを開始。政府は財政赤字を抑えるために増税に踏み切り、財政負担の重しだった為替保護預金制度の撤回に乗り出した。もっとも、トルコは過去数年にわたり、エルドアン大統領の指揮の下で異例の経済・金融政策を推進してきただけに、市場の評価は依然として厳しい。特にトルコリラ相場においては、中銀や政府の最近の動きを好感する様子はほとんど見られない。

一部には明るい兆しも　リラ復活は？

　一方で、一部には明るい兆しも出始めている。大手格付け会社S&Pは11月にトルコの格付け見通しを「安定的」から「ポジティブ」に引き上げた。同じくムーディーズも見通しを「ポジティブ」に引き上げる可能性を示唆している。独最大手ドイツ銀行はトルコ国債への投資を推奨しており、欧州最大の資産運用会社アムンディはトルコに対する弱気ポジションの手仕舞いを開始したことを発表した。2024年に向けて、トルコが投資家の信頼を取り戻し、リラ復活への足掛かりを掴めるか注目したい。