執筆：外為どっとコム総合研究所 小野 直人
目次
執筆日時 2023年11月10日 13時40分
米CPI・小売売上高、年内追加利上げは？
11月6日週の米ドル/円は151円台へ復帰
日本と米国などの主要国との金融政策の方向性の違いが意識されて、米ドル/円はじり高基調を保つと、151円半ばまでレンジ上限を広げました。ただし、本邦財務省による円買い介入への警戒心もあって上値は限定されましたが、日銀会合後の上昇分を吐き出したかと思えば、早々にその分をほぼ埋めるなど、米ドル/円の底堅さが意識されました。（各レート水準は執筆時点のもの）
FX ライブ配信、明日の笑顔のため、介入に備える (2023年11月9日)
※相場動向については、外為どっとコム総研のTEAMハロンズが配信している番組でも解説しています。
物価データよりも消費データか
来週は米国で物価・消費データが発表されます。物価データでは、コア消費者物価指数CPIの市場予想は前月比が0.3％～0.4％と、前月から若干インフレ加速が見込まれており、早期の利下げを期待する投資家の追い風にはならない模様。もっとも、12月FOMCでの追加利上げを催促するほどタカ派な内容にもつながらないと思われます。米金融政策を巡る思惑が交錯する中で、米ドル/円の振幅は大きくなりそうですが、トレンドは出にくいかもしれません。それよりは、消費データの方が市場へのインパクトが大きいかもしれません。10月から学費ローンの返済が再開されたほか、既に決着はついているものの自動車労組のストライキが拡大していた時期のデータであるため、好調だった9月からの反動がより大きく出る恐れはあります。
出所:米FRBのデータを基に外為どっとコム総研が作成
上図は、米国の家計債務に占めるクレジットカードの割合を示したものです。家計債務の増加はもちろんのこと、その債務に占めるクレジッドカードの割合も増加傾向を示しているほか、直近10年の平均を上回ってきています。消費拡大がこれまでと同様に続くかは微妙で、こうした懸念が早ければ今月のデータから表面化してくるのではとの不安も燻っています。消費の落ち込みが予想より強ければ、米国経済のスタグフレーションが意識されてリスクオフの流れが優勢となるかもしれません。また、米国のつなぎ予算が17日で期限が来ます。最終的には暫定予算が可決されると見ていますが、一時的な政府機関閉鎖などが起こらないとも限らないため、一応、こちらの話題にも警戒が必要でしょう。
米ドル/円、152円到達できるかがポイントか
次は、10月31日高値の151.713円を突破して、152円台に到達できるのか注目されます。同レベルを超えてくれば155円の声も出始めそうですが、152円を前に抑え込まれれば、ダブルトップ形成が意識されて、50日移動平均線が推移する149.110円付近までの調整が意識されてきそうです。先入観を持たずに、相場の流れに乗って短期売買を心掛けたいです。
【米ドル/円チャート 日足】
出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」
予想レンジ：USD/JPY：149.500-153.500
11/13 週のイベント:
11/13(月) 8:50 日本 10月国内企業物価指数
11/14(火) 22:30 米国 10月消費者物価指数（ＣＰＩ）
11/14(火) 26:45 米国 グールズビー米シカゴ連銀総裁、発言
11/15(水) 8:50 日本 7-9月期四半期実質国内総生産（ＧＤＰ、速報値）
11/15(水) 13:30 日本 9月鉱工業生産・確報値
11/15(水) 13:30 日本 9月設備稼働率
11/15(水) 22:30 米国 10月小売売上高
11/15(水) 22:30 米国 10月卸売物価指数（ＰＰＩ）
11/15(水) 22:30 米国 11月ニューヨーク連銀製造業景気指数
11/15(水) 24:00 米国 9月企業在庫
11/16(木) 8:50 日本 9月機械受注
11/16(木) 8:50 日本 10月貿易統計
11/16(木) 8:50 日本 対外対内証券売買契約等の状況
11/16(木) 13:30 日本 9月第三次産業活動指数
11/16(木) 22:30 米国 前週分新規失業保険申請件数
11/16(木) 22:30 米国 10月輸入物価指数
11/16(木) 22:30 米国 11月フィラデルフィア連銀製造業景気指数
11/16(木) 23:15 米国 10月鉱工業生産
11/16(木) 23:15 米国 10月設備稼働率
11/16(木) 23:25 米国 ウィリアムズ米NY連銀総裁、発言
11/16(木) 24:00 米国 11月ＮＡＨＢ住宅市場指数
11/16(木) 24:35 米国 バー副議長、発言
11/17(金) - 米国 つなぎ予算期限
11/17(金) 22:30 米国 10月住宅着工件数
11/17(金) 22:30 米国 10月建設許可件数
11/17(金) 22:45 米国 グールズビー米シカゴ連銀総裁、発言
11/17(金) 24:00 米国 デイリー米サンフランシスコ連銀総裁、発言
一言コメント
岸田首相が年内の衆院解散・総選挙を見送る意向を固めたようです。年明け解散はさすがにないと思われるため、少なくとも予算通過後と考えるのが妥当でしょう。予算通過の時期によっては、日銀の政策変更と重なり、両イベントをにらんだ展開になる可能性もありそうですね。
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