読む前にチェック!最新FX為替情報

読む前にチェック!
最新FX為替情報
CFD銘柄を追加!

スプレッド
始値比
  • H
  • L
FX/為替レート一覧 FX/為替チャート一覧 株価指数/商品CFDレート一覧 株価指数/商品CFDチャート一覧

為替介入リスク高まるがドルの頭は重い、日銀会合・FOMCから見た為替相場の行方【マット今井 実践FXトレードのつぼ】2023/11/2

基本はレンジ相場だがクロス円上昇の可能性が高い【マット今井 実践トレードのつぼ】

収録日:2023/11/2

元邦銀ディーラーの今井雅人氏が現状の世界経済を詳細に分析し、今後の為替相場動向まで踏み込み見通しを示します。

時間がない方向け「30秒ポイント要約」振り返り
・日銀がYCC再修正もドル高円安が進行
・クロス円もどんどん円安が進んだ
・FOMCは金利据え置き
 →12月も利上げはなさそう
トレード戦略
・基本はレンジ相場
・クロス円は少し上気味
 →クロス円上昇が一番可能性が高い
・ドル全体(ドル円以外)で見れば、少しドルの頭が重い
 →ユーロドルの押し目買い
・メキシコペソは米金利低下で上昇
 →この状態続けばメキシコペソ円に買いが入る可能性

 

目次

0:00 相場振り返り
1:21 ドル高・円安進行の背景
3:23 FOMC振り返りとドルへの影響
4:40 介入リスク
5:54 米金利とドルの動向
6:34 メキシコペソの動向と見通し
7:02 足元のトレード戦略
7:44 【PR】口座開設特別キャンペーン

要約

この1週間で2つの大きなイベントがありました。
1つ目は日銀の金融政策決定会合が行われたということですけれども、イールド・カーブ・コントロール(YCC)の運用を少し緩和するという変更が行われました。具体的に言うと、米10年債利回りを1%程度で抑えますということで、もしそれが超えるようなことがあったら国債を買って金利が上がっていかないようにします、ということをやっていたんですけれども、今回は基本的に1%めどなんだけども、そこを超えてしまっても容認するというか、そこまで厳格に守るようなことはしませんよ、ということを公表しました。
単純に言うと、金利が上がるのを容認するわけですから、金融の引き締め、金利上昇方向ということで、普通に考えれば円高方向に反応してもおかしくなかったんですけれども、実際はかなり円安になりまして、ドル円も149円台から151円台まで2円数十銭ほど一気にドル高・円安が進むと、他のクロス円もどんどん円安が進むという展開になりました。

この理由は2つ考えられます。
1つは今回も前回もそうだったんですが、日経新聞が前日にすっぱ抜き記事を書いて、市場に公表しちゃったわけですね。事前に漏れてしまうと、実際起きた時のインパクトがすごく弱くなってしまう。実際に前日のNY市場で記事が出て、一旦円高になって、ドル円も149円前半ぐらいまで下がったんです。ここで一回織り込んでしまったので、実際に公表があっときには逆に効果がなくなってしまった。日銀はこうやって情報が漏れることを本当にまずいということで、しっかり管理しなきゃいけないと思うんですが、そういうことがあったということが1つ。
それからもう1つ。3カ月ぐらい前ですかね、(日銀が)YCCの運用を一回見直しをして、上限を1%まで引き上げるということを一回やったんですね。今回は1%は守るけど厳密にはやらない、小出しに変更しているということで、植田日銀総裁のやり方が見えてきたなと。この人は一気に政策変更するんじゃなくて、ちょろちょろと小出しのようにやっていく人なんだな、ということがわかってしまった。そうすると、「一気に円高に向かうリスクはなさそうだな」という風に皆が思って、「これなら円を売っても大丈夫だ」ということで、円売りが加速した。こういう事が現実的に起きたということだと思います。日銀の意図とマーケットの反応が逆になってしまったということですね。

それから2つ目はFOMCです。
予想通り今回は金利据え置きということで、ノーサプライズです。問題は12月の今年最後のFOMCでどうするかっていう事ですが、明確なメッセージはありませんでした。 「やる可能性はある」みたいな感じなんですが、今の状況を見ますと、12月は利上げはなさそうですね。マーケットもそう取ったと思います。実際に米長期金利の動きを見てみると、金利は下がっていますから、皆「もうやらないんだな」という捉え方をした。私もそう捉えました。 そうなると、少しドルは頭打ちになる。ひょっとすると、特にドル円以外の通貨で、少しドル安になる可能性も出てきたんじゃないか、という風に考えているところです。米雇用統計など色々これから指標があるので、それはもちろん注目なんですけども、しばらく米国も今の政策金利の水準を維持して様子を見る期間に入ってきた印象があります。

話が円に戻りますけれども、昨日、財務省の神田財務官が、「介入に関していつでもスタンバイ」と、「いつでもやります」と言っていましたが、口で言うだけで昨日は何もしませんでした。ジリジリとドル円は下がってきていますけど、これは神田財務官の発言が効いたわけではなく、一昨日の日銀の発表の後にマーケットが過剰反応してしまったことの反動と考えておいた方が正しいと思います。本当は今日の段階で、151円後半ぐらいにいたら、日本政府財務省は為替介入やったんじゃないか、と僕は思うんですけれども、FOMCの効果もあってドル円も下がってきましたので、一安心ということで、これでしばらく様子を見ようというムードになったんだと思います。
ただ、あそこまでハッキリ言っていますので、これから円安が進む局面になると、介入をしてくるというリスクは相当高くなってきているということは間違いないと思いますから、そこは頭に入れておきたいと思います。

その上で今後米雇用統計とか色々ありますが、もちろん指標には反応するんですけど、とんでもない数字さえ出なければ、12月は金利据え置きでそのまま年が越えそうだなっていうのがはっきりしてきましたので、どっちかというと僕はやっぱりドルの頭が重くなってくるんじゃないかなというふうに思っております。ユーロドルも1.06ドル台の後半になると上がって落とされての繰り返し。レンジはレンジなんですけど、少しドルの頭が重いんじゃないかなということを考えています。

メキシコペソは前もお話しました通り、米金利が下がってくると上がってきますね。今8.46-47円というところですから、私が言ってた想定レンジ超えてきましたけども、米金利が下がってきたということなので、この状態が続くとまたメキシコペソ円に買いが入っていくことになってくる可能性があるんじゃないかなと思います。

全体的に見ると、クロス円の上昇という事が一番可能性が高いと考えていますので、クロス円を考えてみたい。それからユーロドルの押し目買いかな。ドル売りっぽく、その辺のところを取りに行く。基本はレンジなんですけれど方向はクロス円は少し上気味、それからドル全体(ドル円以外)で見れば、少しドルの頭が重いというような想定で臨んでいきたいと思います。

 
株式会社マットキャピタルマネージメント 代表取締役
今井雅人
1962年生まれ、岐阜県下呂市出身。上智大学卒業後、1985年に三和銀行入行、1987年よりディーリングの世界に入る。1989年から5年間シカゴに赴任、その間多くの著名トレーダーと出会う。日本に戻ってからは為替部門に従事。2004年3月までUFJ銀行の為替部門の統括次長兼チーフディーラーを勤めていたが、同年4月に独立。内外の投資家にも太いパイプを持ち、業界を代表するトレーダーとして活躍するが、2009年8月第45回衆議院選挙に立候補し、初当選。現在は、経済アナリスト活動など多忙な毎日を送る。元東京外為市場委員会委員、東京フォレックスクラブ理事歴任。株式会社マットキャピタルマネージメント代表取締役。
●免責事項
本サイトに掲載する情報には充分に注意を払っていますが、その内容について保証するものではありません。また本サービスは、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたものであって、投資勧誘を目的として提供するものではありません。投資方針や時期選択等の最終決定はご自身で判断されますようお願いいたします。なお、本サービスの閲覧によって生じたいかなる損害につきましても、株式会社外為どっとコムは一切の責任を負いかねますことをご了承ください。