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ドル/円の10月見通し「米利上げ含み、欧州利上げ打止め、日本緩和継続」

【外為総研 House View】

House View

執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也

目次

▼ドル/円
・ドル/円の基調と予想レンジ
・ドル/円 9月の推移
・9月の各市場
・9月のドル/円ポジション動向
・10月の日・米注目イベント
・ドル/円 10月の見通し

ドル/円

ドル/円の基調と予想レンジ

ドル/円 9月の推移

9月のドル/円相場は144.445~149.705円のレンジで推移し、月間の終値ベースでは約2.6%上昇した(ドル高・円安)。供給不安による原油高などを背景にインフレ懸念が強まり米長期金利が上昇する中、ドルは堅調推移が続いた。8月ISM景況指数などの景気関連指標が米経済の底堅さを示したことや、米連邦公開市場委員会(FOMC)が年内の追加利上げの可能性を示唆したこともドルの支えとなった。一方、円は日銀のマイナス金利解除観測で強含む場面もあったが、植田日銀総裁が大規模金融緩和を維持する姿勢を示したことで下旬にかけて軟調だった。ドル/円は、日米金利差の拡大が意識されて27日には149.71円前後まで上昇して昨年10月21日以来の高値を更新した。ただ、岸田首相や鈴木財務相など日本政府関係者から円安けん制発言が相次ぐ中、節目の150円に接近したことで円買い介入への警戒感が高まったため伸び悩んだ。29日には四半期末を前にした持ち高調整と見られる動きで反落する場面もあったが149円台に持ち直して9月の取引を終えた。


出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」

1日
米8月雇用統計で非農業部門雇用者数は18.7万人増と市場予想(17.0万人増)を上回ったが、7月分と6月分が合計で11.0万人下方修正された。失業率は労働参加率が62.6%から62.8%へ上昇したこともあって3.8%へと0.3ポイント悪化した(予想3.5%)。平均時給は前月比+0.2%、前年比+4.3%だった(予想+0.3%、+4.3%)。その後に発表された米8月ISM製造業景況指数は47.6と10カ月連続で分岐点の50.0を下回ったが、市場予想(47.0)を上回り前月(46.4)から上昇した。原油高の影響などから、内訳指数の「仕入価格」も42.6から48.4へと上昇した。

6日
神田財務官は為替市場について「投機的な行動、ファンダメンタルズでは説明できない動きが見られる」として円安の動きをけん制。「高い緊張感を持って注視」「あらゆる選択肢排除せず対応」などと発言した。その後、米8月ISM非製造業景況指数は54.5と市場予想(52.5)を上回り2月以来の水準に上昇。内訳指数の仕入価格や新規受注、雇用も前月から上昇した。

11日
植田日銀総裁は9日付の読売新聞で、2%物価目標の実現にはまだ距離があると前置きした上で「賃金と物価の好循環を見極めるためのデータが年内にも揃う可能性がある」とし「賃金上昇をともなう持続的な物価上昇に確信が持てる段階になれば、マイナス金利の解除も含めていろいろなオプションがある」と述べた。これを受けて円は全面高で取引が始まった。

13日
米8月消費者物価指数(CPI)は前月比+0.6%、前年比+3.7%(予想+0.6%、+3.6%)となり、原油高などを背景に前年比の伸びが2カ月連続で加速した。一方、変動の大きい食品とエネルギーを除いたコアCPIは前月比+0.3%、前年比+4.3%(予想+0.2%、+4.3%)で、前年比の伸びは約2年ぶりの低水準に落ち着いた。

15日
マイナス金利解除に関する植田総裁の発言について、「発言内容と市場解釈にギャップがある」とする関係者の話が伝わると円売りに傾いた。しかし、米9月ミシガン消費者信頼感指数・速報値でインフレ期待が低下したことがわかるとドルが失速した。ミシガン大消費者期待インフレは1年先が3.1%、5-10年が2.7%と前回および市場予想(3.5%、3.0%)を下回った。

20日
イエレン米財務長官は日本の円買い介入について「為替相場の水準に影響を与えようとするのでなく、過度な変動をならす必要性を総じて理解している」と述べて一定の理解を示したことが伝わった。その後、FOMCは予想通りに政策金利を5.25-5.50%に据え置いた。同時に公表した政策金利見通しで2023年末の予想政策金利を前回と同じ5.625%とし、年内あと1回の利上げを示唆。2024年末の予測を前回の4.625%から5.125%に引き上げて、利下げが小幅にとどまるとの見通しを示した。米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は会見で「インフレが2%の目標に向かって持続的に低下していくと確信するまでは引き締め的な政策を維持する」と改めて表明。「適切ならさらに金利を引き上げる用意がある」と述べた。また、「政策金利の据え置きを決定したことは、我々が求める政策スタンスに達したことを意味するものではない」とも述べた。

22日
日銀は大方の予想通りに金融政策の現状維持を決定。声明で「粘り強く緩和を継続し、賃金上昇を伴う物価目標の実現を目指す」「必要があれば、躊躇なく追加的な金融緩和措置を講じる」とあらためて表明した。植田日銀総裁は会合後の会見で「物価目標の実現が見通せる状況になれば(マイナス金利の解除も含めて)政策修正を検討することになるが、どの時点になればその状況になるかは決め打ちできない」などと発言。マイナス金利解除に関する踏み込んだ発言を控えた。

9月の各市場

9月のドル/円ポジション動向

【情報提供:外為どっとコム】

  • ※ データの更新は、NYC時に行われます(前営業日のデータが追加)。また、過去180日間のデータが表示されます。
  • ※ 外為どっとコムのFX口座「外貨ネクストネオ」でお取引をされているお客様のポジション保持情報の比率を表しています。
  • ※ 尚、このポジション比率情報は情報提供を目的としており、投資の最終判断は投資家自身でなさるようお願い致します。

 

10月の日・米注目イベント

ドル/円 10月の見通し

9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、年内あと一回の利上げ見通しが示されたほか、来年2024年の利下げが当初の見通しよりも緩やかになることが示唆された。米連邦準備制度理事会(FRB)は、もはや米経済の劇的な後退を予想しておらず、ソフトランディング(軟着陸)が十分に可能にとの見方を強めているようだ。もっとも、米金利先物市場は次回11月FOMCでの25bp(0.25%ポイント)利上げを3割程度しか織り込んでいない。11月もしくは12月どちらかでの利上げ織り込みも6割程度にとどまっている。これは、パウエル議長らFRB高官の多くが、年内あと一回の利上げについては「データ次第」と強調しているためであり、10月6日に発表される米9月雇用統計や12日の米9月消費者物価指数(CPI)の結果を見極めたいとの市場の意向が滲んでいるのだろう。これらの経済データに大きな軟化が見られない限り、市場はFOMCが追加利上げに動く可能性を強く意識せざるを得なくなりそうだ。その過程で米長期金利はもう一段の上昇が見込まれることから、ドル/円にも更なる上昇圧力がかかる可能性があろう。 一方で、日銀は30-31日に開く金融政策決定会合でマイナス金利の解除を含む長短金利操作(YCC)の撤廃に動くかもしれないとの思惑が一部でくすぶり続けている。10月会合で更新する展望リポートで物価見通しを上方修正し、金融政策の正常化に着手するとの見方だ。ただ、植田日銀総裁はマイナス金利解除は「かなり距離がある」との見解を示しており、現状では金融緩和を維持する必要があると強調している。「不意打ち利上げ」が行われる可能性は低いと見ておきたい。結果的に「タカ派スタンスを維持するFRB」と「ハト派姿勢を維持する日銀」のコントラストから、ドル高・円安の流れが続きそうだ。そうなると気になるのは日本政府・日銀による円買い介入であろう。1ドル150円の節目を超えて昨年10月に付けた1990年以来の高値である151.94円前後に近付けば1年ぶりの介入が行われてもおかしくない。仮に介入があれば、ドル/円は昨年同様に1回あたり5円前後の急落に見舞われることも考えられる(持続性には疑問も)。鈴木財務相や神田財務官らの円安けん制発言のトーンの変化にも注意したい。
(予想レンジ:145.500~152.500円)

 
kanda.jpg 株式会社外為どっとコム総合研究所 取締役 調査部長 上席研究員
神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
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