ユーロ/円の10月見通し「ユーロ安・円安で方向感出にくい」

【外為総研 House View】

House View

執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也

目次

▼ユーロ/円
・ユーロ/円の基調と予想レンジ
・ユーロ/円 9月の推移
・9月の各市場
・9月のユーロ/円ポジション動向
・10月のユーロ圏注目イベント
・ユーロ/円 10月の見通し

ユーロ/円

ユーロ/円の基調と予想レンジ

ユーロ/円 9月の推移

9月のユーロ/円相場は156.575~158.650円のレンジで推移し、月間の終値ベースで約0.1%上昇した(ユーロ高・円安)。値幅は2円あまりと小さく、狭いレンジの中で方向感を欠く値動きが続いた。ユーロは対ドルで1月以来の安値となる1.0488ドル前後まで下落するなど、域内景気の減速懸念や欧州中銀(ECB)の利上げ打ち止め観測で軟調だった。一方で、円も対ドルでは日米金利差の拡大を背景に軟化。ユーロ/ドルの下落とドル/円の上昇に挟まれる格好でユーロ/円は値動きが鈍かった。なお、ユーロ圏では中国の景気不安の影響などからドイツの景気先行きに対する懸念が強まっている。11日には欧州委員会がドイツの今年の成長率予測を-0.4%に下方修正。経済協力開発機構(OECD)も19日には同国の成長率見通しを-0.2%に引き下げた。また、ECBは14日の理事会で利上げを決めたが、声明で「インフレが目標水準に戻るのに十分な水準に達した」との見解を示し、利上げの打ち止めを示唆した。


出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」

7日
独7月鉱工業生産は前月比-0.8%と、市場予想(-0.4%)を下回って減少。ただ、前月(-1.4%)から減少幅は縮小した。その後に発表されたユーロ圏4-6月期域内総生産(GDP)・確定値は、前期比+0.1%と速報値(+0.3%)から下方修正された。

11日
欧州連合(EU)の行政執行機関である欧州委員会は最新の経済予測を発表。2023年のユーロ圏成長率見通しを0.8%とし、従来の1.1%から引き下げた。域内最大の経済規模を持つドイツについては-0.4%とマイナス成長を見込んだ。2024年のユーロ圏成長率見通しは1.6%から1.3%へ下方修正した。

12日
独9月ZEW景気期待指数は-11.4と市場予想(-15.0)に反して前月(-12.3)からやや持ち直した。ドイツの景気不安を払しょくするには至らなかったものの、ECBが25bp(0.25%ポイント)の利上げを決めるとの見方が徐々に広がった。ユーロ圏金利先物市場では9月14日の25bp利上げ確率が前日の約40%から約50%へと上昇した。

14日
ECBは主要政策金利を4.25%から4.50%に引き上げた。スタッフ予測では2023年と2024年のインフレ率見通しを引き上げた一方、2023年から2025年にかけて各年の成長見通しを下方修正した。声明で「現在の評価を踏まえ、理事会は政策金利が十分に長期間維持されれば、インフレ率が目標に適時に戻るのに十分に資する水準に達したと考えている」と表明し利上げの打ち止めを示唆。その後、ラガルド総裁は「景気は今後数カ月、低迷が続くだろう」「経済成長に対するリスクは下方に傾いている」などと発言。利上げの打ち止めについては「金利がピークに達したかについては言えない」と明言を避けた。

15日
ラガルドECB総裁は講演で「利下げは議論していないし、口にしたこともない」として市場の一部に浮上した早期利下げ観測をけん制。「金利について次に何をするかはデータ次第」と強調した。

19日
OECDはこの日発表した経済見通しでユーロ圏の2023年の実質成長率予測を0.6%とし、従来の0.9%から引き下げた。域内最大の経済規模を持つドイツの成長率予測を-0.2%に下方修正したことが響いた。

22日
仏9月製造業PMI・速報値は43.6、同サービス業PMI・速報値は43.9と、いずれも予想(46.1、46.0)を下回った。その後に発表された独9月製造業PMI・速報値は39.8(予想39.5)、同サービス業PMI・速報値は49.8(予想47.1)で、ユーロ圏9月製造業PMI・速報値は43.4(予想44.0)、同サービス業PMI・速報値は48.4(予想47.6)だった。

25日
独9月IFO企業景況感指数は85.7と市場予想(85.2)を僅かに上回った。ただ、5カ月連続で前の月より低下しており、水準としては昨年10月以来の低さとなった。ラガルドECB総裁はこの日、欧州議会で「ECBの将来の決定では、必要な限り主要政策金利を十分に景気抑制的な水準に設定するようにする」と表明。「インフレ率を2%の中期目標へと確実に戻すと、われわれは引き続き決意している」と語った。

29日
ユーロ圏9月消費者物価指数(HICP)・速報値は前年比+4.3%と市場予想(+4.5%)を下回り前月(+5.2)から大きく鈍化。食品やエネルギーなどを除いたコアHICPも前年比+4.5%に鈍化した(予想+4.8%、前回+5.3%)。

9月の各市場

9月のユーロ/円ポジション動向

【情報提供:外為どっとコム】

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10月のユーロ圏注目イベント

ユーロ/円 10月の見通し

ユーロ/円相場は方向感が出にくい時間帯が長引きそうだ。欧州中銀(ECB)は9月理事会で利上げの打ち止めを示唆した。ラガルド総裁は「利下げは全く議論していない」などとして現在の金利水準をしばらく維持する考えを強調したが、米連邦準備制度理事会(FRB)は年内「あと一回」 の利上げを示唆しており、ユーロに対するドル優位の流れは揺らぎそうにない。他方、日銀は将来的なマイナス金利の解除に含みを持たせつつも大規模金融緩和を継続する姿勢を示している。ドル優位の流れは対円でも続く公算が大きい。ユーロ/ドルの下落(ユーロ安・ドル高)と、ドル/円の上昇(ドル高・円安)が綱引し合う形でユーロ/円はもみ合う展開が継続しそうだ。足元で原油価格が上昇基調にあり、この先冬場に向かってさらに上昇する可能性がある点も、ユーロと円の双方にとって重しとなろう。原油需要を輸入に頼るユーロ圏と日本は交易条件の悪化などから価格の上昇が経済圧迫要因となる。これに対して、今や世界有数の産油国となった米国は原油高が経済的な追い風になりやすい。ECBの利下げが現実味を帯びてきたり、日銀のマイナス金利解除の確度が上昇したりするようなら、ユーロ/円相場が方向感を持って動き出す可能性はあるが、10月はまだその段階には至らないだろう。
(予想レンジ:156.000-160.500円)

 
kanda.jpg 株式会社外為どっとコム総合研究所 取締役 調査部長 上席研究員
神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
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