ドル/円、149円台で伸び悩み…米政府機関の閉鎖など週末リスクに備えドル売り調整か
東京市場のドル/円は一進一退の展開。本邦長期金利が10年ぶりの水準となる0.770%台へ上昇したことを受け、午後に日銀が臨時の国債買い入れオペを通告。そうしたことで円売りが進むと一時149.50円前後へ上伸しました。しかし、その後は米長期金利が低下したことや週末リスク(全米自動車労働組合UAWのストライキ、米政府機関の閉鎖の可能性)が重しとなりドル売り・円買いに傾くと欧州市場で148.53円前後まで軟化しました。
今夜は、米連邦準備制度理事会(FRB)がインフレ指標として重視する8月の個人消費支出物価指数(PCEデフレーター)が発表されます。前年比の伸びが加速すると見られる一方でPCEコア・デフレーターは鈍化すると予想されており結果とともにドル/円の反応に注目が集まりそうです。他方で本日は、週末・月末・四半期末となることから国際投資家のリバランスなどによる不規則な値動きに注意が必要となるでしょう。
ドル/円をテクニカル分析で見ると、10・20・80日移動平均線が上向きで上昇基調を維持していますが、上値の重い展開となっています。ただし10日線が下値支持となり底堅さもあることから149円を挟んだ値動きが続きそうです。
ドル円 日足チャート
この後の経済イベント
9/29(金)
19:00 日本外国為替平衡操作の実施状況
21:00 南ア8月貿易収支
21:30 カナダ7月GDP
21:30 米8月卸売在庫
21:30 米8月個人所得
21:30☆米8月個人消費支出
21:30☆米8月PCEデフレーター
22:45 米9月シカゴ購買部協会景気指数
23:00 米9月ミシガン大消費者態度指数・確報値
25:45 ウィリアムズ米NY連銀総裁講演
※☆は特に注目の材料
経済指標・イベントの結果について
主要な経済指標・重要イベントの結果について、最新情報は外為どっとコムサイトの「経済指標カレンダー」で確認できます。
今日の注目トピック
米議会で新会計年度予算の審議が難航しており、米政府機関が閉鎖される可能性が高まっています。9月30日までに成立しなければ10月1日から一部の政府機関が閉鎖され連邦政府職員が一時帰休となり、あらゆるサービスが停止することも考えられます。来週の米9月雇用統計などの経済指標の発表が延期されたり、経済活動にも影響を及ぼすかもしれません。そのため、米政府機関が閉鎖された場合は、格付け会社ムーディーズが米国債(現在の格付け最高位のトリプルA)の格付け自体や、今後の格付け見通しを修正する可能性も指摘されていますので、どのような結果になるのか注目が集まります。
宇栄原 宗平(うえはら・しゅうへい)
国際テクニカルアナリスト連盟 認定テクニカルアナリスト(CFTe) 2015年から金融業界に参入し、顧客サポートなどに従事。また金融セミナーの講師としても活躍する。2022年2月(株)外為どっとコム総合研究所へ入社。これまでの経験や知識を活かしながら、FX個人投資家へ精力的な情報発信を行っている。経済番組専門放送局「ストックボイス」や、ニッポン放送『辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!』でのレギュラー解説ほか出演多数。マネー誌『ダイヤモンドZAi(ザイ)』にてドル円・ユーロ円見通しを連載中。
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