執筆：外為どっとコム総合研究所 神田 卓也
X（Twitter）@KandaTakuya
トルコリラ/円チャート（日足）
※レポート内の為替レート・チャートは外為どっとコム「外貨ネクストネオ」を参照
「足元のトルコリラ/円は横ばい圏で推移」
米連邦準備制度理事会（FRB）の金融引き締め長期化観測を背景にドルが強含む中、ドル高・リラ安とドル高・円安が同時に進行したため、リラ/円は5.4円台を中心にもみ合う展開となりました。14日には5.352円前後まで下落する場面もありましたが、ドル/円が年初来高値を付けた15日には5.473円前後に強含みました。週明けの18日には5.502円前後まで上昇しましたが、ドル/リラが8月24日以来の27.0リラ台へと上昇（ドル高・リラ安）したことで失速。その後も、5.4円台を割り込むと底堅い一方で5.5円台に近付くと伸び悩む動きとなっています。なお、トルコのエルドアン大統領は16日、欧州議会がトルコの欧州連合（EU）加盟手続きについて「現状では不可能」とする報告書を発表したことに「必要であればEUと袂を分かつこともあり得る」との見解を示し反発しました。
「目先のトルコリラ/円の注目ポイントはトルコ中銀」
21日にトルコ中銀が政策金利を発表します。中銀は、エルカン総裁が就任した6月以降に利上げを継続しており、前回の会合では市場予想を大幅に上回る利上げを敢行。政策金利は17.5％から一気に25.0％へと引き上げられました。声明で「金融引き締めはインフレ見通しの大幅な改善が実現するまで適時、且つ漸進的に必要なだけ一段と強化される」とあらためて表明したこともあって、今回も追加利上げの可能性が高いと見られています。問題は利上げ幅です。市場では500bp（5.0％ポイント）の引き上げが見込まれており、30.0％への利上げがメインの予想となっています。ただ、一部には27.5％への利上げにとどまる予想がある一方で、前回の利上げ幅を上回る35.0％への引き上げ予想もあるようです。利上げ幅が予想の500bpを上回るかどうかが短期的なリラの動きを左右しそうです。もっとも、トルコのインフレ率の高さ（8月58.94％）を踏まえると、政策金利が30％台にとどまるうちは基調的にリラを押し上げるのは難しいとの見方が一般的です。このため、仮に予想以上の利上げが行われても前回と同様にリラの上昇は短命に終わる可能性もあるでしょう。
当面のトルコリラ/円の見通し
予想レンジ
5.250円～5.750円
基調
波乱含み
当面の注目ポイント
・9/21☆トルコ中銀政策金利
・主要国株価、国際商品価格
トルコリラ/円（TRY/JPY） 為替チャート・FXチャート│はじめてのFXなら外為どっとコム
経済指標・イベントの結果について
主要な経済指標・重要イベントの結果について、最新情報は外為どっとコムサイトの「経済指標カレンダー」で確認できます。
株式会社外為どっとコム総合研究所 取締役 調査部長 上席研究員神田 卓也（かんだ・たくや）
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
本サイトに掲載する情報には充分に注意を払っていますが、その内容について保証するものではありません。また本サービスは、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたものであって、投資勧誘を目的として提供するものではありません。投資方針や時期選択等の最終決定はご自身で判断されますようお願いいたします。なお、本サービスの閲覧によって生じたいかなる損害につきましても、株式会社外為どっとコムは一切の責任を負いかねますことをご了承ください。
