ドル/円、円安けん制が相次ぐも市場の反応薄…148円を視野に入れた展開となるか
東京市場のドル/円は、年初来高値を更新も失速。序盤に神田財務官が円安をけん制するも効果は薄く、仲値公示にかけて上昇すると147.81円前後の年初来高値を付けました。しかし、その後は米長期金利が低下に転じたことなどからドル売りに傾くと一時147.00円台まで反落しました。
欧州市場では、松野官房長官が円安をけん制するもやはり市場の反応は薄く、ドル/円相場は147円台半ばまで反発する展開となりました。
今夜は、米8月ISM非製造業景況指数に注目が集まります。市場予想は52.5と前回(52.7)からやや低下する見通しとなっています。ドル高基調の中で予想を上振れる結果となれば、ドル/円は再び148円台への上昇を試すことも考えられます。ただ、東京市場で円安けん制が入ったこともあり本邦当局による円買い介入が警戒される一方、ドルの先高期待も根強いことから、高値圏では神経質な相場展開となりそうです。
ドル/円をテクニカル分析で見ると、10・20・80日移動平均線が上向きで上昇基調が継続する中、一時147.81円前後まで上伸し年初来高値を更新しました。しかし、その後に失速したことでRSIが下向きとなり調整下落が強まっています。ただ、10日線を下抜けるまでは上昇基調に変化はなさそうです。
ドル円 日足チャート
この後の経済イベント
9/6(水)
21:30 カナダ4-6月期労働生産性指数
21:30 カナダ7月貿易収支
21:30☆米7月貿易収支
22:00 コリンズ米ボストン連銀総裁講演
22:15☆ベイリーBOE総裁講演
22:45 米8月サービス業PMI・改定値
22:45 米8月総合PMI・改定値
23:00☆カナダ中銀政策金利
23:00☆米8月ISM非製造業景況指数
27:00 米地区連銀経済報告(ベージュブック)
28:00 ローガン米ダラス連銀総裁講演
※☆は特に注目の材料
経済指標・イベントの結果について
主要な経済指標・重要イベントの結果について、最新情報は外為どっとコムサイトの「経済指標カレンダー」で確認できます。
今日の注目トピック
●円安進行に対する本日の本邦当局者による発言、まとめ
神田財務官
・高い緊張感もって注視
・あらゆる選択肢排除せず対応
・為替相場はファンダメンタルズを反映して安定的に推移することが望ましい
・足元をみると投機的な行動、ファンダメンタルズでは説明できない動きがみられる
・急激な動きは企業や家計に不確実性もたらし経済に悪影響及ぼす
松野官房長官
・為替相場はファンダメンタルズを反映して安定的に推移することが重要
・為替の過度な変動にはあらゆる選択肢排除せず適切に対応
・為替相場、高い緊張感をもって注視
・為替相場の過度の変動、経済に悪影響及ぼす可能性あり望ましくない
麻生自民副総裁
・円安の理由は米金利であり、日本の財政政策がおかしいからではない
宇栄原 宗平(うえはら・しゅうへい)
国際テクニカルアナリスト連盟 認定テクニカルアナリスト(CFTe) 2015年から金融業界に参入し、顧客サポートなどに従事。また金融セミナーの講師としても活躍する。2022年2月(株)外為どっとコム総合研究所へ入社。これまでの経験や知識を活かしながら、FX個人投資家へ精力的な情報発信を行っている。経済番組専門放送局「ストックボイス」や、ニッポン放送『辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!』でのレギュラー解説ほか出演多数。マネー誌『ダイヤモンドZAi(ザイ)』にてドル円・ユーロ円見通しを連載中。
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