トルコリラの焦点「市場寄りに政策転換…地に落ちた信頼を回復できるか」FX予想

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執筆：株式会社外為どっとコム総合研究所　調査部長　神田卓也（Twitter)

中銀は追加利上げを示唆

トルコ中銀は今週3日、エルカン総裁の下で初めて開いた6月会合の議事録を発表。同会合で決めた650bp（6.50％ポイント）の利上げは、インフレ抑制に向けた引き締めの「第一歩」だったとし、「インフレ見通しが大幅に改善するまで金融引締めプロセスは継続すると予想している」として利上げが単発では終わらない可能性が高いことを強調した。

外貨準備は積み増しへ

また、5月の大統領選の前後に行ったリラ買い・ドル売り介入の影響で一時565億ドルに減少していたトルコの外貨準備高は、直近（6月23日の週）で662億ドルへと増加。当局は為替介入の頻度を落として外貨準備を積み増す方針と見られる。

与党は増税法案を提出

さらに、5日にはエルドアン大統領率いる与党・公正発展党（AKP）は2月に発生した大地震の復興資金捻出に向けて法人税を引き上げる法案を議会に提出した。

市場寄りの政策転換継続なら徐々に信頼回復へ

インフレ抑制のための引き締め的な金融政策と自由取引重視の為替政策に加え、財政不安の緩和に向けて増税方針を打ち出すなど、トルコが世界標準に沿った「市場寄り」の政策に転換しつつある様子が見て取れる。トルコがこうした姿勢を継続することができれば、一度は地に落ちた市場の信頼も徐々に回復する可能性があろう。足元のリラ相場は、依然として史上最安値圏にあるとはいえ、いくぶん下げ渋る様子も見られる。