執筆:外為どっとコム総合研究所 小野 直人
目次
- ▼6月26日週の米ドル/円、7カ月ぶり145円台回復
- ▼米ドル/円上昇への材料が揃いつつある
- ▼米ドル/円、145円台で定着叶うか注視
- △▼【米ドル/円チャート 日足】
- 7/3 週のイベント
- 一言コメント
執筆日時 2023年6月30日 16時20分
下押しどころは買いか?円買い介入しても円高継続材料乏しい
6月26日週の米ドル/円、7カ月ぶり145円台回復
米住宅市場の底入れ観測を通じて、米国のリセッションが差し迫っていないとの思いが米ドルを下支えしました。加えて日銀と主要国の金融政策の方向性の違いが、円安を誘発したため、米ドル/円は145.071円まで上昇幅を広げ、昨年11月以来の高水準を示現しました。ただ、足もとの円安進行が速かったこともあり、神田財務官ら当局者が度々、円安けん制発言をしたため、不安定な値動きとなる場面もありました。(各レート水準は執筆時点のもの)
※相場動向については、外為どっとコム総研のTEAMハロンズが配信している番組でも解説しています。
FX ライブ配信、ドル円 高値圏でのプライスアクションに注意!(2023年6月29日)
米ドル/円上昇への材料が揃いつつある
28日のECBフォーラムでは、主要中銀がタカ派姿勢を示した一方、日銀は従来通りのハト派姿勢を示したため、為替市場では円独歩安の様相となりつつあります。米国の雇用情勢の引き締まりが確認できれば、日米金利差を背景として米ドル/円は上方向を試す流れが継続しそうです。加えて、一時期は市場予想を下振れする経済指標が目立っていた米経済に対しては、住宅市場を中心に悲観的な見方は和らぐなど、米ドル/円上昇の材料は揃い始めています。ただ、米国の商業用不動産市場に逆風が吹いているほか、企業の資金調達のぜい弱性など不安要素は燻っており、米経済に対して手放しで楽観できる状況にもないように感じます。今週発表されるISM製造業・非製造業景気指数や雇用指数を見極めながら、米経済への信頼性を確認していくことになりそうです。
また、日本政府の動きにも注意が必要です。このまま円安進行を黙って見逃すとは考えづらく、口先介入の頻度は高まると見られます。円安スピード次第では実弾介入も想定されます。しかしながら、これは個人的な考えですが、昨年と違い債券市場の機能度低下などを通じた日銀の政策調整期待が萎んでいるため、仮に介入を行って円を押し上げても、その水準で円を留め置くだけの材料が乏しいため、実際に実弾介入に踏み切るにはまだ条件が固まっているとは考えていません。もう少し口先介入で時間稼ぎをするのではないでしょうか。戦略としては、米経済指標や口先介入で少し緩んだところを買い拾い、回転を利かせていく方が良いと考えています。
米ドル/円、145円台で定着叶うか注視
昨年11月以来の145円台回復を果たしたものの、滞空時間は短く押し戻される格好になっています。上昇トレンドは続いているものの、短期的なところではスピード調整が意識されやすい中で、144円台をキープして145円台での定着が進めば、147円付近まで上値を伸ばす可能性はありそうです。ただ、144.00円を割り込むようなら、142.000円付近まで下げて、下値固めに専念することになるかもしれません。
【米ドル/円チャート 日足】
出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」
予想レンジ:USD/JPY:142.000-147.000
7/3 週のイベント:
7/3(月) 8:50 日本 4-6月期日銀短観
7/3(月) 22:45 米国 6月製造業購買担当者景気指数(PMI、改定値)
7/3(月) 23:00 米国 6月ISM製造業景況指数
7/3(月) 23:00 米国 5月建設支出
7/5(水) 23:00 米国 5月製造業新規受注
7/5(水) 27:00 米国 米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨
7/5(水) 29:00 米国 ウィリアムズNY連銀総裁、発言
7/6(木) 8:50 日本 対外対内証券売買契約等の状況
7/6(木) 20:30 米国 6月チャレンジャー人員削減数
7/6(木) 21:15 米国 6月ADP雇用統計
7/6(木) 21:30 米国 5月貿易収支
7/6(木) 21:30 米国 新規失業保険申請件数
7/6(木) 21:45 米国 ローガン米ダラス連銀総裁、発言
7/6(木) 22:45 米国 6月サービス部門購買担当者景気指数(PMI、改定値)
7/6(木) 22:45 米国 6月総合購買担当者景気指数(PMI、改定値)
7/6(木) 23:00 米国 6月ISM非製造業景況指数
7/6(木) 23:00 米国 5月雇用動態調査(JOLTS)求人件数
7/7(金) 8:30 日本 5月全世帯家計調査・消費支出
7/7(金) 8:30 日本 5月毎月勤労統計調査-現金給与総額
7/7(金) 21:30 米国 6月雇用統計
一言コメント
7月1日から、東電エリアは節電要請期間に入ります。蛍光灯が間引かれたりと何度か見た風景が再現されそうですね。
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