執筆:外為どっとコム総合研究所 小野 直人
目次
- ▼6月5日週の米ドル/円は直近の高値圏で振幅
- ▼来年末のインフレ見通しの下方修正に警戒
- ▼米ドル/円、三角保ち合いをどちらにブレイク?
- △▼【米ドル/円チャート 日足】
- 6/12 週のイベント
- 一言コメント
執筆日時 2023年6月9日 17時20分
上向き目線に待った!137円までの調整も、インフレ指標鈍化の可能性
6月5日週の米ドル/円は直近の高値圏で振幅
翌週の米FOMC、ECB理事会、日銀金融政策会合に対する思惑が交錯する中で、方向性の見定めにくい展開となりました。140.454円まで買いが先行していた米ドル/円は、予想を下回るISM非製造業景況指数も手伝って139.025円まで下落。その後、カナダ中銀による想定外の利上げが隣国である米国にも波及するとの連想で140円前半まで持ち直したものの、さえない米雇用指標を受けて138円台後半まで押し戻されるなど、方向性は定まりませんでした。(各レート水準は執筆時点のもの)
※相場動向については、外為どっとコム総研のTEAMハロンズが配信している番組でも解説しています。
FX ライブ配信、ドル円上値重い 円高持続性 (2023年6月8日)- YouTube
来年末のインフレ見通しの下方修正に警戒
今週は6月13日の米5月消費者物価指数(CPI)を皮切りに、6月14日(水)の米FOMC、6月15日(木)の米5月小売売上高、ECB理事会、6月16日(金)の日銀金融政策決定会合と、ビックイベント週となります。特に、各国の金融政策会合は年後半の政策動向を見通す上で欠かせないとあって、投資家の視線が集まります。
米金融政策を巡っては、6月8日時点の「CMEのFedWatch ツール」を基にすれば、「6月スキップ+7月追加利上げして打ち止め」(約38.2%)、「6月+7月とも据置き」(約26.4%)、「6月利上げ+7月以降は据え置き」(約12.8%)、「6月+7月連続利上げ」(約3.5%)の順となっており、今月は利上げを見送り経済指標の蓄積を待つことになりそうです。そのため、注目は四半期に一度、更新される経済・物価見通しと考えます。金融政策動向を見通す上で、今年や来年のインフレ見通しがどのように修正されるかが重要です。足元の卸売物価がかなり急速に低下するなどインフレ圧力後退への意識が広がりつつある中で、FOMC前日の米5月消費者物価指数も弱めの結果となれば、利下げに転じる時期が早まるとの思惑から、米ドルを圧迫するかもしれません。
かたや日銀会合ですが、植田日銀総裁は「消費者物価指数は年度半ばから後半にかなりはっきり低下する」と以前からの見通しを変えていないため、今会合では政策修正は見送られると考えます。日銀会合からは、円高バイアスは高まりづらそうです。ただし、イールドカーブ・コントロール(YCC)の見直しについては、中途半端な情報発信が市場を大きくかく乱することになり、「予め市場に織り込ませることが難しい」との認識も示しているため、サプライズを警戒する声もごく一部にあります。個人的には、米ドル/円はFOMCで下げたあと日銀会合を受けて下げ幅を縮小する格好になるのではないかと考えます。
米ドル/円、三角保ち合いをどちらにブレイク?
米ドル/円は三角保ち合いの状態で、どちらにレンジブレイクするかが注目されます。下方向に抜けてくれば、200日移動平均線のサポート力確認の流れとなり、137.000円まで目線が下がることになりそうです。一方、レジスタンスラインを上抜けてくれば、143.000円付近まで視線が上がりそうです。
【米ドル/円チャート 日足】
出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」
予想レンジ:USD/JPY:137.000-143.000
6/12 週のイベント:
6/12(月) 8:50 日本 5月国内企業物価指数
6/13(火) 8:50 日本 4-6月期四半期法人企業景気予測調査(BSI)
6/13(火) 21:30 米国 5月消費者物価指数(CPI)
6/13(火) 24:00 米国 イエレン財務長官、議会証言
6/14(水) 21:30 米国 5月卸売物価指数(PPI)
6/14(水) 27:00 米国 米連邦公開市場委員会(FOMC)、終了後政策金利発表
6/14(水) 27:30 米国 パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、定例記者会見
6/15(木) 8:50 日本 対外対内証券売買契約等の状況
6/15(木) 8:50 日本 5月貿易統計
6/15(木) 13:30 日本 4月第三次産業活動指数
6/15(木) 21:30 米国 新規失業保険申請件数
6/15(木) 21:30 米国 6月ニューヨーク連銀製造業景気指数
6/15(木) 21:30 米国 5月小売売上高
6/15(木) 21:30 米国 6月フィラデルフィア連銀製造業景気指数
6/16(金) ― 日本 日銀金融政策決定会合、終了後政策金利発表
6/16(金) 15:30 日本 植田日銀総裁、会見
6/16(金) 23:00 米国 6月ミシガン大学消費者態度指数・速報値
一言コメント
日本では解散風が徐々に強まっています。ただ、岸田政権が掲げる少子化対策は財源や具体策の議論が進んでおらず、国民は判断しようがありません。この状態で、ホントに選挙に向かうのでしょうか。今のマスコミの論調には少し疑問があります。
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