個人投資家として活躍するひろぴー氏が、独自の最新マーケット分析を毎週公開します。現在のFXマーケットを取り巻く情報の整理をする際、また短期間の FXトレード戦略を考える際に、お役立てください。
作成日時:2023年5月31日14時
執筆:CXRエンジニアリング株式会社 代表取締役 ひろぴー
昨日は、財務省、政府、日銀の三者会合が行われました。
昨年も為替介入前に行われ、その後、レートチェック→為替介入というステップでマーケットに政府が介入しました。まずは、為替介入の最初のシグナルが点灯しました。
ここ最近の日銀は巧みで、昨年12月のYCCバンド幅拡大を突如発表するなど、不意打ちにマーケットを揺さぶることが増えてきております。
通常ならば、ドル/円が上昇し、さらにマーケットは政府介入を煽る値動きになることが多いのですが、発表から24時間近くが経過しますが、今のところ、効果ありです。
140円をキープできず、139円台後半で推移が続いております。
不意をつくならば、今日明日にでもレートチェックを実行し、スピード感を持って対応すれば、マーケットは驚くでしょう。為替介入をしなくとも、一気に崩れ落ちやすいように考えます。
ここ半年の日銀の動きをイメージしますと、こういったサプライズにも警戒しておくべきではないでしょうか。
目次
▼ドル/円、目先調整ターゲットプライス138円前後
▼オセアニアが弱い?中国経済指標を嫌気か?
ドル/円、目先調整ターゲットプライス138円前後
出所:TradingView
ドル/円4時間足です。トレンドラインを右方向に抜けてきました。
139.50円のサポートラインで踏ん張りを見せております。
ここを割り込みますと、ストップを巻きこんで139円まで下落しそうです。
個人的には、フィボナッチの38.2%押しを意識し、直近高値の4円弱下落から上昇再開をイメージしております。
根拠としては、昨年の春頃、120円→125円に急上昇したタイミングで、政府から口先介入が入りました。あのときは3.5円ほど調整したため、今回も似たような騰落率になることを予想しているわけです。
またテクニカル的にも良好です。RCI26はあと6−8時間もすれば、0.00ラインに到達し、割り込む動きを見せるでしょう。
さらにRCI52も+80ラインを似たようなタイミングで割り込みはじめるため、調整局面のこの2本のラインがタイミングを合わせてきますと、下落確率があがります。
さらにその下落は加速しやすい傾向があるので、個人的には弱気です。
今週後半にかけて、ちょっとした急落があるようにも感じます。
オセアニアが弱い?中国経済指標を嫌気か?
出所:TradingView
先ほど発表されたオーストラリアの4月消費者物価指数(CPI)は市場予想を上回る+6.4%→+6.8%という結果になりました。
これを受けて豪ドルは上昇したのですが、即切り返して下落に至ります。
理由としては同時刻に発表された中国PMIが市場予想を下回ったからでしょう。
一時、豪ドル/米ドルは0.6540をつけたのですが、現在は0.65を少し割れている状況です。
中国5月製造業PMIは市場予想+49.4のところ、結果が+48.8となりました。中国景気が悪化すれば、オーストラリアのCPIも自然に下落します。よって、現状重要視されなかったのでしょう。
ドル人民元レートも上昇しており、全体的に弱々しい印象です。
6月はオセアニア通貨が弱く推移する可能性があります。
チャートは豪ドル/米ドルの日足です。レジスタンスラインが0.6560付近に引け、豪CPIが大幅に上回る結果だったのにも関わらず、このラインにタッチすらしませんでした。
よほど、中国経済の先行きを懸念しているマーケットの現れではないでしょうか?
原油価格も今週から再び70ドルを割り込んできております。
オセアニア通貨安、人民元安、原油安、さらに銅も安いです。
中国経済が再び失速を懸念されている証拠かもしれません。東京時間にネガティブ反応していることを考えると本国からの売りなのでしょう。
まだポジションをとっておりませんが、6月の戦略はオセアニア売りから入りたいと思います。
豪ドル/米ドルか豪ドル/円のショート、ないしは、ユーロ/豪ドルやポンド/豪ドルのロングエントリーも意識してトレードしていこうと思います。
まずは目先ドル/円の短期的な調整相場に期待しておりますが、中国経済の動向にも注目です。
【ひろぴー氏出演動画】
【インタビュー】
「初心者から上級者まで相場観が一致したときが一番危険」(前編)
<もくじ>
・幼稚園児 投資に目覚める
・どこか引っかかる感じを大切に
・個人投資家におすすめ書籍と読む時期
「低勝率型こそ1憶円への近道」(中編)
<もくじ>
・勝率は低いほうがいい
・その失敗が糧となる!?
・他の金融商品も考え方は一緒
・日銀緩和のときに活きた投資の勉強
・決済はむずかしい
・低レバレッジでリスクを抑える
「はじめて話す 外為注文情報 活用法」(後編)
<もくじ>
・損切り注文の功罪
・シグナル、逆シグナル
・検証の果てに
・ローソク足は基本どおり見る
・外為注文情報の活用
・レポートの勧め

FX&Cryptoトレーダー、業界ニックネームは「ひろぴー」。ラジオ日経パーソナリティ、FX会社や仮想通貨取引所のコラムニストとして活動の場は多岐に渡る。自らのトレーディングノウハウから、ユーザビリティの高いインターフェース総監督を担う。FX会社や金融プラットフォーム開発エンジニアリング企業、仮想通貨取引所へのコンサルティング業が主。 2019年7月より TradingView Japan の Marketing Director に就任。
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