執筆:外為どっとコム総合研究所 神田 卓也
メキシコペソ/円(4時間足)
※レポート内の為替レート・チャートは外為どっとコム「外貨ネクストネオ」を参照
直近1週間のポイント
・対円で2015年7月以来の高値
・対ドルでも2016年以来の高値
・好調な経済と高金利がペソを支援
足元のメキシコペソ/円は8年ぶり高値へと上伸
ペソ/円は12日に今月2日に付けた7.679円前後を上抜けて月初来高値を更新。
その後も連日の高値更新となり、16日には7.836円前後へと上昇して2015年7月以来およそ8年ぶりの高値を付けました。
なお、ペソは対ドルでも上昇しており、ドル/ペソ相場は15日に7年ぶりの安値(ドル安・ペソ高水準)を付ける場面がありました。
こうしたペソ堅調の背景は、メキシコの好調な経済と高い金利水準にあると考えられます。
メキシコの主力産業である自動車産業は引き続き堅調で、4月の生産台数は前年比17.1%増、輸出台数も5.0%増となっています。
また、世界的に多くの中銀が利上げの打ち止め時期を模索し始めた中、相対的に高いメキシコの金利水準がペソの強みになっていると考えられます。
注目ポイントはメキシコ中銀
メキシコ中銀は18日に金融政策発表を行います。市場の予想では政策金利を11.25%に据え置くとの見方が優勢です。
メキシコ中銀は前回3月会合で15回連続の利上げを決めましたが、その際に発表した声明から、追加利上げを示唆する文言を削除。
さらに、今月9日に発表されたメキシコ4月消費者物価指数(CPI)が3カ月連続で伸びが鈍化したことで今回は政策金利を据え置くとの予想が広がっています。
ただ、今月9日に発表されたメキシコの4月のインフレ率は6.25%で、中銀のインフレ目標である2-4%を依然として大幅に上回っています。
加えて、中銀はインフレが目標レンジに近付くのは来年2024年10-12月期になるとの見通しを示しているため、早期の利下げ停止を決めることには慎重になる可能性もありそうです。
そうした経緯から、市場の一部には中銀が今回も25bp(0.25%ポイント)の利上げを行うとの予想が残っています。
仮に大方の予想通りに政策金利を据え置いたとしても、当面は金利を高水準に維持する方針を示す公算が大きいでしょう。
メキシコ中銀の判断に注目が集まりそうです。
来週までのメキシコペソ/円の見通し
予想レンジ
7.650~7.950円
基調
底堅い
来週までの注目ポイント
☆5/18 メキシコ中銀政策金利
・主要国株価、国際商品価格
「為替チャート|メキシコペソ/円(MXNJPY)|60分足」はこちら
神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
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