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メキシコの金融政策
メキシコ中銀は3月30日の会合で政策金利を0.25%引き上げて11.25%としました。今回は0.25%の利上げが予想されていたのでサプライズはありませんでした。
2月会合での声明文では、今回の会合での利上げ幅縮小可能性に言及していました。また、3月23日に発表された3月前半のインフレ率の低下も、利上げ幅縮小の材料になりました。
2月会合の声明文では「すでに達成された金融政策スタンスを考慮し、次回会合において政策金利の上振れ方向での調整規模をより小さくできる可能性がある」と利上げ継続ながら利上げ幅縮小を予告しました。
3月会合の声明文では「インフレ見通しやすでに達成された金融政策スタンスを考慮に入れる」とし利上げ方向の示唆がなくなり引き締め方向から中立方向への可能性に言及しました。
5月18日の会合で利上げの可能性もまだ残っていますが、据え置きになり引き上げバイアスから中立になる可能性は十分にあると思います。
メキシコ中銀はFEDの利上げ局面では金利差縮小から資金流出を警戒するために、FEDの金融政策をしっかりフォローしています。今回もFEDの利上げ幅を上回る引き締めを行ってきており、両国の金利差は6.25~6.5%あります。これは過去のFEDの引き締め局面と比較して大きくなっており、このことが今回FEDの利上げが急速だったにもかかわらずメキシコペソが上昇し、ドルに対してもほぼ唯一上昇した通貨になりました。
仮にFEDが0.25%に引上げ、メキシコ中銀は5月会合で据え置きを決定したとしても、金利差はまだ6~6.25%を確保しているので、それだけでペソの下落材料にはならないと思います。むしろ今後、FEDが利下げに転じる局面でメキシコとの金利差が高く維持されれば、ペソが堅調に推移する可能性はあると思います。5月のFOMC、メキシコ中銀の政策発表は今後のペソにとって重要なポイントになりそうです。
メキシコペソの予想
ドル/メキシコペソは4月17日に17.9335ペソ付近に下落し3月9日の17.8990ペソ以来の安値に下落しました。3月のSVBの破綻などの米銀行ショックによるリスクオフの流れで一時19.23ペソ付近まで上昇しましたが、銀行問題が落ち着くとドル安ペソ高の流れが続いています。ただ、18ペソ付近は2018年4月以来のドル安ペソ高レベルです。ここからさらにドル安ペソ高が進んだ場合のポイントとしては2017年8月の安値17.57ペソ付近、2016年春の17ペソ付近が意識されます。17ペソ付近は長期的に非常に重要なサポートと思われます。ただ4月25日の銀行株の下落からリスクオフの流れでドルペソは18.14ペソ付近まで上昇し、3月以降レジスタンスになっていた25日移動平均線を抜けつつあります(まだ完全には抜けていません)。リスクオフの流れが続きドルが上昇するようであれば4月の戻り高値18.40ペソ付近、そこを抜けるようであれば18.60ペソ付近への上昇を予想します。
ペソ/円は3月の高値7.643円から6.787円に下落しましたが7.48円まで反発しました。7.5円付近がレジスタンスになり7.34円付近で推移しています。
こちらも25日移動平均線の7.35円付近を下抜けしつつあります。ここを下抜けする場合は7.1円付近への下落を予想します。
7.1円が維持できれば7.1~7.5円、下抜けする場合は6.9円付近への下落を予想します(執筆時)。
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新興国通貨が高金利である理由について
新興国に分類される国々は概して政治リスクや財政リスクが先進国よりも高く、したがってその経済的信用度は相対的に低い水準にあります。こうした条件下では海外投資家の資金を呼び寄せられず、経済発展の支障となるため、金利を上げたり税金を安くしたりすることで、信用度の低さを補いうる投資環境を構築しようとします。そのため新興国通貨は一般に先進国通貨よりも高金利となる傾向にありますが、前述したように各種リスクが高い水準にあることから、長期的には先進国通貨に比べて価値が下がる(=通貨が下落する)条件を備えているともいえます。
株式会社ADVANCE代表取締役 米系のシティバンク、英系のスタンダード・チャータード銀行で、20年以上にわたり、為替ディーラーとして活躍。現在は投資情報配信を主業務とする株式会社ADVANCE代表取締役。ドル、ユーロなどメジャー通貨のみならず、アジア通貨をはじめとするエマージング通貨でのディーリングについても造詣が深い。また、海外のトレーダー、ファンド関係者との親交も深い。ブログ「YEN蔵のFX投資術」、メルマガ「YEN蔵の市場便り」で個人投資家に対して為替に関する情報を発信しており、人気を博している。
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