高金利通貨である南アフリカ ランドについて、中長期にわたり買いポジションを保有する視点で、現在を分析します。
執筆:外為どっとコム総合研究所 中村 勉
Twitter:@gaitamesk_naka
目次
南アフリカ ランド/円 上昇・下落のパワーバランス
南アフリカ ランド/円をトレードするうえで重要となる経済指標やイベントを個別に点検します。
1月26日の南ア準備銀行(SARB)金融政策会合で市場予想(0.50%)を下回る0.25%の利上げを実施し政策金利を7.25%とした。5人の理事のうち3人が0.25%利上げを、2人が0.50%利上げを支持した。次回会合は3月30日。
本日、南アフリカ・2月消費者物価指数(CPI)発表!
1月の南アCPIは前年比+6.9%。2022年5月以来の7%割れとなった。2月分の市場予想は+6.8%。SARBのインフレ目標は3~6%。
1月の南ア・貿易収支は231億ランドの赤字と前年12月の50億ランドの黒字から大幅に悪化した。資源価格の低下やランド安などが要因。
1月の南ア・小売売上高は前年比-0.8%と予想(-2.0%)は上回ったものの、前月(-0.6%)よりも悪化。2カ月連続のマイナスとなった。
3月7日に発表された南アフリカ2022年第4四半期国内総生産(GDP)は前期比-1.3%と予想(-0.4%)を大きく下振れ。断続的な停電が経済に悪影響を与えている。
①1月26日にSARBは0.25%に利上げ幅を縮小したことで、利上げサイクルが終盤に差し掛かっていると市場は勘案している。
②国営電力会社のエスコムの施設老朽化と整備不足による深刻な電力不足により、ラマポーザ大統領は2月9日に国家非常事態宣言を発令。
③②が起因となり大手格付け会社S&Pは3月8日に同国の格付け見通しを「ポジティブ」から「安定的」に引き下げた。今後格付けの格下げの可能性もあると指摘。
パワーバランス まとめ
SARBは1月26日の会合で8会合連続の利上げを実施。しかし利上げ幅は市場の予想を下回った。インフレ率は、8カ月ぶりに6%台へ低下。しかし、電力不足を起因とした懸念点が多く、格付け会社は格下げの可能性も指摘している。
南アフリカ ランド/円、いまが買いどき?
インフレ率はジリジリと中銀目標レンジに向けて低下している。電力不足は引き続き南ア経済の足枷となっており、長引く電力不足(発電施設のメンテナンスのため、今後さらに悪化が予想される)が、多方面で問題となっている。格付け会社による格下げの可能性も取り沙汰されている。今は様子見が良さそうだ。
経済指標予定
3月22日 17:00 2月CPI
3月30日 17:30 2月卸売物価指数(PPI)
3月30日 時間未定 SARB政策金利
3月31日 21:00 2月貿易収支
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当社取扱通貨のうち、いわゆる新興国通貨に分類されるトルコリラ・南アフリカランドおよびメキシコペソ(MXN)はインターバンク(銀行間為替市場)における流動性が主要国通貨に比べ相対的に低く、経済指標発表のみならず金融政策変更やその他政治的要因、さらには地政学的リスク等の要因による突発的な相場急変動が起こりやすい環境下にございます。また、こうした急変動時には実勢インターバンクレートのスプレッド(BidとAskの差)も平常時に比べ大幅に拡大する傾向にあり、その場合には当社でもやむなく提示スプレッドを一時的に拡大することがございます。あわせて、相場状況により「ダイレクトカバーの対象となる注文」の基準Lot数(最低数量)を一時的に変更する場合がございますので、あらかじめご承知おきくださいますようお願いいたします。これら新興国通貨のお取引、およびこれらを対象とするキャンペーンへのご参加に際しては、以上につきあらかじめご留意のうえ、ポジション保有時、特に法人会員様の高レバレッジ取引における口座管理には十分ご注意くださいますようお願い申し上げます。以上の新興国通貨それぞれのリスク、および直近時点でのリスクレポートにつきましては、こちらのページをご参照願います。
新興国通貨が高金利である理由について
新興国に分類される国々は概して政治リスクや財政リスクが先進国よりも高く、したがってその経済的信用度は相対的に低い水準にあります。こうした条件下では海外投資家の資金を呼び寄せられず、経済発展の支障となるため、金利を上げたり税金を安くしたりすることで、信用度の低さを補いうる投資環境を構築しようとします。そのため新興国通貨は一般に先進国通貨よりも高金利となる傾向にありますが、前述したように各種リスクが高い水準にあることから、長期的には先進国通貨に比べて価値が下がる(=通貨が下落する)条件を備えているともいえます。
中村 勉(なかむら・つとむ)
米国の大学で学び、帰国後に上田ハーロー(株)へ入社。 8年間カバーディーラーに従事し、顧客サービス開発にも携わる。 2021年10月から(株)外為どっとコム総合研究所へ入社。 優れた英語力とカバーディーラー時代の経験を活かし、レポート、X(Twitter)を通してFX個人投資家向けの情報発信を担当している。
経済番組専門放送局ストックボイスTV『東京マーケットワイド』、ニッポン放送『飯田浩司のOK! Cozy up!』などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。
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