執筆:外為どっとコム総合研究所 小野 直人
※年内は今回が最終です。新年は1月6日から再開予定。
目次
- ▼12月19日週のドル/円は大暴落
- ▼日銀は23年3月にも次の一手
- ▼米ドル/円の上値を重くしたのは日銀だけじゃない
- ▼52週平均線や一目雲の上側キープできるか注視
- 12/26-1/6週のイベント
- 一言コメント
執筆日時 2022年12月23日 16時30分
円安へのハードルが上昇、23年前半のレンジは124.00~138.00円と予想
12月19日週のドル/円は大暴落
日銀はイールドカーブコントロール(YCC)政策における長期金利の誘導水準を0%程度に維持しつつ、変動許容幅を0.25%程度から0.5%程度に拡大するなど、運用見直しに踏み切ったことが実質的な利上げと受け止められました。137.400円近辺を推移していた米ドル/円は一時130.577円まで低下しました。その後、132円後半まで戻す局面はありましたが、市場の懐疑心は拭えず戻りは限定的でした。(各レート水準は執筆時点のもの)
※相場動向については、外為どっとコム総研のTEAMハロンズが配信している番組でも解説しています。
FX、要警戒!海外勢本格参入で、投機筋マイナス金利解除狙いか (2022年12月22日)- YouTube
日銀は23年3月にも次の一手
米銀の試算によると、今回の日銀の行動による円の上昇幅はいいところ3円程度とのことですが、それ以上にマーケットは債券市場の混乱を受けて円高が進む展開を見せています。今後、債券市場を落ち着かせるために、総裁や各委員が大規模緩和の連続性をアピールすることで、円が2・3円ほど円安方向に動く場面はあるかもしれません。しかし、黒田総裁は「市場や経済・物価動向が変われば、適切対応は当然」と述べて、YCCや量的・質的緩和の見直しは当面考えないとしながらも、運用を見直すことは否定しておらず、状況によってはもう一段の修正があるかもしれません。市場では、23年3月にも日銀が追加修正を行うとの予想も出始めています。今回の突然の政策修正が投資家の頭に強く印象付けられたため、目先の日銀会合での政策修正期待を高めてしまう可能性はあり、少なくとも来年前半は円安へのハードルは上がったと感じます。
米ドル/円の上値を重くしたのは日銀だけじゃない
米ドル/円の上値が重くなった理由は日銀だけが理由ではありません。米国のリセッション観測などグローバル経済の成長鈍化観測で、リスク回避時に志向されやすい円買いの影響もあります。利上げペース減速から、主要国と本邦の金利差の縮小傾向が続けば、円がじり高基調で推移する危険もあるでしょう。目先は、年明けのISM製造業・非製造業、米雇用統計など注目度の高い指標を受けて、米国金融政策のタカ派色がさらに薄まるのかどうかが着目されそうです。特に、FRBの利上げペース鈍化の流れが広がるのか、米雇用統計での失業率や時間給の動向に着目が集まるでしょう。
市場参加者が限定されるため流動性が枯渇し、僅かなフローで想定以上に値幅が出る危険もあります。未だ、米ドル/円のロングポジションを抱えたままの個人投資家は多いようで、こうしたポジションのストップロスを狙った投機的な動きから、円が急騰する危険もあり、年末から年初にかけては警戒レベルが高まりそうです。
52週平均線や一目雲の上側キープできるか注視
今年2月以降、安定的に上回っていた52週移動平均線(131.168円)を瞬間的に下抜けるなど、中長期でのトレンド転換が意識されやすい状況となっています。週足終値で同ラインを割り込んできた場合は、その下の週足一目均衡表・雲の上限(128.454円)トライが意識されます。
ここで、踏みとどまることができれば、週足一目・雲の形状から、中期で138円付近までの戻りも期待できそうですが、そのまま、雲の中へすんなりと垂れて行くようだと、週足ベースでの三役逆転が警戒され始めそうです。この場合、半年程度かけて124.000円付近まで目線が下がっていく可能性はあります。目先は、52週移動平均線や雲上限での動向を確かめることになりそうです。
【米ドル/円チャート 週足】
出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」
予想レンジ:USD/JPY:128.500-134.500(12/26/-1/6)
12/26-1/6 週のイベント:
12/27(火) 8:30 日本 11月失業率
12/27(火) 22:30 米国 11月卸売在庫
12/27(火) 23:00 米国 10月住宅価格指数
12/28(水) 8:50 日本 11月鉱工業生産・速報値
12/28(水) 24:00米国 12月リッチモンド連銀製造業指数
12/29(木) 22:30 米国 新規失業保険申請件数
12/30(金) 23:45 米国 12月シカゴ購買部協会景気指数
1/3(火) 24:00 米国 11月建設支出
1/4(水) 8:50 日本 対外対内証券売買契約等の状況
1/4(水) 24:00 米国 12月ISM製造業景況指数
1/4(水) 28:00 米国 米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨
1/5(木) 22:15 米国 12月ADP雇用統計
1/5(木) 22:30 米国 11月貿易収支
1/5(木) 22:30 米国 新規失業保険申請件数
1/5(木) 23:45 米国 12月サービス部門購買担当者景気指数(PMI、改定値)
1/5(木) 23:45 米国 12月総合購買担当者景気指数(PMI、改定値)
1/6(金) 22:30 米国 12月非農業部門雇用者数変化
1/6(金) 22:30 米国 12月失業率
1/6(金) 22:30 米国 12月平均時給
1/6(金) 24:00 米国 11月製造業新規受注
1/6(金) 24:00 米国 12月ISM非製造業景況指数
一言コメント
外為どっとコム総合研究所のTEAMハロンズ(@TeamHallons) が平日毎日21時よりライブ配信しています。番組では、注目材料の紹介、テクニカル分析でエントリーポイントや利食い・損切りポイントを解説し、実際にリアルトレードも行っています。ご興味のある方は、一度、こちらにアクセスしてみてください。
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