総括
FX「習主席の「喝!」で急速に戻した上海株価市場と人民元の対ドル相場」人民元見通し
(通貨8位(7位)、株価14位(13位))
予想レンジ 人民元/円 19.3-20.0
(ポイント)
*中国株価と人民元は共産党大会以降の習主席の発言で持ちなおしている
*10月鉱工業生産と小売売上は予想を下回った
*米中首脳会談は声明は公表されていないが、一歩前進で今後の対話の道が開かれた
*コロナ感染者数が再び増加、抜本的なゼロコロナ政策解除は行われていない
*10月生産者物価は低下、世界の流れと逆、デフレか
*消費物価も低位安定
*10月貿易収支では輸出入伸びず
*対露貿易は拡大
*経常収支黒字は改善
*3Q・GDP成長率は前年比3.9%
*22年実質成長率、2.8%に下方修正 世界銀行
(急速に戻した上海株価市場と人民元の対ドル相場)
10月半ばの共産党大会前後で大きく売られた中国・香港株と人民元であったが、習国家主席ら政府要人が立て直し発言を繰り返し持ち直した。チャートは上海総合指数とドル人民元相場。ただ11月に入ってのドル急落(米CPI低下で)では、人民元相場は米ドル比重の大きいバスケット制をとっているので、ドルとともに下落して対円では19円半ばに下落している(チャートは後記)
*上海株
*ドル人民元
(米中首脳会談)
米中首脳会談が行われた。
習国家主席は、米中関係の現状は両国の利益にならず、国際社会の期待にもかなわないとした。その上で、米中関係を健全で安定した発展の軌道に戻すことは世界の利益になるとし、両国は文化、社会制度、発展への道筋などが異なるため今後も食い違いや対立はあるが、関係発展の障害とすべきでないとした。
また、貿易戦争、科学技術戦争やデカップリングの推進は、自他いずれにとっても損失だとし、経済・貿易や科学技術についての交流を政治問題化、武器化することにも反対した。同時に、米中の共通の利益は増加しており、気候変動や世界各地で起こる問題への対応には両国の協力が必要とし、関係改善の重要性を伝えた。
習国家主席はウクライナ問題については、米国、NATO、EUもロシアと対話するよう希望した。
また、台湾問題は中国の核心的利益の中の核心であり「中米関係で越えてはならない1番のレッドラインだ」とし、米国に「台湾独立を支持しない」などの同意事項を守るよう求めた。
会談での合意事項として(1)双方の外交団が戦略的対話を続け、継続的協議を行う、(2)財政・金融チームによるマクロ経済政策、経済・貿易についての対話・協調を行う、(3)COP27(国連気候変動枠組み条約第27回締約国会議)の成功に向け共同で努力する、(4)公共衛生、農業および食糧安全保障対話を行う、(5)米中共同チームが具体的な問題解決を推進する、(6)各分野での人材交流の拡大を奨励する、といった内容が挙げられている。
(10月鉱工業生産と小売売上高が予想下回る)
10月鉱工業生産は前年比5.0%増加し、前月の6.3%増から伸びが鈍化した。予想の5.2%増も下回った。
10月小売売上高は前年比0.5%減少した。上海市で全面的なロックダウンが導入されていた5月以降初めてのマイナスとなった。予想は1.0%増、9月は2.5%増だった。
10月は通常、国内旅行が活発になる時期だが、国慶節の連休も消費押し上げにはほとんどつながらなかった。
テクニカル分析(人民元/円)
ボリバン2σ下限で低迷、雲の下
日足、ボリバン2σ下限で低迷。11月14日-16日の上昇ラインがサポート。11月15日-16日の下降ラインが上値抵抗。雲下。5日線、20日線下向き。
週足、8月1日週-10月31日週の上昇ラインを下抜いて急落。10月31日週-11月7日週の下降ラインが上値抵抗。5月23日週-11月7日週の上昇ラインがサポート。
月足、10月は上昇局面を見せながらも長い上ヒゲを残し11月は陰線スタート。ボリバン2σ上限に達して下落。6月-8月の上昇ラインを下抜き下落。21年12月-22年2月の上昇ラインがサポート。
年足、21年は大陽線。20年-21年の上昇ラインがサポート。15年-21年の下降ラインを上抜いて22年スタート、ここまで陽線。
チーファンラマ
中国が人材吸収
最近は米国IT企業が人員削減を行っているが、一部中国企業がそれを吸収しているそうだ。
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