執筆:外為どっとコム総合研究所 小野 直人
目次
- ▼ドル/円20年4カ月ぶりの134円台、140円に死角はないのか?
- ▼6月6日週のドル/円は一気に134円台回復を達成
- ▼米FOMCと日銀会合の出来次第
- ▼ドル/円は短期調整先行か
- 6/13週のイベント
- 一言コメント
執筆日時 2022年06月10日 16時00分
ドル/円20年4カ月ぶりの134円台、140円に死角はないのか?
6月6日週のドル/円は一気に134円台回復を達成
米国の長期金利が3%台へ戻す動きから、日米の金利差拡大が意識され、円安が活性化。これまでの年初来高値131.347円の上抜けに成功すると、騰勢を強めて134.552円まで上伸しました。ただ、終盤には財務省・金融庁・日銀による情報交換会開催の話題から、急速な円安への警戒心もくすぶり133.638円(執筆時点)まで下げる局面もありました。
米FOMCと日銀会合の出来次第
来週は日米揃って金融政策会合が開催されます。米国は既に0.5%の利上げが完全に織り込まれており、注目はパウエルFRB議長の会見と新たに公表される経済見通しとなります。パウエル議長が会見で、今後の利上げに対してどのような認識を示すのか、または新たな経済予測において、インフレ見通しや成長見通しが上下どちらに修正されてくるのかなど、利上げスピードを見通す上での着目点は多いです。インフレ予想の『下方修正』、経済成長の『上方修正』なら、リスクオンでドル/円は140.000円に向けた動きを速めるかもしれません。しかし、逆のケースでインフレ予想の『上方修正』、経済成長の『下方修正』なら、米国のスタグフレーション不安が再認識される可能性もあるため、注意が必要です。
※3月時点のFOMC参加者の経済見通し(中央値)、出所:FRB
この時は、米金利上昇によるドル高と株安の波及による円買いで、本来は方向感が出にくいはずのドル/円も、足元の急騰で高値警戒心がくすぶっていますので、想定以上に下落幅を広げ、これまでの年初来高値131.347円近へ低下するかもしれません。加えて、本邦の動きにも警戒です。日銀の大規模な金融緩和による金融政策の格差をテーマにした円安の流れは変化していませんが、さすがに本邦当局が無条件で今の円安進行を許容できるとも思えません。今後、多方面から円安けん制が強まる可能性があることも、ドル/円の上値を抑える危険があります。17日の黒田総裁の会見で、足元の円安への目立った口先介入が聞こえなければ、その時点から改めて、円安が進んでいきそうな展開をイメージしてます。それまではドル/円は、調整的な動きが続くのではないかと考えています。
ドル/円は短期調整先行か
好調な地合いが継続しており、引き続き押し目買い目線です。ただ、オシレーター系指標の多くで買われ過ぎ警戒感が強いため、押し目が少し深くなる危険があり、慌てずにじっくりチャンスを待ちたいです。期間21の日足ボリンジャーバンドのプラス1σラインが推移する132.078円(執筆時点)あたりが最初のレベルと考えられ、その下がこれまでの年初来高値レベルだった131.500円付近が次のレベルとみています。
【ドル/円チャート 日足】
出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」
予想レンジ:USD/JPY:131.000-135.000
6/13週のイベント
6/14(火) 21:30 米国 5月卸売物価指数(PPI)
6/15(水) 08:50 日本 4月機械受注
6/15(水) 21:30 米国 5月小売売上高(前月比)
6/15(水) 21:30 米国 6月ニューヨーク連銀製造業景気指数
6/15(水) 23:00 米国 4月企業在庫
6/15(水) 23:00 米国 6月NAHB住宅市場指数
6/15(水) 27:00 米国 米連邦公開市場委員会(FOMC)、終了後政策金利発表
6/15(水) 27:30 米国 パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、定例記者会見
6/16(木) 08:50 日本 5月貿易統計
6/16(木) 21:30 米国 5月住宅着工件数
6/16(木) 21:30 米国 5月建設許可件数
6/16(木) 21:30 米国 新規失業保険申請件数
6/16(木) 21:30 米国 6月フィラデルフィア連銀製造業景気指数
6/17(金) - 日本 日銀金融政策決定会合、終了後政策金利発表
6/17(金) 15:30 日本 黒田東彦日銀総裁、定例記者会見
6/17(金) 22:15 米国 5月鉱工業生産(前月比)
6/17(金) 23:00 米国 5月景気先行指標総合指数
一言コメント
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