豪ドルのFXデイトレードを行ううえで、インプットしておきたいトレードシナリオなどをギュッとまとめました。
執筆:外為どっとコム総合研究所 中村 勉
Twitter:@gaitamesk_naka
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目次
今日の豪ドル トレードシナリオ
ここまでの相場
・6月7日のRBA理事会で政策金利を市場予想(0.25%~0.40%)を上回る0.50%の利上げを実施。今後も大幅利上げの可能性がある。
・4月27日発表の豪2022年1‐3月期 CPIは前年比+3.7%(トリム平均)とRBAの目標レンジ(2~3%)を突破。市場の予想(+3.4%)を大きく上回る結果となった。
・2022年1‐3月期の豪賃金指数(前年比)は+2.4%と前期(+2.3%)を上回る。しかしRBAの目標とする3%には届かず(5月18日)。
・4月分の豪雇用者数は0.4万人増と予想の3.0万人増を下回る。ただ、失業率は市場最低の3.9%、雇用者数も正規雇用者数が大幅増加していたため、内容は悪くない(5月19日)。
・中国・上海は、6月1日から一部区域を除いてほぼ全面的に外出制限が解除。北京でも6月6日から一部地域を除いて、飲食店での食事が可能となった。天津市でも地下鉄の運行が再開された(6月7日)。
・WTI原油価格は、米国の週間石油在庫でガソリン在庫が予想外の切り崩しとなったことで、逼迫懸念から一時1バレル=123ドル台まで上昇(6月8日)。
今日のメインシナリオ
豪ドル/円は買い継続だが、急速に進む円安に介入警戒感が強まる可能性あり
円安の勢いが止まらない。日本以外の主要国中銀では金融政策を引き締めに転換しつつある中で、日銀だけは依然として金融緩和を継続することを公言していることが材料視されているからだ。本日は、中国の5月貿易収支(前年比)が発表される。中国国内のいたるところで厳格な行動制限が発令されていた4月と比べると5月は中旬辺りから制限が徐々に解除されたことで、市場は輸出、輸入ともに前月より大きな伸びなると予想している。予想を上回る結果となれば豪ドルにとってはポジティブ材料。予想を下回ったとしても、中国経済が回復途中にあることが意識されることで豪ドル/円の下値は限定的となりそうだ。
一方で、警戒すべきは急速に進んでいる円安への牽制となる。冒頭にも書いた通り、日銀と他の主要国中銀の金融政策の違いが材料視され、過去2週間で米ドル/円は126円台半ばから134円台半ばまで約8円もの円安が進行している。米ドル/円の135円は2002年2月以来の水準であるとともに、キリの良い節目として市場でも意識されている。そういったことから、「米ドル/円の135円がドル売り・円買い介入ラインなのでは?」との声も聞こえてくる。仮に135円が介入実施のラインであれば、その前に本邦金融当局者からこれまでよりも強いトーンの円安牽制発言が出てくることとなる。そうなると、介入への警戒感が一気に強まり、円安の一服が想定できるため、豪ドル/円の上値は重くなることとなりそうだ。金融当局者の牽制のトーンがこれまでと変わらなければ、「介入はまだ先」と市場参加者は捉えるため、円安基調が続くことになりそうだ。
個別の想定シナリオ
■日銀の「金融緩和を継続」指針が材料視
⇒円が売られやすい状況
⇒本邦金融当局者による円安牽制
⇒これまでと牽制のトーンが変わっていれば介入警戒度上昇
⇒円売りが止まる
⇒豪ドル/円は上値が抑えられる
チャート分析
今後の注目材料
中国5月貿易収支
本邦金融当局者の牽制発言の有無と内容
「ぴたんこテクニカル」の「お天気シグナル」
外為どっとコムのテクニカル分析ツール「ぴたんこテクニカル」の「お天気シグナル」では豪ドル/円は雨、豪ドル/米ドルは晴れとなっている。3時に豪ドル/米ドルの移動平均で売りシグナルが点灯。
【情報提供:外為どっとコム】
<「ぴたんこテクニカル」の「お天気シグナル」 詳細はこちら>
- ※ 「ぴたんこテクニカル」の「お天気シグナル」とは、選択した通貨ペア・足種に対して、複数のテクニカル分析を行った結果をパネル形式で一覧表示することにより、直感的に相場状況を把握することができるツールのことを指します。
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中村 勉(なかむら・つとむ)
米国の大学で学び、帰国後に上田ハーロー(株)へ入社。 8年間カバーディーラーに従事し、顧客サービス開発にも携わる。 2021年10月から(株)外為どっとコム総合研究所へ入社。 優れた英語力とカバーディーラー時代の経験を活かし、レポート、X(Twitter)を通してFX個人投資家向けの情報発信を担当している。
経済番組専門放送局ストックボイスTV『東京マーケットワイド』、ニッポン放送『飯田浩司のOK! Cozy up!』などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。
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