目次
▼今週の振り返り
▼注目の経済指標
▼コモディティ高は変わらない？
▼テクニカル的には…
▼3/14 週のイベント
▼一言コメント
ウクライナ情勢に変化があっても、豪ドル選好は変わらない。怖いのは…
今週の振り返り
週末に米国と欧州の同盟国がロシア産原油の禁輸を検討との報道が伝わり、7日には原油価格が一時1バレル＝130ドル台まで上伸。豪ドル円も85.51円まで上値を伸ばし年初来高値を4営業日連続で更新しました。8日には資源価格の高騰が世界的なスタグフレーションを引き起こすとの懸念が台頭したことで一時83.81円まで豪ドル円も売りにおされました。しかし9日から10日にかけてUEA（アラブ首長国連邦）が原油増産を検討するようOPECに働きかけるとの報道から、原油増産への期待が膨らみ過度のインフレ懸念が後退したこと、ウクライナ・ロシア外相会談への期待（結果、停戦合意など進展はなし）から株価が上昇し85.602円（執筆時）と再び年初来高値を更新。昨年11月2日以来の水準まで上値を伸ばしました。
注目の経済指標
来週は豪2月雇用統計に注目です。市場では雇用者数は前月比5万人増、労働参加率は66.4%（前回66.2%）、失業率も4.1%（前回4.2%）と力強い結果となる予想となっています。1月の半ばに新型コロナ・オミクロン株の感染拡大がピークを付け、2月上旬に向けて一気に感染者数が減少していく中での統計とあり、一時的に休業していた人たちも戻ってきていると予想されています。予想よりも多少弱くても前月よりも改善されていれば豪ドルにとっては支援材料となります。また内訳では、前回オミクロン株の影響からマイナス1.7万人となった正規雇用者数がこのマイナス幅以上の回復を見せられるかどうか注目したいと思います。
他方で同じ17日にニュージーランドでは2021年第4四半期GDPの発表が予定されています。前回の第3四半期は新型コロナ・デルタ株の感染拡大によるロックダウン措置が長引いたため、前期比-3.7%と史上2番目の下落幅となりました（※史上最大は2020年第2四半期の前期比-10.3%）。市場予想では前期比+3.4%とV字回復となっていますが、昨年12月の半期毎に発表されるNZ経済・財政見通しで、ロバートソンNZ財務相は第4四半期は3.7%の回復すると見込んでいました。政府の見込み通りとなればNZドルには買い圧力がかかってきそうです。
コモディティ高は変わらない？
基本的な考え方として、ウクライナ情勢が悪化しようが、改善しようがエネルギーや穀物、鉱物と言った資源の逼迫懸念は変わりません。原油価格に関しては、米国がシェールオイルの稼働リグ数を上げる（即増産とはならないが、未来への期待に繋がります）ことや、UAEがOPEC（サウジアラビア）を説得して産油量を上げることが出来れば落ち着きが出てくると思います。ただ、ウクライナ・ロシアが広範囲にシェアを誇っていた小麦や鉱物などは当面の間逼迫懸念が付き纏うこととなりそうです。ウクライナ情勢でロシアが停戦、即退却したとしても「ではどうぞ」と西側諸国が経済制裁を解くとは思えません。ロシアがゴールポストを動かして「経済制裁を解くことが条件」と言ってくることもあると思いますが、それこそNATO側がOKしてしまえば、次はそれを見た中国が動き出すことは明白です。ウクライナ情勢の変化により株価の変動はありますが、底堅いコモディティ価格を支えに豪ドル、NZドルは引き続き底堅い動きを続けそうです。ただし、インフレの加速が強すぎて経済が減速してしまう。スタグフレーション懸念が一層強まってくると、需要の減退からコモディティ価格にも調整が入る可能性があることは頭の片隅に入れておきたいところです。
テクニカル的には
上値は2021年5月10日高値の85.800円から同年10月21日高値の86.252円のゾーン（図の橙色帯）が目途として意識されそうです。ここを上抜けると近い水準に次の目途がないため、買いが加速する可能性がある。下値は現時点では日足一目転換線と同基準線がサポートとして意識されそうです。
【豪ドル/円 日足チャート 一目均衡表】
予想レンジ：
AUD/JPY：84.00-87.50、NZD/JPY：78.00-81.00
3/14 週のイベント:
03/15 (火) 09:30 豪 10-12月期四半期住宅価格指数(前年同期比)
03/15 (火) 11:00 中国 2月小売売上高(前年同月比)
03/15 (火) 11:00 中国 2月鉱工業生産(前年同月比)
03/16 (水) 06:45 NZ 10-12月期四半期経常収支
03/17 (木) 06:45 NZ 10-12月期四半期国内総生産（GDP）(前期比)
03/17 (木) 09:30 豪 2月新規雇用者数
03/17 (木) 09:30 豪 2月失業率
執筆：中村 勉
Twitter:@gaitamesk_naka
一言コメント：
3月11日になりました。早いものでもう11年経つのですね。震災時はディーラー席に座っていました。震災の1カ月くらい前にNＺのクライストチャーチで大地震があったことを記憶しています。そして、今年は1月15日にトンガ沖の海底で噴火、3月8日にパプアニューギニアで噴火、3月10日にインドネシア、ジャワ島で噴火と噴火が続いています…
