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FX「リラ・ペソ・ランド・人民元のリスクをチェック」第一生命経済研究所 主席エコノミスト 西濵 徹氏

高金利通貨のリスクをチェック

高金利・新興国通貨のFX取引について、主にリスクにフォーカスしました。

【トルコリラ】

トルコリラを巡っては、インフレ率が中銀の定める目標を大きく上回るとともに、加速感を強めているにも拘らず、エルドアン大統領による圧力を受けて中銀は断続的な利下げ実施に動いたため、その独立性に対する懸念も理由に調整の動きを強める展開が続いた。しかし、トルコ政府は昨年末、トルコ国民によるリラ建定期預金を対象にハードカレンシーに対する資産価値を政府が補填するという実質的な米ドルへのペッグという「奇策」を発表した。この決定を受けてリラ相場は一時的に上昇する動きをみせたものの、相場の混乱を受けて金融機関のなかにはリラの取り扱いをやめる動きもみられるなどくすぶる一方、定期預金の満期が集中する時期に向けて当局が為替介入に動くとの見方もあり、今後のリラ相場には引き続き調整圧力が掛かりやすい上、状況に応じて上下に大きく振れすることも懸念される。

トルコリラ円 FXチャート 

【トルコリラ/円 日足】

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【メキシコペソ】

メキシコペソを巡っては、昨年末にかけて中銀総裁人事を巡る混乱が相場の重石となる動きがみられた。その一方、中銀はインフレ率が加速感を強めるなかで断続的に利上げ実施を決定するなど引き締め姿勢を強めてきたことに加え、その後は総裁人事を巡る不透明感が払しょくされたほか、経済的な結び付きの深い米国の景気回復や国際原油価格の堅調さはペソ相場を下支えしている。なお、ペソ相場は歴史的に米FRBの政策運営の影響を受けやすく、このところの「タカ派」姿勢への傾斜やそれに伴う米ドル高はペソ相場の重石となることが懸念される。ロペス=オブラドール政権は財政出動に慎重な姿勢を維持するなど金融市場から一定の信任を得ている一方、物価高と金利高の共存が景気の足かせとなり得るとともに、政府による財政運営が景気回復の遅れを招く可能性があり、そうした見方が意識されればペソ相場を取り巻く状況が一変することに留意する必要がある。

メキシコペソ/円 FXチャート

【メキシコペソ/円 日足】

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【南アランド】

南アランドを巡っては、昨年末に同国において新たな変異株(オミクロン株)が確認されたことを受けて調整の動きが一段と強まる事態に見舞われた。その後は感染拡大の動きが急激に広がったものの、すでにピークアウトが意識されるなど感染動向の改善が進むことが期待される。他方、同国は外貨準備高が過小であるなど経済のファンダメンタルズ(基礎的条件)が脆弱な国のひとつであり、国際金融市場が動揺する度に資金流出圧力が高まりやすく、米FRBの「タカ派」傾斜やそれに伴う米ドル高はランド相場の重石になることが懸念される。昨年11月の統一地方選では与党ANCの得票率が民主化以降で初めて半数を下回るなど、同党の分裂が懸念されるなかで政治の不安定化が表面化するリスクをはらんでいる。次期総選挙は2024年と先の話であるが、政局の混乱に伴う政治の不安定化は政策運営を通じて経済の行方に影響を与えるとともに、ランド相場の行方にも影響を与える可能性に注意が必要と言える。

南アランド/円 FXチャート

【南アランド/円 日足】

南アランド円日足

【人民元】

人民元相場を巡っては、足下の中国経済は踊り場状態にあるものの、今秋の共産党大会を前に当局が「経済の安定」を重視する姿勢をみせるなか、金融市場では政策支援を期待する向きを反映して堅調な動きが続いている。他方、足下では米FRBが「タカ派」姿勢を強める一方、中国人民銀行は預金準備率を引き下げるなど対照的な動きをみせており、当局の物価抑制策を受けてインフレ率が低調な推移が続けば、追加緩和観測が強まるとともに、人民元相場の重石となることが懸念される。さらに、雇用回復が遅れるなかで家計消費など内需は力強さを欠く展開が続いており、当局が景気回復に向けて人民元安による輸出喚起を図る動きをみせれば人民元相場を取り巻く状況が一変する可能性も残る。今後も当局が前面に押し出す「共同富裕」など政策運営を巡る不透明感が高まることも予想されるなど、人民元相場は引き続き当局の政策運営に揺さぶられる可能性に留意する必要があろう。

人民元/円 FXチャート

【人民元/円 日足チャート】

人民元円 日足

高金利通貨特集│初心者にもわかるFX投資 | 外為どっとコムのFX

店頭FX(外国為替保証金取引)における新興国通貨取引のリスクについて
当社取扱通貨のうち、いわゆる新興国通貨に分類されるトルコリラ・南アフリカランドおよびメキシコペソ(MXN)はインターバンク(銀行間為替市場)における流動性が主要国通貨に比べ相対的に低く、経済指標発表のみならず金融政策変更やその他政治的要因、さらには地政学的リスク等の要因による突発的な相場急変動が起こりやすい環境下にございます。また、こうした急変動時には実勢インターバンクレートのスプレッド(BidとAskの差)も平常時に比べ大幅に拡大する傾向にあり、その場合には当社でもやむなく提示スプレッドを一時的に拡大することがございます。あわせて、相場状況により「ダイレクトカバーの対象となる注文」の基準Lot数(最低数量)を一時的に変更する場合がございますので、あらかじめご承知おきくださいますようお願いいたします。これら新興国通貨のお取引、およびこれらを対象とするキャンペーンへのご参加に際しては、以上につきあらかじめご留意のうえ、ポジション保有時、特に法人会員様の高レバレッジ取引における口座管理には十分ご注意くださいますようお願い申し上げます。以上の新興国通貨それぞれのリスク、および直近時点でのリスクレポートにつきましては、こちらのページをご参照願います。
新興国通貨が高金利である理由について
新興国に分類される国々は概して政治リスクや財政リスクが先進国よりも高く、したがってその経済的信用度は相対的に低い水準にあります。こうした条件下では海外投資家の資金を呼び寄せられず、経済発展の支障となるため、金利を上げたり税金を安くしたりすることで、信用度の低さを補いうる投資環境を構築しようとします。そのため新興国通貨は一般に先進国通貨よりも高金利となる傾向にありますが、前述したように各種リスクが高い水準にあることから、長期的には先進国通貨に比べて価値が下がる(=通貨が下落する)条件を備えているともいえます。
株式会社第一生命経済研究所 経済調査部・主席エコノミスト
西濵 徹(にしはま・とおる)氏
2001年3月 一橋大学経済学部卒。2001年4月 国際協力銀行(JBIC)入行。同行では、ODA部門(現、国際協力機構(JICA))の予算折衝や資金管理、アジア(東アジア・東南アジア・南アジア・中央アジア)向け円借款の案件形成・審査・監理、アジア・東欧・アフリカ地域のソブリンリスク審査業務を担当。2008年1月 第一生命経済研究所入社。2011年4月主任エコノミストを経て2015年4月より現職。2017年10月より参議院第一特別調査室客員調査員(国際経済・外交、政府開発援助等)(兼務)。 担当は、アジア、オセアニア、中東、アフリカ、ロシア、中南米諸国など、新興国・資源国のマクロ経済及び政治情勢分析。
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