目次
▼今週の振り返り
▼中国インフレ鈍化で緩和期待
▼豪・中で注目イベント多数
▼テクニカル
▼1/17 週のイベント
▼一言コメント
豪州と中国発の手掛かり材料多し
今週の振り返り
米10年債利回りが2年ぶりに1.8%台へと上昇するなど、米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げペース加速が意識されたことで世界的に株価が下落する中、10日には82.33円前後まで下落した。しかし、11日のパウエルFRB議長の上院議会での発言が「危惧していたほどタカ派に傾斜しなかった」と受け止められたことで株価の反発とともに83円台を回復。12日には米12月消費者物価指数がほぼ予想どおりの伸びに収まったことでFRBタカ派化への懸念が一段と後退する格好となり83.60円台へと続伸した。13日には83.74円前後まで上昇する場面もあったが、米国株式市場でハイテク株が大きく崩れると14日のアジア市場にかけて82.60円台に押し戻されるなど再び軟化。14日17時時点では82.85-90円前後で推移しており、週間でほぼ横ばいとなっている。
中国インフレ鈍化で緩和期待
12日に中国で発表された12月消費者物価指数は前年比+1.5%、同生産者物価指数は前年比+10.3%となり、揃って前月から伸びが鈍化。これを受けて、中国人民銀行が金融緩和に動き、減速気味の同国景気を支えるとの期待が高まっている。不動産大手恒大集団の債務問題などを抱える中国が景気重視のスタンスに舵を切るのは、同国を最大の貿易相手とする豪州にとっても悪い話ではないだろう。他方、米国は景気よりも物価(抑制)に重点を置く姿勢を強めている。米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長も13日の議会公聴会で早期の利上げ開始とバランスシートの縮小(QT)に言及した。市場がFRBの早期引き締めを意識しすぎると、株価が崩れて投資家心理が委縮するいわゆる「リスクオフ」の展開になりやすいため注意が必要だろう。経済規模で世界ナンバー1の米国が金融引き締めを志向する一方、ナンバー2の中国は金融緩和を志向するという足元の状況では、豪ドル相場の方向感が定まりにくいのも当然かもしれない。
豪・中で注目イベント多数
25-26日の米連邦公開市場委員会(FOMC)を前に当局者の発言が控えられる「ブラックアウト」期間に入った事もあって、米国の金融政策に関する情報は減少しそうだ。週を通して、超が付くほどの重要な米経済指標の発表もない。一方、中国では20日に人民銀行が政策金利に位置付けているローンプライムレート(LRP)が発表される。大勢は据え置き予想だが、12日の物価統計を受けて、1年物LRPが小幅に引き下げられるとの見方が一部にある。その前、17日に発表される中国10-12月期国内総生産(GDP)にも注目。予想では前年比+3.3%に減速する見通しだ。7-9月期は前年比+4.9%だった。また、20には豪12月雇用統計が発表予定。市場予想は新規雇用者数6.00万人増、失業率4.5%となっている。雇用の改善基調が続くとの予想が多いとはいえ、新型コロナ変異株「オミクロン」の感染拡大の影響も気になるところだろう。労働参加率や新規雇用者数に占める正規雇用者数など、雇用統計の内容を吟味したい。豪ドル相場は、米国発の材料に一喜一憂する展開から、中国発と豪州国内発の材料に一喜一憂する展開へと移りそうだ。
テクニカル
5日移動平均線(5MA)が横ばい、20日移動平均線(20MA)は右上がり、50日移動平均線(50MA)は右下がりと、短期・中期・長期の各線の向きがバラバラで方向感が掴みにくいチャートフェース。各線が揃って上向きになる事で上昇トレンドを示す「パーフェクト・オーダー」を示現するためには、1月5日に付けた84.29円前後の高値を早々に超えて、5MAと50MAが上向きに転じなければならない。一方、下落トレンドに向かうためには20MAが急速に下向きに転じる必要がある。現時点ではどちらの可能性も高くなさそうだ。今後、チャートフェースがどのように変化していくのか、予断を持たずに見極めたい局面と言えるだろう。
予想レンジ:
AUD/JPY:81.50-84.25、 NZD/JPY:76.75-79.25
【豪ドル/円 日足 5MA 20MA 50MA】
出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」
1/17 週のイベント:
1/17週のイベント
17日(月)11:00 中国12月鉱工業生産
17日(月)11:00 中国12月小売売上高
17日(月)11:00 中国10-12月期GDP
20日(木)09:30 豪12月雇用統計
(執筆:神田 卓也)
一言コメント:
17日にメルボルンで開幕する全豪オープンテニスに、第1シードのジョコビッチ選手が出場できない可能性が高まっています。ジョコビッチ選手が新型コロナワクチン未接種である事や、入国書類の虚偽表示などで、入国の判断が二転三転。14日には豪政府が再び入国ビザを取り消す判断をした模様です。プレーヤーはもちろん、見るほうのわれわれもコロナを気にすることなく、心からスポーツを楽しめる日が早く戻ってくる事を切に願います。
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