目次
▼限られたレンジで振幅
▼物価動向巡が材料
▼週後半は連休ムードで動意薄か
▼ドル/円はレンジ下限の下抜けが心配
▼11/8週のイベント
▼一言コメント
112.50円も視野入りしそう、テクニカル的にも下値警戒
限られたレンジで振幅
衆議院選挙での与党大勝を受けた大規模経済対策や財政出動への薄っすらとした期待感から週明けは円売りが先行。ドル/円は114.44円レベルまで上昇幅を拡大しました。しかし、さらに上方向をトライするだけの手掛かりもなく113円半ばへ失速。その後、複数の力強い米経済指標や同金融当局が月額150億ドルのテーパリング(段階的な資産購入縮小)決定を支えに114.20円台まで持ち直したものの、114.50円の壁に再び阻まれると、113円半ばへ押し戻されました。
物価動向巡が材料
米FOMC(連邦公開市場委員会)後の会見で、パウエル議長は「FRBは利上げに対し忍耐強くいれる」、「まだ利上げのタイミングではない」と引き締めに対して慎重姿勢を示しました。利上げの可能性を完全に閉ざしてはいないものの、その道筋は未だ流動的といった感じです。コロナ禍で失われた労働力の78%近くを回復していますが、パウエル議長はまだ不十分と判断している様子です。こうした不安を打ち消すだけの材料が出てくるかどうかが次のポイントになりますが、想定以上の速さで雇用回復が進展する見込みは大きくなく、雇用面から利上げ見通しを速めるデータが揃うのはまだ先になりそうです。ただ、一応、雇用統計の結果を受けたFRB高官の発言には気を付けましょう。 経済指標面では物価データに注目です。一部の投資家は、物価上昇がFRBの見立てから上振れすることへの警戒心を緩めていません。
週後半は連休ムードで動意薄か
足もとの原油価格は伸び悩みつつありますが、価格が急上昇した月の物価統計とあって上振れを心配する声が聞かれます。予想以上の伸びとなれば、恐らく悪い金利上昇と受け止められドルが買われやすくなる一方で、株価には調整圧力がかかりやすくなります。そのときはクロス円を中心に円高の動きが進みそうで、114円半ばから115.00円付近の上値の重たさいったん確認している点を踏まえれば、ドル円は下方向を警戒したほうが無難ではないでしょうか。また、原油価格上昇の流れが一服しつつあることも円売りバイアスを和らげ、円安調整の動きを予感させます。さらには、11日に米国がベテランズデーで休場となるため、早々に休暇ムードが広がるようなら、ポジション調整の動きも上値を抑える一因になるかもしれません。
ドル/円はレンジ下限の下抜けが心配
9月22日安値(109.12円)を起点とする上昇ラインを割り込んで、地合いは緩やかに悪化。10月4日安値(110.82円)を起点とするフィボナッチアークの61.8%ラインに差し掛かるなかで、このラインを支えに早々に上向きの動きを強められなければ、日柄的にも調整色が強まる危険がある。直近安値(113.26円)を割り込めば112.50円程度まで目線が下がる危険があります。
ドル/円-日足;出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」
予想レンジ:
USD/JPY:112.50-115.00
11/8 週のイベント:
11/8(月)14:00日本9月景気先行指数(CI)・速報値
11/8(月)14:00日本9月景気一致指数(CI)・速報値
11/8(月)23:00米国クラリダFRB副議長、講演
11/9(火)00:30米国パウエルFRB議長、講演
11/9(火)-日本10月景気ウオッチャー調査-現状判断DI
11/9(火)-日本10月景気ウオッチャー調査-先行き判断DI
11/9(火)08:30日本9月毎月勤労統計調査-現金給与総額(前年同月比)
11/9(火)08:50日本9月国際収支・経常収支(季調前)
11/9(火)08:50日本9月国際収支・経常収支(季調済)
11/9(火)08:50日本9月国際収支・貿易収支
11/9(火)22:30米国10月卸売物価指数(PPI)(前月比)
11/9(火)22:30米国10月卸売物価指数(PPI)(前年同月比)
11/9(火)22:30米国10月卸売物価指数(PPIコア指数、食品・エネルギー除く)(前月比)
11/9(火)22:30米国10月卸売物価指数(PPIコア指数、食品・エネルギー除く)(前年同月比)
11/10(水)日本特別国会、召集
11/10(水)08:50日本10月マネーストックM2(前年同月比)
11/10(水)21:00米国MBA住宅ローン申請指数(前週比)
11/10(水)22:30米国10月消費者物価指数
11/10(水)22:30米国新規失業保険申請件数
11/10(水)22:30米国失業保険継続受給者数
11/11(木)00:00米国9月卸売売上高(前月比)
11/11(木)-米国 ベテランズデー(退役軍人の日)の祝日ため休場
11/11(木)08:50日本10月国内企業物価指数(前月比)
11/11(木)08:50日本10月国内企業物価指数(前年同月比)
11/13(土)00:00米国11月ミシガン大学消費者態度指数・速報値
(執筆:小野 直人)
一言コメント:
米製薬大手のメルクが開発したコロナ飲み薬「モルヌピラビル」が、英国で世界初めて承認されました。入院リスクを半減させる効果が期待できるという。今後、米国や日本でも申請するとあって、コロナウイルスへの対抗策が徐々に増えつつあるのは心強い。
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