今週はFOMCがありました。事前予想の通り、政策金利を据え置いた上で、テーパリング(資産購入の段階的縮小)の開始を決定しました。現在は月額1200億ドルのペースで進めている資産購入について、11月から毎月150億ドルずつ減額をしていく方針を示しました。
FOMCの声明文では、インフレの加速について、前回は「一時的な要因」という表現になっていたものを、今回は「一時的と予想される要因」という表現に変えていますが、それほど大きな違いではないと思います。
また、FOMC後の会見でパウエルFRB議長は、「まだ利上げのタイミングではない」「FRBは利上げに関して忍耐強くいることができる」と発言しています。つまり、当面利上げはしないと言っているということです。すべて想定の範囲内という感じですので、どちらというと材料で尽くし感が広がっているということではないかと思います。
現在の市場の関心はアメリカの金融政策に集まっていますので、アメリカの長期金利の動きにFX市場も大きな影響を受けます。ここのところの、アメリカ10年物国債の利回りの推移を見てみると、1.7%台まで一旦上昇しましたが、その後は失速し、現在は1.5%台でうろうろしています。今後の推移が注目ですが、FOMC関連は一旦影響が終わったと思います。
次の注目材料ですが、本日発表されるアメリカの雇用統計10月分です。市場予想は失業率が4.7%、非農業部門就業者数が前月比19.4万人の増加となっています。特に非農業部門就業者数の結果が重要で、予想より多いか少ないかで相場展開が変わってきます。予想より多ければ、ドル高に、また少なければドル安に反応すると思いますが、余程予想からかけ離れた結果にならなければ、影響は限定的だろうと見ています。
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今井雅人 氏
1962年生まれ、岐阜県下呂市出身。上智大学卒業後、1985年に三和銀行入行、1987年よりディーリングの世界に入る。1989年から5年間シカゴに赴任、その間多くの著名トレーダーと出会う。日本に戻ってからは為替部門に従事。2004年3月までUFJ銀行の為替部門の統括次長兼チーフディーラーを勤めていたが、同年4月に独立。内外の投資家にも太いパイプを持ち、業界を代表するトレーダーとして活躍するが、2009年8月第45回衆議院選挙に立候補し、初当選。現在は、経済アナリスト活動など多忙な毎日を送る。元東京外為市場委員会委員、東京フォレックスクラブ理事歴任。株式会社マットキャピタルマネージメント代表取締役。
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