原油高を背景に堅調な資源国通貨。怖いのは中国と中東…
エネルギー価格が支え
前週に引き続き世界的なエネルギー不足からエネルギー価格が上昇したことで、資源国通貨である豪ドル、NZドルは上値を追う展開に。豪ドル円は20日に5月10日の85.80円を上抜けると、86.25円まで上値を伸ばし年初来高値を更新。NZドル円も18日の四半期消費者物価指数(CPI)が2011年の第3四半期以来の高水準となったこともあり82.50円まで上値を伸ばしました。ただ21日になると、約3週間ぶりに取引を再開した中国恒大集団の株価が大幅安となったほか、米国での暖冬予想による原油価格の下落を受けて、このところ堅調に上昇を続けてきた調整もあり豪ドル円、NZドル円ともに下落。豪ドル円は84.89円、NZドル円は81.25円まで値を下げました。
ロックダウン解除!!
世界最長の日数(合計262日間)を記録していたビクトリア(VIC)州メルボルンでのロックダウンが21日についに解除されました。先日ロックダウンが解除されたニューサウスウェールズ(NSW)州シドニーと豪2大都市を抱える両州の経済回復に大きな期待が寄せられます。経済指標では豪で27日に7-9月期四半期CPI、29日には9月小売売上高の発表が予定されています。前回の3-6月期CPIでは前年比+3.8%と高い数値となったものの、豪準備銀行(RBA)が重視するトリム平均は前年比+1.6%とRBAの目標としている2-3%には達せず。今回発表される7-9月期に関しては、NSW州やVIC州を除いた州ではロックダウン解除後に力強い反発が見られたことや、8月下旬から原油価格が上昇したこと、隣国ニュージーランドのCPIが予想を大幅に上回る結果だったことなどを背景に改善の予想(トリム平均(前年比): +1.8%)となっています。2%を超えてくるとRBAの予想している「2023年末に2%を若干上回る程度」を大幅に早められる可能性が出てきて、次回のRBA理事会(11月2日)で政策スタンスがタカ派よりになる期待が高まる可能性があります。小売売上高は前回(8月分)ロックダウン解除後の地域の力強い反発により予想(前月比:-2.5%)を上回る同-1.7%と改善を見せていました。今回は5月以来の前月比プラスの予想となっています。ただ、今回の期間中、豪2大都市(シドニーとメルボルン)を含むNSW州とVIC州は依然としてロックダウン下にあったため、結果がマイナスとなる可能性もあります。0%に近いマイナスであれば、市場は「改善傾向」として捉えると思われます。どちらにしろ、現在の豪ドルはロックダウン解除による将来への期待と上昇するエネルギー価格が支えとなっていますでの、9月までの経済指標の結果はよほど酷くない限り、ネガティブ要因は材料視されにくいと考えています。
中国発、デフォルトリスク…
中国恒大集団の9月23日期限だった社債支払期限がついにやってきました(10月23日)。21日に約3週間ぶりに取引を再開したものの、傘下の恒大物業集団の株式の売却協議に失敗したことで資金繰りも厳しくなっているため、デフォルト(債務不履行)リスクが高まっています。これまでのところ、欧米勢は材料視してきませんでしたし、中国政府も「不動産市場でのリスクは管理可能」と表明しているので、世界的なショックを引き起こす可能性は低いと思われますが、週明けの市場参加者が少ないオセアニア時間に中国と交易関係の強い豪ドルやNZドルが暴落ということもあり得ますので十分ご注意を。
OPECプラスには要警戒
世界的なエネルギー不足への懸念が今週も豪ドル相場の支えとなりました。21日には米国の暖冬予想が出たことで大きく値を下げる場面も見られましたが、北半球の冬にかけてエネルギー需要の増加、ワクチン接種の加速からの航空需要の増加などもあり、今後も原油をはじめとしたエネルギー価格はしっかりとした動きになりそうです。警戒すべきはOPECプラス。10月4日の会合では段階的な減産幅縮小方針の維持の姿勢を貫きましたが、原油高から世界的なインフレ加速を懸念する声が世界中から出てきており、これにOPECプラスが応える形で減産幅を縮小することになると、これまで買われ過ぎ感があった原油価格も大きく売りで反応することになると思います。それによって豪ドル、NZドルも大きく値を下げる可能性があります。基本は買いの姿勢維持で変わりはないですが、ストップロスのオーダーは忘れずに。また、大きく下げ始めた場合は、「落ちてくるナイフは掴むな」の相場格言通り、値ごろ感からの買いは様子見。市場が落ち着いてから見極めましょう。
週足で三役好転!?
豪ドル円は執筆時点で週足一目均衡表での三役好転(①転換線が基準線を上抜ける。②ローソク足が雲の上。③遅行線がローソク足の上。)が仮点灯となっています。確定となれば、近いところでは2018年2月5日高値の87.50円が一つの目安となりそうです。その上の水準となると心理的な節目となる90.00円を試す動きとなりそうです。一方で下値は、日足一目の転換線や基準線が目途となりそうです。
【豪ドル円、週足・一目均衡表】
予想レンジ:
AUD/JPY:83.00-88.00、NZD/JPY:80.00-84.00
10/25 週のイベント:
10/25 (月) NZ 休場
10/27 (水) 06:45 NZ 9月貿易収支
10/27 (水) 09:00 NZ 10月NBNZ企業信頼感
10/27 (水) 09:30 豪 7-9月期四半期消費者物価(CPI)(前年同期比)
10/28 (木) 09:30 豪 7-9月期四半期輸入物価指数 (前期比)
10/29 (金) 09:30 豪 9月小売売上高(前月比)
10/29 (金) 09:30 豪 7-9月期四半期卸売物価指数(PPI)(前年同期比)
(執筆:中村 勉)
一言コメント:
一時期、登山にハマっていた時期がありました。当時は富士山を1合目から登ったり、100km歩くイベントに出たりと色々な山に登りました。当時意識していたことは、「無理のない行程」と「自然が相手なので調子に乗らない事」。生活環境が変わったり、新型コロナだったりとここ数年はなかなか山に行かれていないのですが、落ち着いたらまた行きたいな~とは思っています。ただ、運動不足&体重増で「無理のない行程」なんて言ったら高尾山に登って帰りはケーブルカーでしょうか(流石にそこまでは…と思いますが)。まずは運動して体重を落とすことですね。
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