▼「全会一致で利下げ」の背景
▼次回の利下げは5月?
▼メキシコペソの予想
「全会一致で利下げ」の背景
前回1月のこのリポートでメキシコ中央銀行の利下げの可能性について書きましたが2月11日の会合でメキシコ中銀は政策金利を0.25%引き下げて4%としました。
前回12月の会合では3対2で据え置きとなりましたが、今回は全会一致の決定となりました。今回はレオン総裁、エスピノーサ副総裁というタカ派のメンバーも利下げに賛成し、新しく加わったボルハ副総裁も賛成に回りました。
それではなぜタカ派の2人が利下げに賛成したのでしょうか。まずはメキシコの物価が安定していることが挙げられます。
2月9日に発表された1月の消費者物価指数は前月比0.86%と12月の0.38%、予想の0.78%を上回りました。前年比でも3.54%と12月の3.15%、予想の3.46%を上回りじわりと物価が上昇しました。
とはいえメキシコ中央銀行のインフレ目標である1%±1%は下回っています。メキシコのインフレ率は2020年の8~10月は小幅に4%を上回りましたが、その後は3%台で推移しています。2019年7月以降ほぼ4%を下回る水準で推移しており物価は安定しています。
次回の利下げは5月?
一方で1月29日に発表された2020年10~12月期のGDPは前期比3.1%となり成長は維持しましたが、7~9月期の12.1%からは成長が鈍化しています。
GDPを前年比でみると4.5%の減少です。
2月11日に発表された12月の鉱工業生産は前月比0.1%増加と11月の1.1%、予想の0.4%からは生産が鈍化しました。
このように経済の回復が鈍化し、景気低迷の継続が今回の利下げの理由だった可能性が高いと思います。
声明文では中立姿勢を維持しています。ただ今回はタカ派メンバー二人が利下げに賛成し全会一致であったことを考えると理事会のスタンスは中立からハト派に傾いている可能性もあります。
今後の金融政策はメキシコの経済成長の回復次第だと思われます。2月24日に12月小売売上高、25日に10~12月期GDP、3月9日に2月の消費者物価指数、3月12日に1月の鉱工業生産の発表があり注目されます。
数字次第ではありますが3月25日の政策理事会では据え置きではないかとみています。利下げがあるとすればその後の5月13日の会合に注目しています。
ペソがやや下落する中で利下げ思惑がペソ安をさらに加速させるのか、3月と5月のメキシコ中銀の会合が注目されます。
メキシコペソの予想
ドル/メキシコペソは1月21日に19.549ペソまで下落しましたがそのレベルがサポートされ1月29日に20.60付近まで上昇しました。ドル売りの流れを受けて2月15日に19.8920ペソまで下落しましたが19日には20.526ペソまで上昇し20.43ペソ付近で終了しました。
2月11日の利下げ後にドル/メキシコペソは下落していますから、利下げ自体がペソ安の材料になった可能性は低いと思います。ただ今回の利下げだけでなく理事会自体がハト派に傾き3月か、5月の利下げを市場が織り込み始めてペソがジワリと売られている可能性はあります。
20ペソ付近に一目均衡豹の雲の下限、基準線、25日移動平均線が位置し短期的に重要なサポートと思われます。ここが維持されれば上昇トレンドは継続と予想します。20.85ペソ付近が下落前のサポートとレベルとなり、ここが上抜けできなければ20~20.85ペソのレンジを予想します。
ペソ/円は前回書いたように(2月の高値6.011円~4月の安値4.222円のフィボナッチ・リトレースメント38.2%戻しの5.325円付近がレジスタンスとなっています)5.3円付近が依然として長期的なレジスタンスとして機能しています。
ペソ/円は5.17円付近まで下落していますが、依然として高値圏で推移しています。しかし5.3円付近が上抜けできなければ5~5.3円のレンジが継続するものと予想します。
短期的には5.1円付近がサポート、ここを下抜けすれば5円付近への下落を予想します。
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