目次
▼11日(水)の為替相場
(1):英MPC 50bpの緊急利下げを決定
(2):英経済指標 伸び悩む
(3):メルケル独首相「欧州で強調した経済的な対応が必要」
(4):英300億ポンド規模の経済対策
(5):WHOテドロス事務局長「パンデミックに相当する」
11日(水)の為替相場
(1):英MPC 50bpの緊急利下げを決定
英中銀(BOE)の金融政策委員会(MPC)が全会一致で50bp(0.5%)の緊急利下げを決定し、政策金利は0.25%となった。決定直後はポンドが急落したものの、その後は利下げ前の水準へ値を戻した。 その後、ラガルド欧州中銀(ECB)総裁が「ECBはあらゆる手段を講じる」と発言。続いてカーニーBOE総裁の「英国のためにあらゆる必要な追加措置を講じる」との発言や、ベイリーBOE次期総裁の「必要ならばBOEは1.25%の利下げやその他措置を含めたさらなる政策余地がある」などの発言が伝わった。
(2):英経済指標 伸び悩む
英1月国内総生産(GDP)は前月比±0.0%、英1月鉱工業生産指数は前月比-0.1%となり、予想(+0.2%、+0.3%)には届かなかった。一方、英1月貿易収支は37.2億ポンドの赤字と、赤字額が予想(70億ポンドの赤字)を下回った。
(3):メルケル独首相「欧州で強調した経済的な対応が必要」
新型コロナウイルスの感染拡大を巡り、メルケル独首相が「感染が国民の70%にまで広がる可能性がある」との認識を示し、「欧州で協調した経済的な対応が必要」と表明した。
(4):英300億ポンド規模の経済対策
米2月消費者物価指数は前月比+0.1%、前年比+2.3%、食品とエネルギーを除いたコア指数は前年比+2.4%となり、それぞれ予想(±0.0%、+2.2%、+2.3%)を上回る伸びとなった。その後、スナック英財務相が300億ポンド規模の景気刺激策を盛り込んだ新年度予算を発表し、「英国の健全と経済安定を保つためにあらゆることを行う」 と表明したがポンドの値動きは限られた。
(5):WHOテドロス事務局長「パンデミックに相当する」
世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は、新型コロナウイルス感染拡大を受けて「パンデミック(世界的な大流行)に相当する」と表明した。これを受けて米国株が大幅に下落したが、ドルは米長期金利の上昇に支えられて下値が堅かった。
11日(水)の株・債権・商品市場&外為注文情報
ドル/円の見通し:
不安定な値動きが続く公算
昨日のドル/円は、約1.1%下落して104円台半ばでクローズ。荒い値動きが続いているものの、前日の3.1%高、前々日の2.8%安に比べればやや落ち着いたとも言える。NY市場では、世界保健機関(WHO)が新型コロナウイルスについて「パンデミック(世界的大流行)」に相当すると表明した事などからダウ平均が1500ドル近く下落したが、ドル/円は104円台を維持した。米政府が新型コロナウイルス対応で大規模な刺激策を打ち出すとの観測から米長期金利が上昇した事に支えられたようだ。
なお、このあと日本時間10時からトランプ米大統領が経済や医療の問題について演説を行う予定となっており、市場の注目が集まっている。また、豪、米、英など主要国の中銀が金融緩和に動く中、本日は欧州中銀(ECB)がこれに続くと見られている。ただ、利下げ幅は10bp(0.1%)程度と見られており、効果を疑問視する声も少なくない。ドル/円は、これらの材料に振らされながら本日も不安定な値動きが続く公算が大きく、想定レンジは引き続き広めに見ておきたい。