(1)
豪12月雇用統計は、新規雇用者数が2.89万人増と予想(1.00万人増)を上回り、失業率も5.1%と予想(5.2%)より低かった。これを受けて豪ドルは買いが強まったものの、中国で発生した新型肺炎の感染拡大が懸念される中で上値は限られた。その後、上海総合指数が翌日に旧正月休暇入りを控えて下落。香港・ハンセン指数も大幅に下落するなどアジア株が崩れる中、豪ドル/円はじりじりと上値を削った。
(2)
欧州中銀(ECB)は予想通りに金融政策の現状維持を発表。「インフレが目標に近づくまで政策金利を現行かさらに低い水準にする」とのフォワードガイダンスも維持した。その後、ラガルドECB総裁が記者会見を行い「基調インフレに緩やかな上昇の兆しがある」と述べた事に反応してユーロが上昇したが、その後は急反落。ラガルド総裁が「非常に緩和的な政策が長期に渡り必要」「必要ならあらゆる手段を講じる用意」などと表明した事でユーロ買いの機運が急速に萎んだ。
(3)
新型肺炎の感染拡大懸念が広がる中、米国株が寄付きから下落。ドル/円やクロス円はリスク回避の円買いで下値を拡大した。ただ、午後に入り米国株が持ち直すと円に売り戻しの動きが入った。なお、世界保健機関(WHO)は新型肺炎を巡り、「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」の宣言を見送った。
ドル/円の見通し
昨日のドル/円は、終値ベースで約0.3%下落。中国で発生した新型肺炎の感染拡大が懸念される中、リスク回避の円買いが強まり一時109.27円前後まで下値を切り下げた。その後は109円台半ばまで持ち直しているが、中国が本日から旧正月(春節)休みに入る事でさらなる感染拡大への警戒感が募る中、大幅な戻りは期待できそうにない。109円台後半の上値では戻り売りが待ち構えていると見られる。
もっとも、昨日の欧米株式市場はアジア市場に比べると底堅く推移した。世界保健機関(WHO)も「緊急事態」の宣言を見送り様子見姿勢を示した。現時点では、新型肺炎が世界経済に及ぼす負の影響を市場が過度に懸念しているようには見えない。そうした中ではドル/円の下押し圧力が著しく強まる事も考えにくく109円台は維持されよう。