(1)
米中通商協議への過度な期待が剥落した事や、香港の反政府デモに収束の兆しが見えない事を嫌気して欧州株が軟化。独・仏長期金利の低下に連れて米長期金利も低下する中、ドル/円やクロス円は弱含んだ。
(2)
英10月消費者物価指数は前月比-0.2%、前年比+1.5%と予想(-0.1%、+1.6%)を下回った。ただ、食品とエネルギーを除いたコア指数は前年比+1.7%と予想通りの伸びとなった。また、英10月生産者物価指数は前年比+0.8%に留まり、予想(+0.9%)に届かなかった。
(3)
ユーロ圏9月鉱工業生産は前月比+0.1%となり、前月(+0.4%)から伸びは鈍化したものの、予想(-0.2%)に反して増加した。
(4)
米10月消費者物価指数は前月比+0.4%、前年比+1.8%と予想(+0.3%、+1.7%)を上回ったが、コア指数は前年比+2.3%と予想(+2.4%)を下回る伸びに留まった。
(5)
パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長による議会証言の原稿が公表され「景気に関する最新情報がわれわれの見通しとおおむね一致する状況が続く限り、現在の金融政策スタンスが適切であり続ける公算が大きい」「ただし、この見通しに対し留意すべきリスクは残る」などとする見解が明らかになった。ただ、これまでの見解と相違なく新味に乏しい内容であり、市場の反応は限られた。
(6)
米WSJ紙は、米中通商協議が農産物購入を巡り「暗礁に乗り上げた」と報じた。WSJによると、中国側は米国を一方的に優先する合意は望んでいないとの立場を明示。中国高官は「状況が悪化すれば、中国はいつでも購入を停止できる」と述べた。
ドル/円の見通し
昨日のドル/円は、米中通商協議を巡る楽観的な見方が後退する中、調整含みの推移となり、一時108.60円台まで下落した。米紙が「米中協議は農産物購入を巡り暗礁に乗り上げた」などと報じた事が重しとなった。ただ、米国株が持ち直したため下値追求の動きは見られず小戻しており、20日移動平均線や日足一目均衡表の転換線にサポートされた格好。
本日は、中国で10月鉱工業生産や10月小売売上高の発表が予定されている他、独7-9月期国内総生産(GDP)・速報値が発表される。両国ともに景気減速が懸念されているだけに、グローバルな市場センチメントへの影響が気になるところで、主要株式市場の反応に注目したい。また、米国では10月生産者物価指数や前週分の新規失業保険申請件数が発表される。ドル/円は、これらを踏まえて108.70-80円前後に切り上がったサポートを維持できるかが焦点となろう。サポートを維持できれば、109円台の早期回復も見込める一方、仮に下抜けるようなら日足一目均衡表の基準線が通る108.20円台まで下値余地が広がりそうだ。