(1)
豪ドルは、豪9月住宅建設許可件数が前月比+7.6%と予想(±0.0%)を上回った事を受けて上昇。しかし、直後に中国10月製造業PMIが49.3と予想および前回(いずれも49.8)を下回ったため小反落した。
(2)
日銀は、金融政策の現状維持を決めた一方、声明文中で少なくとも2020年春頃まで低金利を維持としていた金融緩和のフォワードガイダンスを「物価安定の目標に向けたモメンタムが損なわれる惧れに注意が必要な間、現在の長短金利の水準、または、それを下回る水準で推移することを想定」に変更。黒田日銀総裁はその後の会見で「(追加緩和時の副作用について)政策コストがあるから追加緩和できないとは考えていない」「必要ならマイナス金利の深掘りは可能 」などと発言した。
(3)
一部通信社が関係者の話として「中国、トランプ政権との長期の貿易合意到達を疑問視」と報じると米中通商協議への懸念が再燃し円が全面的に上昇。中でも豪ドル/円が最も大きく下落した。
(4)
ユーロ圏7-9月期域内総生産(GDP)・速報値は前年比+1.1%と予想通りに4-6月期(+1.2%)から微減速となった。同時に発表されたユーロ圏10月消費者物価指数(HICP)・速報値は前年比+0.7%となり、前月(+0.8%)から伸びが鈍化した。
(5)
米9月個人消費支出(PCE)は前月比+0.2%と予想(+0.3%)を下回る伸びに留まった。同個人消費支出価格指数(PCEデフレーター)は食品とエネルギーを除いたコア指数で前年比+1.7%と予想通りだった。
(6)
米10月シカゴPMIは43.2と予想(48.0)を大きく下回り約4年ぶりの低水準に落ち込んだ。米中問題への懸念も相まって米国株が下落し、米債利回りが低下する中、リスク回避の円買いが進んだ。
ドル/円の見通し
昨日のドル/円は終値ベースで約0.8%下落。「中国はトランプ米大統領との長期的貿易合意の実現性に疑念」とする一部報道をきっかけに108円台前半へと下げ足を速め、弱めの米経済指標が相次いだNY市場では108円台を割り込む場面もあった。
本日は米10月雇用統計と米10月ISM製造業景況指数に注目。雇用統計は、ゼネラルモーターズ(GM)の長期ストライキの影響などで非農業部門雇用者数の伸びが8.5万人に留まると予想されている。ISM製造業景況指数は、前回から持ち直す見込み(予想48.9、前回47.8)だが、昨日はISM製造業景況指数の先行指標のひとつであるシカゴPMIが約4年ぶりの低水準に落ち込んだ。本日の雇用統計とISM製造業景況指数の結果を受けて米景気減速への不安が再燃しないか警戒される。
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