(1)
英最大野党・労働党のコービン党首が「総選挙実施を支持する条件が整った」と表明した事を受けて12月に総選挙が行われる可能性が高まった。選挙によって政治の混乱が収束し、欧州連合(EU)離脱問題にも決着が着くとの期待からポンドが上昇した。なお、その後英下院は12月12日に総選挙を実施する法案を賛成多数で可決。上院への送付を経て成立する見込みとなった。
(2)
米10月消費者信頼感指数は125.9と、市場予想(128.0)を下回り前回(126.3)から低下した。調査・発表元のコンファレンス・ボード社は、「消費者は今後の景気と雇用にやや懸念を持っている」と指摘したが、「景況感は依然良好で、年末の消費を減らす兆しは見えない」との見解を示した。
(3)
米中通商協議を巡る「第1段階」の合意文書署名が、チリで11月に開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)に間に合わない可能性が出てきたとする米政府当局者の見解が伝わると、豪ドル/円やドル/円が小幅に下落した。ただ、合意が崩れたわけではなく、単に準備ができないだけだとも伝わったためすぐに下げを解消した。
ドル/円の見通し
昨日のドル/円は終値ベースで0.1%未満の小幅安。米連邦公開市場委員会(FOMC)の金融政策発表を前にした調整と見られ、一日の値幅は30銭ほどに留まった。本日のFOMCでは25bp(0.25%)の利下げがほぼ確実。もっとも、これは市場も織り込み済みで、焦点は次回以降の追加利下げに対するスタンスとなる。9月FOMCの議事録で緩和策の終了時期について議論した事が明らかとなっただけに、「予防的利下げ」は今回で終了するとの見方も少なくない。声明やパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の会見で利下げ打ち止め感が広がればドルは買われる公算が大きい。一方、利下げ打ち止めには踏み込まず「適切に行動する」構えを維持すればドルは売られそうだ。
なお、本日は、FOMCの前に米10月ADP全国雇用者数や米7-9月期国内総生産(GDP)・速報値などの重要統計も発表が予定されている。本日のドル/円は、これらの重要イベントに逐次反応しつつ方向感を模索する事になるだろう。
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