(1)
米中は、10月前半にワシントンで閣僚級通商協議を開催する事に合意。9月半ばに準備協議を行う他、双方が良好な環境づくりに取り組む事で合意した。これを受けて米中の対立懸念が和らぐと、対豪ドルを中心に円売りが優勢となった。なお、その後に発表された豪7月貿易収支は72.68億豪ドルの黒字となり、黒字額が予想(70.00億豪ドル)を上回った。
(2)
欧州市場に入るとポンドやユーロが上昇。昨日の英議会の決定により、英国の欧州連合(EU)離脱=Brexitを巡る「合意なき離脱」への懸念が後退した事が改めて意識された。
(3)
米8月ADP全国雇用者数は19.5万人増と市場予想(14.8万人増)を上回る伸びとなった。翌日の米8月雇用統計への期待が広がり、ドルが買われた。
(4)
米8月ISM非製造業景況指数は56.4と、市場予想(54.0)を上回り前回(53.7)から上昇した。米景気後退懸念が弱まりドル買いが加速すると、ドル/円はほぼ1カ月ぶりに107円台を回復した。
(5)
「合意なき離脱」の強行を議会に封じられ、解散総選挙案も否決されたジョンソン英首相は国民向けの演説を行い、EUにBrexitの延期を求めるくらいなら「野垂れ死んだほうがまし」と明言。「われわれは10月31日にEUから離脱しなければならない」と主張した。
ドル/円の見通し
昨日のドル/円は終値ベースで約0.5%上昇した。米中貿易戦争や英国の欧州連合(EU)離脱=Brexitを巡る不透明感が薄れる中、市場心理の改善とともに円安が進行。米8月ISM非製造業景況指数が予想を上回った事を受けてドルが買われると、約1カ月ぶりに107.20円台まで上値を伸ばした。
米経済は、貿易戦争の影響で製造業の業況悪化が目立つ一方、非製造業(サービス業)は、旺盛な消費意欲に支えられて堅調を維持しているようだ。その消費を支えるのが好調な雇用情勢であり、それを確認する上でも本日の米8月雇用統計は極めて重要となろう。良好な結果となれば、過度な米景気失速懸念はひとまず後退しそうだ。なお、主な項目の市場予想は、非農業部門雇用者数16.0万人増、失業率3.7%、平均時給は前月比+0.3%、前年比+3.0%などとなっている。なお、昨日発表された米8月ADP全国雇用者数は予想(14.8万人増)を上回る19.5万人増を記録した。