総括
9月利下げ観測あるが貿易戦争次第
予想レンジ 5.2-5.7
(ポイント)
*8月と違って9月利下げ予想が出ているが、貿易戦争次第だろう
*8月製造業PMI悪化
*大統領は政策運営の成果を強調
*S&Pはペメックスを格下げ、国の格付け見通しを引き下げ
*来週予算案を発表
*政府・中銀が19年GDP伸び率見通しを下方修正
*中銀はインフレ見通しも下方修正
*2Qは危うくリセッションを免れるが経済はまだ弱い
*IMFやS&Pも成長見通しを下方修正
*大統領の支持率はピークより低下したが依然60-70%はある
*今後の焦点は弱い成長と財政問題となる
*米国の対メキシコ関税賦課は無期限延期された
*メキシコ政府は対米緊張もあり中国へ接近している
*ペメックスが新油田開発
.*米墨貿易は米からの輸出も2430億ドルあり、報復関税合戦では米国にも痛手
(大統領が成果強調)
ロペスオブラドール大統領は、政権発足後9カ月間の施政について年次教書演説を行い、現政権の成果として以下を挙げた。
・米国の追加関税を回避
・高級官僚の給与カットなどによる歳出削減により1,450億ペソを節税
・燃料盗難対策により、2019年4月には2018年11月比で盗難量が95%減少
・30万人の新規雇用を創出
・メキシコシティ新空港の建設中止。
経済面では、GDP成長率が目標を大きく下回る水準で推移していることに触れ、「確かに経済はほとんど成長していないが、後退もしていない。一方で、富の分配はより公正になっているため、国の発展と福祉の充実は進んでいる」とし、低成長を認めるかたちとなったが、具体策は示さなかった。
(8月製造業PMI悪化、8年半ぶりの低水準)
8月の製造業PMIは49.0となり、7月の49.8を下回って、2011年4月以来約8年半ぶりの低水準を記録した。前月比低下は3カ月連続だった。
内需の弱まりと低調な企業心理が経済を圧迫していることが示された。最近の国内総生産(GDP)統計で今年前半に景気後退に陥るのをかろうじて避けられたと判明した後で、また新たに心配な材料が出てきた
(次期金融政策決定は)
本誌では8月利下げに言及していたが、市場は据え置きを予想し8月利下げは意外なものとなった。9月の政策金利決定では、中銀は、今年の経済見通しを事実上、ゼロ成長に下方修正し、景気停滞は消費と投資を中心に大半の分野で需要が弱いことを反映しているとする15日の政策会合議事要旨を公表したことで、9月も利下げがあるとの観測が高まっている。
(南アはエスコム、メキシコはペメックス)
ムーディーズは、メキシコ国営石油会社ペメックスは収益性の見込める事業に関しては、政府からさらなる支援が必要だとの考えを示した。
ロペスオブラドール大統領は、ペメックス立て直しのために何でもすると約束している。ただムーディーズは、ペメックスが利益を得られる探査・生産事業にはなおより多くの資金が不可欠だと強調した。
またムーディーズは、政府がペメックスの合弁相手を募集する競争入札や、民間石油会社に石油・天然ガスプロジェクトで独自の開発権を付与するための入札を復活させれば、事態改善につながると提案した。これらの入札は、ロペスオブラドール氏が実施を停止した。
(次期予算は)
エレラ財務公債相は、近く発表する来年の予算案を念頭に、財政政策は世界経済の見通しを踏まえて慎重かつ自己規律のある形で運営していくと表明した。
同国政府は9月8に2020年予算案を提示する予定。市場はロペスオブラドール大統領が今後どのように経済のかじ取りを続けていくのかを探る手掛かりとして、注目するとみられる。メキシコ中央銀行も直近の声明で、予算案は「信頼感を生み出す」内容でなければならないと強調している。
こうした中でエレラ氏は「われわれは非常に注意深い態度を取り、そしてマクロ経済の面で責任を持ち、財政規律を保つ必要がある」と発言。一方で予算案について、今年政府が掲げている基礎的財政黒字の国内総生産(GDP)比1%という目標を来年は修正する余地があることも示唆した。
テクニカル分析
6連続陽線でボリバン下限下抜きから上位へ
日足、6連続陽線。ボリバン下限から上位へ。9月4日-5日の上昇ラインを下に切る。
9月3日-4日の上昇ラインがサポート。7月31日-9月5日の下降ラインが上値抵抗。
5日線上向き。
週足。ボリバン下限を一時下抜くもバンド内へ戻してきている。8月12日週-19日週の下降ラインを上抜く。7月8日週-29日週の下降ラインが上値抵抗。8月26日週-9月2日週の上昇ラインがサポート。
月足。雲の.下での推移続く。19年6月-7月の上昇ラインを下抜く。19年4月-5月の下降ラインが上値抵抗。ボリバン下限下抜きから戻す。
年足。16年-18年の上昇ラインを下抜く。14年-15年の下降ラインが上値抵抗。
VAMOS MEXICO
メキシコ国境の壁建設費 在日米軍基地からも約430億円転用
トランプ大統領が公約に掲げる、メキシコとの国境沿いの壁の建設に転用される国防予算について、国防総省は東京や沖縄の在日アメリカ軍基地からも、格納庫の建設費など日本円にしておよそ430億円を転用することを明らかにした。
メキシコとの国境沿いの壁の建設をめぐっては、アメリカ国防総省が36億ドル、日本円にして3800億円余りの国防予算を転用することを決めていて、壁の建設費に充てる予算の内訳を発表した。この中で在日アメリカ軍の5つの基地からも4億ドル余り、日本円にしておよそ430億円を転用することを明らかにした。
具体的には、東京の横田基地から、輸送機の格納庫や機体の整備施設の建設費など合わせておよそ126億円、沖縄の嘉手納基地から、特殊部隊用の航空機の格納庫の建設費など合わせておよそ94億円、山口県の岩国基地から、給油施設の建設費など合わせておよそ68億円などとなっている。
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