
アルファベット(Alphabet)傘下の中心企業であるグーグル(Google)は、検索事業の盤石な基盤を背景に、生成AI(人工知能)への大規模な投資を通じて新たな成長フェーズに突入しています。直近決算の2025年(FY25)4Qの売上高は113,769百万ドルと1,000億ドルを突破するなど、圧倒的な規模感を示しつつ、クラウド事業の黒字化や生成AIによる検索体験の進化が加速しています。同社の実力について、最新データをもとに2026年(FY26)1Qの業績予想をしてみましょう。
(1)グーグル(Google)の最新業績と2026年(FY26)1Qの予想
最近のグーグル(Google)の業績トレンドは、一言で言えば「巨額投資と高成長の並走」です。四半期ベースで見ると、売上高は着実に右肩上がりを続けており、特に直近の2025年(FY25)4Qは113,769百万ドルに達し、前年同期比18.0%増と成長率が加速しています。
一方で、営業利益率は2025年(FY25)3Qの34.1%から4Qは28.5%へと、一時的に低下しています。これは年末商戦に伴うコスト増や、AIインフラへの先行投資が会計上の費用として反映され始めたためと考えられます。
次期2026年(FY26)1Qの市場コンセンサス予想については、概ね売上高の継続的な成長と利益率の緩やかな回復が見込まれています。


※EPS=希薄化後一株当たり利益 ※PER=株価収益率 ※PBR=株価純資産倍率
次なるステージを迎えた生成AI収益化
私の予想では、2026年(FY26)1Qの売上高は、前年同期比20.6%増の108,500百万ドルを見込んでいます。市場が最も期待しているのは、検索エンジンに組み込まれた生成AIが広告単価をどれだけ引き上げるか、そしてGoogleクラウドにおけるAIソリューションが、法人需要をどれだけ取り込めるかという点です。成長の再加速は、もはや生成AIが「コスト」ではなく「稼ぐ武器」になったことを証明するでしょう。
減価償却費の重圧
一方で懸念材料は利益の伸びです。2025年(FY25)に行ったデータセンターへの天文学的な投資は、今後「減価償却費」として重くのしかかります。2026年(FY26)1Qの当期純利益成長率を、あえてマイナス予想にしたのは、これら固定費の増加と、前年同期(FY25 1Q)が税効果などで、利益が大きく膨らんでいたことによる反動を考慮したためです。売上は伸びるが、利益の「伸び」は一時的に鈍化するということを、市場がどう評価するかが鍵となります。


(2)売上高の動向
売上高は、通期ベースで見ると2021年(FY21)から2025年(FY25)にかけて力強い増加傾向にあります。特に2025年(FY25)は、対前年比15.1%増の402,836百万ドルとなり、ついに4,000億ドルの大台を突破しました。

四半期ベースでも2024年(FY24)2Qの84,640百万ドルから2025年(FY25)4Qの113,769百万ドルまで一度も途切れることなく拡大しています。2026年(FY26)1Q予想も108,500百万ドルと、季節要因による4Qからの微減はあるものの、前年同期比で20%超の成長を見込んでおり、拡大基調は極めて強固です。

(3)営業利益の動向
営業利益は2022年(FY22)に一時マイナス7.4%の減益を記録したものの、その後は急回復し、2024年(FY24)は33.3%増、2025年(FY25)には14.8%増の129,039百万ドルに達しました。営業利益率は30%台を維持しており、世界最高水準の収益性を誇っています。

2025年(FY25)4Qには投資の影響で利益率が28.5%まで低下しましたが、2026年(FY26)1Qには効率化が進み33.0%まで回復すると分析しています。

(4)当期純利益の動向
当期純利益も営業利益と同様に、2022年(FY22)の落ち込みを乗り越えて、2025年(FY25)には前年比32.0%増の132,170百万ドルという驚異的な利益を計上しました。


2026年(FY26)1Qは前年同期の利益水準が非常に高かったため、成長率こそマイナス予想ですが、金額ベースでは32,550百万ドルと、引き続き極めて高い水準を維持する見通しです。
(5)株主価値指標の動き
株価が会社の価値に対して「割安」か、それとも「割高」か、株主にとって重要な判断指標を見ていきます。
1)EPS(希薄化後の一株当たり利益)
EPS(一株当たり利益)は、会社が1株に対してどれだけの利益を稼いだかを示す指標です。2022年(FY22)の4.56ドルから2025年(FY25)の10.81ドルへと、数年で2倍以上に拡大しており、株主が受け取る価値は飛躍的に高まっています。

2)PER(株価収益率)
PERは株価が利益の何倍まで買われているかという「期待値」です。2022年(FY22)の19.30倍から2025年(FY25)は28.96倍まで上昇しました。これはグーグル(Google)のAI戦略に対する市場の期待が年々高まっていることを表しています。

3)PBR(株価純資産倍率)
PBRは会社の純資産に対して株価が何倍かを示す指標です。2022年(FY22)の5.10倍から2025年(FY25)には9.11倍まで上昇しています。資産をどれだけ効率的に使って市場価値を生み出しているかが評価されています。
(6)貸借対照表から見る「財務の安定性」


貸借対照表は、会社の「財産(資産)」「借金(負債)」「返済不要の自分のお金(純資産)」のバランスを示す会社の「健康診断書」です。
1)資産の動向
資産合計は2020年(FY20)の319,616百万ドルから、2025年(FY25)には595,281百万ドルへと、5年間で約1.9倍に拡大しました。中身を見ると、現金などの「流動資産」よりも、データセンターなどの「固定資産」の伸びが著しいことがわかります。特に2024年(FY24)の286,545百万ドルから2025年(FY25)には389,243百万ドルへと、1年間で約102,698百万ドルもの大幅な増加を見せています。この固定資産の急激な積み上がりは、AI開発競争において優位に立つためのデータセンターや高性能サーバー、GPUといったインフラ設備への集中投資を表しています。総資産がこれほど短期間で急拡大した主因は、将来の成長基盤に対する戦略的な投資にあります。
2)負債の動向
負債合計は2025年(FY25)に180,016百万ドルとなりました。前年(FY24)の125,172百万ドルから大きく増加しています。特に注目すべきは「固定負債(長期借金など)」の動向です。2024年(FY24)の36,050百万ドルから、2025年(FY25)には77,271百万ドルと急増し、1年間で2倍以上になっています。これはAI関連の巨額投資を加速させるために、低金利環境を活かした長期的な資金調達を積極的に行った戦略的な動きと分析できます。負債は増加しましたが、歩調を合わせるようにバランスよく総資産も拡大しています。これは会社の成長を加速させるための前向きなレバレッジ(テコ)となるでしょう。
3)純資産の動向
純資産は一貫して増え続けており、2025年(FY25)には415,265百万ドルに達しました。負債も増えていますが、それ以上に本業で稼いだ利益が蓄積(内部留保)されているため、会社の土台となる自分のお金は非常に厚くなっています。
4)流動比率の動向
流動比率は「1年以内に払うべきお金」に対して「1年以内に現金化できる資産」がどれだけあるかを示します。100%を超えれば安全とされますが、グーグル(Google)は2025年(FY25)時点で200.53%と極めて高い水準です。一時180%台まで低下しましたが、2025年(FY25)には、再び200%台を回復しており、短期的な支払い能力に不安はありません。
5)自己資本比率の動向
自己資本比率は、すべての資産のうち「返済不要な自分のお金」が占める割合です。40%あれば優良企業とされます。グーグル(Google)は一貫して70%前後を維持しています。2025年(FY25)は積極的な借入により69.76%とわずかに低下しましたが、依然として世界でもトップクラスの財務健全性を誇っています。
(7)キャッシュフロー計算書から見る「事業の健全性」


最後にキャッシュフロー計算書を確認しましょう。キャッシュフロー計算書は、会社の「お金の家計簿」。お金の流れを3つの活動に分けて見ていきます。
1)営業キャッシュフロー(営業CF)
営業CFは2020年(FY20)の65,124百万ドルから2025年(FY25)の164,713百万ドルまで、驚異的な勢いで増え続けています。2025年(FY25)通期ベースの実績値は、2024年(FY24)に対して131.5%の進捗となっており、稼ぐ力が一段とパワーアップしています。
2)投資キャッシュフロー(投資CF)
投資CFは、2025年(FY25)にマイナス120,291百万ドルと過去最大のマイナス幅を記録しました。これは2024年(FY24)のマイナス45,536百万ドルに対して264.2%という驚くべき支出増です。グーグル(Google)がどれだけ本気でAIインフラに資金を投じているのか、この投資CFの急拡大から読み取れます。
3)財務キャッシュフロー(財務CF)
財務CFは2025年(FY25)にマイナス37,388百万ドルの支出となりました。2024年(FY24)のマイナス79,733百万ドルと比較すると進捗率は46.9%に留まります。これは稼いだキャッシュの多くをAIインフラへの超大型投資(投資CF)に振り向けたため、自社株買いなどの財務的な支出を、一時的に抑えたか、あるいは戦略的に借入を増やした結果と考えられます。
(8)AIインフラへの「攻めの投資」が結実する新局面か?
これまでの分析からも明らかなように、アルファベット(Alphabet)の中心企業であるグーグル(Google)は今、歴史的な投資サイクルの"真っ只中"にあります。私は2026年(FY26)1Qの業績予想を売上高が108,500百万ドル、営業利益が35,805百万ドルと、非常に高い水準を見込んでいます。
同社を評価する場合、単に「利益の増減」を見るだけでは不十分です。
収益性:営業利益率30%超を維持できるビジネスモデルの強さ。
成長性:売上規模4,000億ドルを超えてなお、20%成長を予感させるAIの爆発力。
財務の安定性:自己資本比率70%を維持しつつ、巨額投資を自前で賄える鉄壁さ。
2026年(FY26)1Qは、これまでに投じた巨額の投資が、どれだけ効率的に売上と利益に変換されているのかを確認する「四半期」となるでしょう。新局面を迎えたのかどうか、まさに真価が問われています。短期的には減価償却費などのコスト増は避けられませんが、それは未来の利益への「確かな架け橋」です。投資家は目先の利益成長率の鈍化に惑わされず、同社の圧倒的なキャッシュ創出力と財務の安定性に裏打ちされた「未来への布石」に注目してください。
岩田仙吉(いわたせんきち)氏株式会社タートルズ代表/テクニカルアナリスト
2004年、東京工業大学から一橋大学へ編入学。専門は数理経済学。卒業後、FX会社のシステムトレードプロジェクトのリーダーになり、プラットフォーム開発および自動売買プログラムの開発に従事。その後、金融系ベンチャーの立ち上げに参画。より多くの人に金融のことを知ってほしいと思い金融教育コンテンツの制作に集中するために会社を創業。現在は、ハイリスク・ハイリターンの投資手法ではなく、初心者でも長く続けられるリスクを抑えた投資手法を研究中。
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