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【FX/為替】2月11日のアメリカ 雇用統計の予想と戦略「例年なら予想比上振れが優勢だが...、医療分野の鈍化が今後警戒される可能性も」2026年2月号-By 外為どっとコム総研 #外為ドキッ

 

例年なら予想比上振れが優勢だが...、医療分野の鈍化が今後警戒される可能性も

はじめに-鈍化傾向の一服感も

更新日時:2026年2月12日 12時15分(データを更新)

執筆日時:2026年2月9日 14時40分 

執筆者 :株式会社外為どっとコム総合研究所 小野 直人

 

2026年2月11日(当初予定の2月6日から延期)に、アメリカの1月分の雇用統計が発表されます。アメリカの労働市場は深刻な状況とまでは言えないものの、企業の採用意欲が限定される中、これまで好調だったヘルスケア分野が今後減速する可能性もあり、先行きへの不安は残ります。過去10年間では1月のNFP(非農業部門雇用者数)は市場予想を上回るケースが多かったのですが、今年もその流れを引き継いで好調な数字となるのか、それともアノマリーに反して弱い結果となるのか注目されます。

まずは前回の内容を振り返ります。

前回のおさらい-1月利下げ期待は後退

1月9日に発表されたアメリカの12月非農業部門雇用者数(NFP)は5.0万人と、市場予想の7.0万人を下回り、雇用者数の伸びは鈍化しました。内訳では、小売業や派遣サービス業が減少した一方、ヘルスケア分野は引き続き労働市場を支えました。また、10・11月分は合計で7.6万人下方修正され、雇用創出の減速傾向が継続していることを示唆しました。一方、失業率は前回の4.6%から4.4%へ改善し、労働市場の底堅さも示されています。今回の結果は強弱入り混じる内容となりましたが、決定的な悪化を示すものではなかったため、市場では1月FOMCでの利下げ見送り観測が一段と強まりました。


図表1.分野別新規雇用者数(千人)出所:データ米国労働省

 

各市場の反応

【為替市場】

失業率の改善を受けて、157.788円まで上昇した後は、NFPの鈍化が重しとなり157.404円まで下落しました。その後、フロー主導で157.372円までレンジ下限を広げましたが、「高市首相が23日召集予定の通常国会冒頭で解散を検討」との報道を受けると、円売りが強まり、米ドル/円は158.189円まで上昇しました。

【株式市場】

米主要3指数は揃って上昇。雇用情勢の改善が鈍い中で、今後もFRBが利下げを実施するとの期待感が相場を下支えしました。

  • ダウ平均:前日比 +0.48%(+237.96)で 49,504.07ドル
  • ナスダック総合:前日比 +0.81%(+191.33)で 23,671.35
  • S&P500種株価指数:前日比 +0.65%(+44.82)で 6,966.28

【金市場】

金スポット相場は上昇。12月雇用統計の内容を受けて米ドルがさえない展開となったことが支えとなり4517ドル付近まで上昇しました。

 

図表2.前回発表前後のドル円の動き
USDJPY5分足チャート
米ドル/円 5分足
出所:外為どっとコム「ネオチャート

雇用市場の現状と予測

米国雇用市場は完全雇用に近い水準を維持しているものの、企業の採用意欲は明確に減退しており、需給の逼迫感は着実に緩和しています。求人件数は一時的に底打ちの兆しを見せたものの、再び軟化に転じるなど、雇用創出の勢いには停滞感が漂います。レイオフが低水準に留まっていることで失業保険申請件数は安定していますが、新規採用の抑制により労働市場のダイナミズムは低下していると言わざるを得ません。

2月11日に発表予定の1月分NFP(非農業部門雇用者数)は、7万人増と限定的な伸びに留まる見込みです。例年1月分は季節調整の影響で上振れしやすい傾向にありますが、広範な採用抑制や景気先行指標の弱さを踏まえると、過度な期待は禁物であり、上振れ余地は限定的と考えられます。

 

図表3.雇用者数変化に関連するデータ

雇用関連データの推移
出所:各種公表データを基に外為総研が作成
※失業保険データは、雇用統計調査週の分

 

年次改定の影響

今回の雇用統計は、単月の数字以上に「年次改定」の行方が重要です。2025年3月時点の雇用者数が約91万人も下方修正される見通しが出ており、過去のデータが大幅に塗り替えられる可能性があります。「実は過去から雇用は弱かった」という事実が突きつけられれば、市場心理を一気に冷え込ませる、いわゆる「ネガティブ・サプライズ」への警戒が必要です。ただし、NFP・失業率と同時刻に発表されるかは不明で、NFP・失業率の動きを一通り消化した後に、改めて市場が動意付く展開もあります。

 

図表4.過去10年分の1月NFPの市場予想と初回結果

求人に関するデータの推移
データ:米国労働省
※単位:万人
黄色は市場予想を上回った年

先行きへの懸念:ヘルスケア部門の変調

これまで労働市場の牽引役を担ってきた「教育・ヘルスケア」分野ですが、今後は成長鈍化への警戒が必要です。特に雇用創出の要であるヘルスケア部門の先行きを占う上で、政府の政策変更が大きな懸念材料となっています。

具体的には、政府による「メディケア・アドバンテージ」への支払い金の引き上げ幅が、2027年は前年比0.09%に抑制される見通しである点が挙げられます。この実質的な拠出制限は保険会社の収益を圧迫し、医療サービス提供者への支払い余力を奪うことにつながります。ヘルスケア分野の雇用の10~20%がメディケア・アドバンテージに関連していると見積もられる中、医療機関が採用計画を慎重化させるリスクは小さくありません。

景気後退局面でも底堅い「ディフェンシブ産業」の代表格であった同部門ですが、収益構造の変化に伴う雇用調整は遅れて顕在化する性質があります。今後の雇用統計を評価する上で、同部門の減速は最大の注目点となるでしょう。

 

図表5.メディケア・アドバンス加入者と政府拠出金、ヘルスケア分野の雇用増加数推移

求人に関するデータの推移
データ:各調査期間
※単位:万人

まとめ

「解雇は少ないが採用も増えない」という、パウエル議長が指摘する労働需要の軟化が鮮明になっています。年次改定による「過去のデータの書き換え」と「主力部門(ヘルスケア)の変調」が今後の大きなリスク要因です。

戦略

■ 1. 米ドル/円(FX)の戦略

- 弱いNFPを想定した戻り売り戦略が有利

- 158.00〜158.50円:戻り売りゾーン

- 156.00円:利確目安

- 強いNFPが出た場合は一時的に160円方向へ跳ねる可能性もあるが、

→ 追いかけ買いはリスクが高い

■ 2. 株式市場の戦略

 株式市場の方向性

- 弱いNFP → 株高(利下げ期待)

- 強いNFP → 株高(景気の底堅さ)

- つまり、株式は「どちらでも買われやすい」地合い

ただし、

- 年次改定で大幅下方修正が出た場合

→ 市場が一時的にリスクオフへ傾く可能性

■ 3. 金(ゴールド)の戦略

金は「ドル安+利下げ期待」で強含みやすい

- 雇用が弱い → ドル安 → 金上昇

- 利下げ期待 → 金利低下 → 金に追い風

- 年次改定で雇用が弱く見える → 金にプラス

➡ 金は構造的に買われやすい環境

- 押し目買いが基本戦略

- 4750〜4800ドル:押し目買いゾーン

- 5200ドル:利確目安

- 雇用統計が強くても下落は限定的

→ 下がったら買われやすい

 

図表6.ドル/円チャート

USDJPY日足チャート
米ドル/円 日足
出所:外為どっとコム「ネオチャート

付随データ

図表7.[雇用統計の実績と予想]

年月 非農業雇用者数変化(万人) 失業率(%)
予想値 初回結果 予想値 初回結果
2026年01 7.0 13.0 4.4 4.3
2025年12月 7.0 5.0 4.5 4.4
2025年11月 5.0 6.4 4.5 4.6
2025年10月 - -10.5 - -
2025年09月 5.0 11.9 4.3 4.4
2025年08月 7.0 2.2 4.3 4.3

 

年月 平均時給/前月比(%) 労働参加率(%)
予想値 初回結果 初回結果
2026年01月 0.3 0.4 62.5
2025年12月 0.3 0.3 62.4
2025年11月 0.3 0.1 62.5
2025年10月 0.3 0.4 -
2025年09月 0.3 0.2 62.4
2025年08月 0.3 0.3 62.3

 

◇関連の経済データ実績

年月 ISM製造業雇用指数 ISM非製造業雇用指数
2026年01 48.1 50.3
2025年12 44.9 52.0
2025年11月 44.0 48.9
2025年10月 46.0 48.2
2025年09月 45.3 47.2
2025年08月 43.8 46.5

出所:Bloomberg、外為どっとコム「経済指標カレンダー

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