
【年明け】ドル円相場の見通し
年明けの米ドル相場は、一進一退の展開が予想されます。米連邦準備制度理事会(FRB)が昨年末までに利下げを進めたことを受け、市場では「1月の会合では政策金利が据え置かれる」との見方が優勢です。そのため、当面は米国の、「米長期金利の方向性」「エネルギー価格の動向」「各国の政策に関するニュース」という3つの要因が相場の方向性を探る材料となるでしょう。
次回の連邦公開市場委員会(FOMC)は1月27日~28日に予定されています。金利先物市場の動向を見ても、現時点で大幅な政策変更を織り込む動きは見られません。インフレ指標に目を向けると、昨年11月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比+2.7%、個人消費支出(PCE)デフレーターは同+2.8%と、インフレの鈍化傾向は明らかです。しかし、FRBが目標とする2%に完全に落ち着くまでには、まだ時間が必要でしょう。
ベネズエラ情勢、為替にどう影響するか?
米政府は1月3日~4日にかけて、ベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領を短時間の地上作戦によって拘束したと発表しました。ホワイトハウスはこの作戦について「侵攻や長期的な駐留を目的としたものではない」と説明し、あくまで限定的なものであることを強調しています。
この出来事は、ベネズエラの原油輸出などに一時的な不透明感をもたらしました。しかし、米エネルギー情報局(EIA)が年初に公表した見通しでは、「2026年まで世界の原油在庫は増加傾向にあり、ブレント原油価格はおおむね1バレル55ドル近辺で推移する」と予測されています。つまり、世界の需給バランス全体で見れば、原油価格を押し下げる要因の方が強い状況です。
したがって、今回の作戦がニュース速報として伝わったことで、一時的に原油価格が上昇し、インフレ懸念が再燃するリスクは残ります。しかし、基本的な見方としては、原油価格の高騰が長く続く可能性は低いと考えられます。為替市場への直接的な影響は、「原油価格の一時的な上昇 → インフレ期待の変化 → 長期金利の反応 → ドル高」という可能性があることは注意が必要です。
データで読み解く:米インフレ鈍化と米雇用減速の綱引き
米国のインフレの動向を見ると、11月のCPIは前年同月比で+2.7%でした。品目別に見ても食料品が+2.6%の上昇にとどまるなど、全体の伸びを抑える項目が増えています。商務省経済分析局(BEA)が発表するPCEデフレーターも、FRBの物価目標である2%に徐々に近づいています。しかし、家賃などの住居費やサービス価格が根強く推移していることを考えると、物価が「2%に定着した」と確信できるまでには至っていません。
米雇用については、失業率が4.6%に上昇したことで、労働市場の緩みが広がりつつあり、これが金利低下への圧力の一因となっています。インフレの鈍化と雇用の減速が同時に進めば、長期金利の上昇は抑えられ、結果としてドル円の上値も重くなる可能性があります。
【2026年ドル円展望】3つの変動要因を踏まえた今後のシナリオとは
今後の為替相場は、「米長期金利の方向性」「エネルギー価格の動向」「各国の政策に関するニュース」という3つの要因が相互に絡み合いながら変動しやすくなるでしょう。
ベネズエラでの作戦は限定的との公式説明があるため、現時点で原油価格が持続的に高騰するというシナリオを基本に置くのは少し早いかもしれません。しかし、輸出や決済の遅延、あるいは対立国(中国やロシアなど)による新たな行動、といった間接的な混乱によって、価格が上振れするリスクは残ります。
基本的な流れとして、インフレ鈍化と米雇用市場の減速が続けば、春以降にFRBが利下げを再開する可能性が高まります。そうなれば日米の金利差が縮まることを通じて、ドルの上値を抑えることになりそうです。逆に、物価や賃金がなかなか下がらず、長期金利が再び上昇するような展開になれば、ドル高・円安への圧力が再燃することも考えられます。
今後の判断にあたっては、FRBをはじめとする政策当局者の発言やエネルギー関連の統計をチェックし、それらのニュースが最終的に「米国の金利にどう影響するのか」という視点に落とし込んで考えることが、肝要と言えます。
【重要カレンダー】注目すべき米経済指標とイベント日程
- 1月9日(金)22:30: 米雇用統計(12月分)
- 1月13日(火)22:30: 米消費者物価指数(CPI・12月分)
- 1月27–28日: 米連邦公開市場委員会(FOMC)
テクニカル分析 - USD/JPY日足チャートの詳細解説
(2026年1月5日時点:USD/JPY 日足 出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」)
11月の高値(157.89円)を意識しつつ、安値を切り上げる底堅い展開です。 短期トレンドを示す「10日移動平均線」は緩やかに上を向いており、価格はその上に位置しています。売られすぎ・買われすぎを判断する「RSI」は50台半ばと、やや強気寄りの中立を示しています。
ドル/円、上がる?下がる?2つの値動きパターン
【上昇パターン】
日足の終値で157.30円を明確に超え、翌日も10日線が上向きを維持している場合です。RSIが60を超えてくれば上昇の勢いが本物と判断しやすくなり、次は157.90円超え、そして158円台前半がターゲットになります。ただし、157円台で「上ヒゲ(一時的に上がって終値で下がる)」が頻発したり、RSIが価格の上昇に追随しない場合は失速のサインです。
【下落パターン】
実体(始値と終値の箱部分)で10日線を割り込み、翌日の反発が弱かった場合です。特に終値で156.20円を下回ると、155円台半ばまで下落する余地が生まれます。RSIが50を割り込み、戻ろうとしても50付近で頭打ちになるなら「戻り売り」が優勢となります。
今週の実践トレード戦略
実際の売買において最も重要なのは、ザラ場(取引時間中)の一時的な動きやヒゲに惑わされず、「終値での定着」をしっかり確認することです。
買いを検討する場合は、157.30円を終値でしっかり超えたことを確認してからエントリーし、157.90円に近づいた段階でRSIが60超えを維持しているかを見て、利益確定か保有継続かを判断します。逆に売りを検討する場合は、ローソク足の実体が10日線を割り込み、翌日の戻りが失敗したタイミングを待ちます。そこから156.20円を終値で割り込んだ際に追撃し、戻りが弱い局面を狙います。
どちらのポジションを持つにせよ、撤退(損切り)の基準は機械的に設けるべきです。「10日線を再び超えてしまった(または割ってしまった)」場合や、「NYクローズ時点で想定と逆行している」場合は迷わず撤退するのが妥当です。RSIは単なる売買シグナルではなく、相場の勢いを裏付ける材料として活用し、価格が節目を抜けた際にRSIも強気・弱気のゾーンに入っているかを確認することで、年始特有の不安定な値動きに振り回されるリスクを減らすことができるでしょう。
リアルFXトレーダーのポジション比率情報

(2026年1月5日時点:USD/JPY 出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」)
ドル円のポジション比率は、買い52%・売り48%と、やや買いが優勢です。ただ、12月29日には買いが58%まで膨らんでいたため、その時と比べれば極端な偏りがある、というほどではありません。
※外為どっとコムのFX口座「外貨ネクストネオ」でお取引をされているお客様のポジション保持情報の比率を可視化しました。FX投資家の生きたデータは、口座開設の後、会員様のみ覧にいただけます。
本サイトに掲載する情報には充分に注意を払っていますが、その内容について保証するものではありません。また本サービスは、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたものであって、投資勧誘を目的として提供するものではありません。投資方針や時期選択等の最終決定はご自身で判断されますようお願いいたします。なお、本サービスの閲覧によって生じたいかなる損害につきましても、株式会社外為どっとコムは一切の責任を負いかねますことをご了承ください。
