円安トレンド再開の兆候と通貨ペア分析【明快!テクニカルレビュー】
動画配信期間:公開日から3カ月間
収録日:2025年9月28日
動画解説
円安方向への動き再開
円安方向に動き始めた感じがある。日銀の利上げ時期の問題はあるものの、いずれ実施されるだろうと考え、円高方向へのブレを個人的に予想していたが、それを背景に円を買う投資家は買うだけ買ってしまったのではないかというのが先週の動きだ。
海外旅行に行くと、円を買うのは様々な意味で無理があると強く感じる。先週のドル円の動きはドルが買われる感じだったが、ユーロ円など他の円通貨ペアを見る限り、やはり円安方向に動きつつある。
日本の実質金利問題
水準的にドル円149円は直近価格帯から円安方向だが、日本の政策金利があまりにも低すぎる。スーパーなどで買い物をすると、CPI上昇は肌感覚で年率10]-15%程度あると感じられ、政策金利は全く追いついていない。実質金利が国際的にもマイナスで円だけ弱い状況のため、時間経過とともに円安への動きが湧き上がってくる。
ドル円の上昇トレンド形成
ドル円は水曜日の陽線に続き木曜日も続伸、金曜日は陰線だが高値を保って週を終えた。これは根が深い円安方向へのトレンドが形成され始めている可能性がある。実体線は上方で保ち、移動平均線は先にゴールデンクロスを実現し、若干扇形に開き始めている。上昇トレンドに入ってきた様相だ。
ユーロ円の堅調な推移
ユーロ円は対円の最も象徴的な通貨ペアだ。売り方が少しずつ買い戻しを入れて戻り高値を何回も更新している動きで、買いで付いていけば良いチャートだ。日中そこそこ動いているため1週間ポジションを持ち切れるかという我慢比べになり、弱い売り方と買い方の綱引きが続いている。
高値圏にあるがなかなか下がらない相場だ。実体線と長期移動平均線の乖離を見ても過去と比較してまだ過熱感には遠く、緩やかな上昇が続いている。MACDはダイバージェンスを継続しているが、これも緩やかな上昇トレンドにありがちなチャートだ。
ポンド円と豪ドル円の比較
ポンド円は先々週金曜日の陰線から週明けにむくむくと立ち直り、終値ベースで寄り付きを上回った。売り方が降参し始めた感じで、MACDもデッドクロスからゴールデンクロスへ上向き基調に変えつつある。
豪ドル円はポンド円に出遅れている。先々週は下押しの動きで、先週水曜日に陽線で戻したがその後しぼんでしまった。ポンド円の方が着々と上値を更新している感じで、豪ドル円は元気がない。どちらを買うかと言われればポンド円で、ボラティリティの低いユーロ円の方がさらに良いという印象だ。
ドルストレートの調整局面
米金利低下でドル安と株高が予想されたが、先週水木とユーロドルで連続陰線となり、ドル安と言っている場合ではない動きとなった。金曜日は陽線で戻したが、実体線の水準が取引価格帯の下方にあり、木曜日に終値ベースで長期移動平均線を割り込んだ。金曜日は戻したが戻りの鈍さが気になる。
水木の連続陰線は見た目以上に重石になる可能性が高い。値段が下がったという安易な理由で買わない方が良く、先週安値を切るようなところがあれば素直に売りでついていくチャートだ。
関税の影響がインフレにつながるのではという論調になると、インフレで金利上昇という流れでドルが買われる可能性もある。ただしそうなると雇用悪化とインフレでスタグフレーションの可能性も出てくる。
ポンドドルも連続陰線に対し金曜日に戻したがチャート的には厳しく、MACDも久しぶりに0ラインを割り込んだ。豪ドル米ドルも同様で、結構下がってしまい全く買いではない状況だ。売りに転じたわけではないが、買うのは厳しい状況となっている。
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井上義教 氏株式会社チャートリーディング 代表取締役 昭和39年東京都生まれ。 昭和63年大阪大学経済学部卒業、同年大和銀行入行、平成3年よりロンドンの証券現法にてディーリング業務に従事。 平成15年に退社するまで為替・債券・スワップ市場を歴任、チーフディーラーとしてチームを統括。 平成28年 株式会社チャートリーディング設立とともに代表取締役に就任。
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