
執筆:外為どっとコム総合研究所 中村 勉
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今週の振り返り
今週の豪ドル/円は96.48円前後で、ニュージーランド(NZ)ドル/円は88.44円前後で週初を迎えました。週末に実施された日本の参院選の結果が「警戒したほど悪くはなかった」との見方から、前週末にかけて売られていた円が買い戻されたことで、22日には豪ドル/円は95.62円前後、NZドル/円は87.44円前後まで下落しました。23日には日米が貿易交渉において関税率が当初の予定よりも低い水準で合意しました。また、米国は欧州連合(EU)とも合意間近、中国とは来週協議をすると報じられていたことで、関税交渉を巡る過度の懸念が後退。リスクセンチメントに敏感な豪ドルやNZドルはこれらの材料を好感し、豪ドル/円は97.14円前後、NZドル/円は88.89円前後まで上昇しました(執筆時)。
注目の豪四半期CPI!
22日に豪中銀(RBA)は今月7-8日に開催した金融政策会合の議事録を公表。市場では25bp(0.25%ポイント)の利下げが予想されていた中で政策金利を据え置いた理由について、「消費者物価が持続的に2.5%に向かうことを確認するために、もう少し情報を待つことが有益である」との認識を示しました。その上で、会合では「追加緩和の適切な時期と規模について焦点が当てられた」と記してありました。豪州の消費者物価指数(CPI)は月次ベースで前年比+2.1%まで低下しており、RBAのインフレ目標(2.0~3.0%)の下限に近付いています。ただ、ブロック総裁は「月次CPIは変動が大きい」「第2四半期のCPIがわれわれの考える通りになり、低下し続けるならば、われわれの道筋の正しさを証明するものとなる」と語り従来通り四半期CPIを重視する姿勢を示しました。
直近の四半期CPIは2四半期連続で+2.4%となり、RBAの目標レンジ中央付近で推移しています。来週は30日に最新の四半期CPIである豪4-6月期CPIが発表されます。市場は前年比+2.2%へインフレの勢いは鈍化すると予想しています。市場予想通りにインフレの鈍化が確認できれば、RBAは次回8月12日の金融政策会合で追加利下げに動くことになりそうです。また予想以上にインフレが鈍化を示した場合、市場が現在織り込んでいるRBAの年内2回の利下げペースがさらに加速する可能性もありますので要注意です。
豪ドル/円のテクニカル分析
豪ドル/円は6月16日以降終値ベースでのサポートとして機能していた日足一目均衡表の転換線をいったん下抜けましたが、同基準線や200日移動平均線(MA)がサポートとなり反発。来週も基準線や200MAが目先の下値目途となりそうです。この水準を下抜けると週足一目均衡表の転換線が94円台後半にありますので意識されそうです。一方上値では、7月15日高値の97.44円前後が目先の上値目途となりそうです。ここを上抜けると、次の上値目途として1月24日高値の98.76円前後が意識されそうです。
【豪ドル/円 日足・一目均衡表と200MA】

予想レンジ:AUD/JPY:94.50-98.50、NZD/JPY:87.00-90.00
7/28週のイベント:
07/30 (水) 10:00 NZ 7月ANZ企業信頼感
07/30 (水) 10:30 豪 6月消費者物価指数(CPI)
07/30 (水) 10:30 豪 4-6月期四半期消費者物価(CPI)
07/30 (水) 10:30 中国 7月製造業購買担当者景気指数(PMI)
07/31 (木) 10:30 豪 4-6月期四半期輸入物価指数
07/31 (木) 10:30 豪 6月住宅建設許可件数
07/31 (木) 10:30 豪 6月小売売上高
08/01 (金) 07:45 NZ 6月住宅建設許可件数
08/01 (金) 10:30 豪 4-6月期四半期卸売物価指数(PPI)
08/01 (金) 10:45 中国 7月財新製造業購買担当者景気指数(PMI)
一言コメント:
東京は猛暑日が続いています。ただ、建物や電車の中はエアコンが効いていて快適に過ごせます。一方で、ロンドンでは地下鉄が「無料のサウナ」と言われるほど熱いようです。原因は古くて狭いトンネルのようなので、簡単に解決できるものではないようです。東京は当面暑い日が続きそうですが、「ロンドンの地下鉄よりはマシ」と言い聞かせて乗り切ろうと思います。
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外為どっとコム総合研究所 情報企画部 為替アナリスト中村 勉(なかむら・つとむ)
米国の大学で学び、帰国後に上田ハーロー(株)へ入社。 8年間カバーディーラーに従事し、顧客サービス開発にも携わる。 2021年10月から(株)外為どっとコム総合研究所へ入社。 優れた英語力とカバーディーラー時代の経験を活かし、レポート、X(Twitter)を通してFX個人投資家向けの情報発信を担当している。
経済番組専門放送局ストックボイスTV『東京マーケットワイド』、ニッポン放送『飯田浩司のOK! Cozy up!』などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。
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