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ドル円見通し:ドルの反発局面が始まっている可能性!?為替マーケットはドル高・円安 2025/7/11(金)志摩力男 FX/為替 #外為ドキッ

 

トランプ関税政策の強硬化:対カナダ35%関税とドル円堅調推移【外為マーケットビュー】

動画配信期間:公開日から2週間

外為市場に長年携わってきたコメンテータが、その日の相場見通しや今後のマーケット展望を解説します。

動画の内容まとめ

ドル円の堅調推移とカナダ関税ニュース

ドル円は今朝がた146.15-20円だったが、現在は堅調な推移となっている。この動きの背景には、トランプ大統領がカナダに対して35%関税を課すとの報道があった。
この報道を受けて、ドルカナダは急騰し、カナダドルが急落した。1.3655程度だったレートが1.3730まで一気に上昇し、現在は1.37前後で推移している。カナダ円では107.15円から瞬間的に106.57円まで急落したが、ドル円の堅調さにより107.11円付近まで戻している。

関税政策の段階的強硬化

トランプ大統領がカナダに対し35%の関税をかけると脅しているとの報道もあるが、実際の発効は8月1日となる。日本には25%関税、韓国には25%という通知が既に届いており、このところ次々と関税に関してトランプ大統領が強気の発言を続けている。
当初は10%が最低限の関税で国ごとに変更するとしていたが、現在は15~20%の包括関税に直面するだろうと語っている。銅に対して50%関税、ブラジルに対しても50%関税、違約金については200%関税という話も出ている。

トランプ大統領、強気姿勢の背景

トランプ大統領が強気になった理由は、関税をかけても現在のところ物価にほとんど影響がなく、金融マーケットへの影響もないことだった。4月2日の施行日後に株価急落、米国債急落、金利急騰、ドル安が発生した際は、トランプ政権が90日間延期の措置を取った。
しかし現在は、半導体好調を主因としてNASDAQ、S&P500が最高値を更新し、米国債も安定、ドルも安定している。この状況により、関税がアメリカ政府の税収になることで、ビッグ・ビューティフル・ビル通過後の大きな財政赤字をファイナンスできると得意になっている。

関税と為替レートの関係

関税と為替レートの関係は以下のような影響が考えられる。まず、貿易収支が変化し、関税によりアメリカの貿易収支が赤字から黒字方向にシフトするため、ドル高円安要因となる。
本来は輸入価格上昇によりアメリカのインフレが上昇し、FRBの政策がタカ派的になることでドル高円安要因となるが、これは現在のところあまり顕在化していない。ただし長期化すると、日本の車メーカーも現在25%の関税を飲み込んでいるが、新型車導入時などに価格を上昇させることでインフレ圧力が高まり、ドル高要因となる。
日本側では、景気下押しにより日銀の金融引き締め政策が頓挫し、しばらく引き締めできないだろうということもあり、為替マーケットはドル高円安になっている。

日本経済への影響試算

一部報道によると、25%関税の日本経済への影響はGDPの約1%程度になるとされている。日本からアメリカへの輸出が約21兆円で、この25%は5~6兆円となり、日本のGDP600兆円に対して0.8%から1%の影響となる。
日本の潜在成長率が0.3~0.5%程度であることを考慮すると、1%のマイナス影響でリセッションに陥る可能性があり、日銀は引き締めできないだろうと予想される。

テクニカル分析と今後の見通し

ドル円は4時間足で見ると、時々リバウンドして148円付近を2回試し、142円台がしっかりとしている。三角持ち合い状態になっているとも言えるが、このところのドル円の強さを見ると、上方向への動きが予想される。
ユーロについては、欧州に対しても近々関税率を申し渡すとトランプ大統領が発言している。カナダが35%であったことから、20~35%のレートになると予想される。
ユーロドルは関税の話になってから上昇一辺倒だったが、1.18付近から軟調に推移している。ベッセント財務長官が1.2に近づくと欧州がガタガタ言い始めるとし、デギンドスECB副総裁も1.2を超えると問題だと発言している。

ドルインデックスの長期トレンドライン

ドルインデックスの月足チャートでは、2011年から引いている長期トレンドラインが現在96.70付近にあり、これは約14年のトレンドラインで強力なサポートとなっている。このサポートラインが有効であれば、一旦もみ合った後、再びドル安に向かう可能性がある。ただし、このサポートラインにぶつかって一度は効いて、ドルの反発局面が始まっている可能性も考慮すべきだ。

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志摩力男氏96_130.jpg 志摩力男 氏
慶應義塾経済学部卒。1988年ー1995年ゴールドマン・サックス、2006-2008年ドイツ証券等、大手金融機関にてプロップトレーダーを歴任、その後香港にてマクロヘッジファンドマネージャー。独立した後も、世界各地の有力トレーダーと交流があり、現在も現役トレーダーとして活躍。
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