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【見通し】ロンドン為替見通し=トランプ米政権が送付する関税率に要警戒か

本日のロンドン為替市場のユーロドルは、本日トランプ米大統領がEU加盟国に送付する関税通知の関税率(15%~20%)への警戒感から軟調推移が予想される。

 EUと米国との貿易交渉では、合意間近との報道があったものの、本日、トランプ米大統領が「EU加盟国は、関税通知を受け取る」と述べていることで、15%から20%程度の関税が課される可能性が高まっている。

 欧米貿易交渉は、10%程度の相互関税で原則合意し、個別協議は継続、という楽観的な見方があったものの、トランプ米政権が一方的に関税率を通知することになった。
 フォンデアライエン欧州委員長は、交渉が決裂した場合は、報復措置を打ち出すと警告していたことで、欧米貿易戦争への警戒感が高まりつつある。

 また、ユーロドルが1.18ドル台に乗せたあたりから、ECB高官によるユーロ高を牽制する発言が聞かれ始めており、伸び悩む展開となっている。ECBは、経済物価見通しの前提条件として、ユーロドルの相場水準を1.11ドルに設定している。
 デギンドスECB副総裁は、ユーロが1.20ドルを超えて上昇すれば政策対応が難しくなる可能性があると指摘し、シムカス・リトアニア中銀総裁も、ユーロ高を注視する必要がある、と述べている。

 ユーロドルが1.20ドルに向けて続伸した場合、トランプ関税とともにユーロ圏の輸出を減少させるため、景況感悪化懸念が高まることになる。また、輸入物価の押し下げにより、インフレ率が目標水準から下振れる可能性を高めることになる

 デギンドスECB副総裁が「ユーロの為替レートが一定の安定を示し、経済成長の観点からこれ以上悪影響を及ぼさないことを望む」と述べていたように、ユーロ高牽制がECBの総意になる可能性には警戒しておきたい。

 ポンドドルは、5月英国内総生産(GDP)で、トランプ関税の影響や8月7日のイングランド銀行金融政策委員会(MPC)での利下げの可能性を探ることになる。

想定レンジ上限
・ユーロドル:1.1829ドル(7/1高値=年初来高値)
・ユーロ円:172.28円(7/9高値=年初来高値)
・ポンドドル:1.3681ドル(7/4高値)
・ポンド円:199.48円(7/8高値=年初来高値)

想定レンジ下限
・ユーロドル:1.1601ドル(日足一目均衡表・基準線)
・ユーロ円:170.37円(日足一目均衡表・転換線)
・ポンドドル:1.3447ドル(日足一目均衡表・雲の上限)
・ポンド円:197.60円(日足一目均衡表・転換線)


(山下)

・提供 DZHフィナンシャルリサーチ