【FX】ドル/円米雇用統計FX売買戦略!7月為替相場はどう動く!? (2025年7月3日(木) 12:00~13:00)
雇用統計・ライブ実践リアルトレード(2025年7月3日(木) 21:00~23:00)
更新日時:2025年7月04日 10時12分(データを更新)
執筆日時:2025年6月30日 13時30分
執筆者 :株式会社外為どっとコム総合研究所 小野 直人
7月3日の米国雇用統計の予想と戦略「米FRB利下げ再開期待なくならず、米ドルの上値は重いか」2025年7月号-By 外為どっとコム総研 #外為ドキッ
はじめに-FRBは労働市場に視線移す
2025年7月3日(木)、日本時間21時30分に米国で6月分の雇用統計が発表されます。パウエル米FRB議長が「FRBは政策調整を行う前に、経済の動向をより深く見極めるのに適した状況にある」としながらも、「インフレが低下し労働市場が軟化した場合、利下げを前倒しする可能性も」と米議会で証言しています。
利下げを急がない姿勢に加え、FRBが利下げに向けて、インフレより雇用情勢をより重視していることを示唆しました。これを受けて金融市場では、年内3回の利下げを織り込み始めています。こうした期待が高まるのかどうか注目されます。では振り返りからです。
前回のおさらい-利下げ再開急かす材料にはならず
・ヘルスケアが雇用を下支え
6月6日に発表された米国の5月非農業部門雇用者数(NFP)は、市場予想の13.0万人を上回る13.9万人となりました。
教育・ヘルスケア・娯楽・宿泊業が事前予想を覆し好調だったことが、全体を押し上げました。一方で、5月2日発表された4月分のNFPは14.7万人(速報値の17.7万人から下方修正)と比べて鈍化し、関税の影響を見極めようと雇用主が採用に慎重な姿勢を示す中で、労働市場の勢いの衰えが浮き彫りとなりました。
また、失業率は4.2%と前月から横ばいだったほか、平均時給の伸びは0.4%上昇したため、FRBによる利下げ再開はまだ先になるとみられました。
図表1.分野別新規雇用者数(千人)※出所:データ米国労働省
各市場の反応
【為替市場】
米ドル/円は145.087円まで上昇しました。
米雇用統計で雇用者数の伸びが鈍化したものの予想を上回り、賃金の伸びも予想を上回ったため、早期の利下げ観測が後退し、長期金利の上昇に伴うドル買いが強まりました。
【株式市場】
米雇用統計の結果が市場予想を上回ったことを受け、景気減速懸念が後退し、投資家心理が改善しました。また、トランプ米大統領が米中通商交渉の再開を発表したことも株式市場を支えました。
ダウ平均は前日比 1.05%(+443.13) 上昇の 42,762.87、
ナスダック総合は前日比 1.20%(+231.50) 上昇の 19,529.95、
S&P500種は前日比 1.03%(+61.06) 上昇の 6,000.36 で取引を終えました。
【金市場】
米雇用統計を受けて米長期金利が上昇し米ドル買いが優勢となった反動で、金は売りが優勢となり、スポット価格は 3,307.18ドル 付近まで下落しました。
また、終値は 3,310ドル 近辺と、前日から 42ドル安い水準で取引を終えました。
図表2.前回発表前後のドル円の動き
米ドル/円 5分足
出所:外為どっとコム「ネオチャート」
今回の見どころ-失業率悪化で、予防的利下げに前進も
・失業率、悪化ペースはどこまで進むか注視
・いずれ利下げ再開へ
高頻度指標である新規失業保険申請件数は小幅に改善しているものの、継続受給者数や労働市場認識格差などは鈍化しています。
また、NFPの6カ月平均を見ると、これまでは安定的とされる10~15万人を上回っていましたが、今回の市場予想値である11万人で計算し直すと、6カ月平均は約12.2万人に減速します。まだ、安定的とされる水準を上回る見込みですが、雇用拡大のペースダウンが一層鮮明になります。
今月のNFPが仮に10万人を下回れば、7月の利下げの可能性は高まりやすくなるでしょう。逆に14万人程度での着地なら、FRBも様子見の姿勢をとるかもしれませんが、それでも半年前と比較すれば労働市場の減速は明らかであり、予断を許さない状況です。
図表3.主な雇用関連指標
出所:各種公表データを基に外為総研が作成
また、失業率の動向も重要です。調査期間中の継続受給者数と失業率の推移を見ると、直近では継続受給者数が月ごとに7万人ずつ増加するのに伴い、小数第3位までの失業率は0.05%ずつ悪化しています。仮にこの傾向が今月も続いた場合、失業率は4.29%となり、四捨五入すれば4.3%となる計算で、これ以上悪化するようであれば、労働市場の減速が顕著と受け止められる可能性があります。
単月の数字にはブレがあるため、7月の利下げに即ゴーサインが出るかどうかは不透明ですが、それでも労働市場の減速トレンドを覆すようなデータが出るとは考えにくく、市場における秋以降の利下げ期待は根強く残るとみられます。そのため、結果が好調だったとしても、米ドルの上値は限定される一方、結果が悪ければ、7月利下げの織り込みが不十分なため、米ドル/円の下落幅が広がるとみられ、イベントリスクは下方向にあると考えています。
図表4.OIS市場でのFOMC各会合の利下げ織り込み度
出所:各種公表データを基に外為総研が作成
図表5.ドル円チャート
米ドル/円 8時間足
出所:外為どっとコム「ネオチャート」
付随データ
図表6.[雇用統計の実績と予想]
年月 | 非農業雇用者数変化(万人) | 失業率(%) | ||
予想値 | 初回結果 | 予想値 | 初回結果 | |
2025年06月 | 11.0 | 14.7 | 4.3 | 4.1 |
2025年05月 | 13.0 | 13.9 | 4.2 | 4.2 |
2025年04月 | 13.0 | 17.7 | 4.2 | 4.2 |
2025年03月 | 14.0 | 22.8 | 4.1 | 4.2 |
2025年02月 | 16.0 | 15.1 | 4.0 | 4.1 |
2025年01月 | 17.0 | 14.3 | 4.1 | 4.0 |
年月 | 平均時給/前月比(%) | 労働参加率(%) | |
予想値 | 初回結果 | 初回結果 | |
2025年06月 | 0.3 | 0.2 | 62.3 |
2025年05月 | 0.3 | 0.4 | 62.4 |
2025年04月 | 0.3 | 0.3 | 62.6 |
2025年03月 | 0.3 | 0.3 | 62.5 |
2025年02月 | 0.3 | 0.3 | 62.4 |
2025年01月 | 0.3 | 0.5 | 62.6 |
◇関連の経済データ実績
年月 | ISM製造業雇用指数 | ISM非製造業雇用指数 |
2025年06月 | 45.0 | 47.2 |
2025年05月 | 46.8 | 50.7 |
2025年04月 | 46.5 | 49.0 |
2025年03月 | 44.7 | 46.2 |
2025年02月 | 47.6 | 53.9 |
2025年01月 | 50.3 | 52.3 |
出所:Bloomberg、外為どっとコム「経済指標カレンダー」
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