為替市場分析:関税問題・地政学的リスク無視の相場動向【明快!テクニカルレビュー】
動画配信期間:公開日から3カ月間
動画解説
相場分析ポイント解説・通貨ペア分析
材料豊富も反応鈍い市場環境
中東情勢と関税問題という重要材料が目白押しの状況下で、FOMC通過と米雇用統計発表も終了しましたが、市場全体にジメジメした雰囲気が漂っています。中東でミサイルが飛び交う状況にも関わらず、為替も株式市場も全く反応を示さない、先週の相場を詳細に観察しても、中東情勢や関税問題に反応する気配は全く見られず、対円では円安、対ドルではあまり動かないという流れが継続しました。
ドル円の見通し
ドル円は先々週の取引価格帯に腰掛けるような状況で推移し、月・火・木・金曜日に陽線を形成しました。木曜日の時点で先々週までの戻り高値を終値ベースで超え、金曜日の陽線でさらに上進しています。実体線が3本の移動平均線の上側に顔を出し、長期移動平均線を捉えたのは5月12日以来となりました。MACDも0ライン上から上進を継続しており、チャート的にはかなり改善された印象です。
ただし、一気に上昇するかは疑問視されるものの、大きな下押しはなくなりつつある状況と評価できます。
ユーロ円の力強い回復とトレードタイミングの重要性
ユーロ円は従来からドル円よりも良好なチャート形状を維持していました。先週は木曜日に週間安値をつけた後、V字型に切り返して168円台まで上昇しました。早期に買いポジションを持っていた投資家は木曜日に損切りを余儀なくされた一方、木曜日の安値確認後に買い直した投資家は良い結果を得られています。この展開は相場観よりもトレードタイミングが勝負の分かれ道となったケースといえます。
ポンド円と豪ドル円の対照的な動き
ポンド円は月曜日に高く引けた後、火曜日の陰線で沈み、水曜日も続落、木曜日から切り返して金曜日は高く引ける展開となりました。この激しい値動きについていくのは困難ですが、チャート的には切り返して高く引け、MACDもゴールデンクロスの兆しを見せているため、売りでエントリーするのは無理がある状況です。
豪ドル円は動きが乏しく、月曜日陽線、火曜日陰線、水曜日陽線、木曜日陰線、金曜日は中途半端な引けとなりました。3本の移動平均線と実体線の関係から大きく売られる展開は考えにくいものの、ユーロ円やドル円と比較すると面白みに欠ける状況です。
対ドル通貨ペアの中途半端な展開
ユーロドルは週央にかけて下落し、週末に向けて切り返しましたが中途半端感が否めません。少なくとも火曜日の陰線を埋めない限り本格的な回復は期待できない状況です。MACDも中途半端な動きを見せており、安値での買いよりも上昇確認後の高値買いの方が安全と考えられます。
ポンドドルも火曜日の陰線のショックを引きずっており、短期と長期の移動平均線が鋭くデッドクロスし、金曜日も中期移動平均線に頭を抑えられる展開となりました。チャートが明確に陰転したわけではありませんが、買いエントリーは困難な状況です。
豪ドル米ドルは戦意喪失感が満載で、先週末にかけて連続陰線、金曜日は長い上髭を伴って安いレベルで引けました。短期・中期移動平均線が狭まる中で上髭を残して下押しされており、買いエントリーは厳しい状況です。
ファンダメンタルズとテクニカルの乖離
ファンダメンタルズ的になぜここで円安なのか疑問視される面もありますが、特にユーロ円でユーロ強・円弱の動きが顕著に表れています。168円台での引けという事実を踏まえると、値持ちするようであれば後から材料が明らかになる可能性があり、円の買いにくさとユーロの相対的な買いやすさが整理される展開が予想されます。
地政学的リスクへの市場の鈍感さ
中東情勢は依然として気になる要素ですが、テレビの映像とFX・株式の動きが全くリンクしていない状況が続いています。株式市場では下落を買い場と捉える参加者が多いような実感があり、地政学的リスクに対する市場の反応は極めて鈍い状況となっています。
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株式会社チャートリーディング 代表取締役 昭和39年東京都生まれ。 昭和63年大阪大学経済学部卒業、同年大和銀行入行、平成3年よりロンドンの証券現法にてディーリング業務に従事。 平成15年に退社するまで為替・債券・スワップ市場を歴任、チーフディーラーとしてチームを統括。 平成28年 株式会社チャートリーディング設立とともに代表取締役に就任。
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