トルコリラの焦点「中銀は引き締め姿勢を堅持...リラは中東緊迫化で上値重い」FX予想　2025/6/20　#外為ドキッ

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トルコリラの焦点

中東に位置するトルコの通貨リラを取り巻く環境を分析し、トルコリラの今後の値動きを予想した。

執筆：株式会社外為どっとコム総合研究所　調査部長　神田卓也 X(Twitter)

トルコ中銀、隠れ利下げも見送りインフレ警戒姿勢を強調

　2025年6月19日、トルコ中央銀行は金融政策決定会合を開催し、市場の予想通りに主要政策金利である1週間物レポ金利を46.00％に据え置く決定を下した。加えて、一部で予想されていた翌日物貸出金利の引き下げ（いわゆる「隠れ利下げ」）も見送り、同金利は49.00％に維持された。同中銀は声明において、「持続的なディスインフレ（インフレ率の鈍化）を通じて物価の安定を達成するまで、引き締め的な政策スタンスを継続する」と明言し、インフレ抑制に対する強い姿勢を改めて強調した。

中東の緊張はトルコ経済のリスク

　しかし、為替市場におけるリラ買いの動きは限定的であった。トルコ中銀は、現在35％前後のインフレ率が年末には24％に鈍化するとの見通しを維持しているが、イスラエルとイランの軍事衝突で原油が値上がり基調にあることから、達成はきわめて困難と見られる。原油高は輸入コストを通じてインフレを押し上げる要因になるとともに、トルコの慢性的な経常赤字をさらに悪化させる懸念もある。中東情勢の緊迫化は、インフレと通貨防衛の両面においてトルコ経済のリスク要因として認識されている。