IMM通貨先物はユーロの一段の後押しか、ポンドは対円でトリプルトップ

ユーロ/円・ポンド/円、地政学リスクで失速

前半は円安に支えられたほか、その後は米ドル安に支えられて、ユーロ/円は166.736円まで上昇しました。一方、ポンド/円は英国の2-4月の賞与を除く週平均賃金が前年比5.2％と市場予想5.4％を下回り、インフレ圧力の後退が示されたうえ、経済成長に対する不透明感もあって上値を伸ばしきれませんでしたが、米ドル安の流れが下支えとなり、194.769円～196.439円で底堅い展開が続いていました。しかし、終盤にイスラエルがイランの軍事施設を攻撃したことが伝わると、ユーロ/円は165円割れ、ポンド/円は194円割れまで急落しました。

（各レート水準は執筆時点のもの）

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※相場動向については、外為どっとコム総研のTEAMハロンズが配信している番組でも解説しています。

ユーロ上昇の余地まだある

ECBの利下げサイクルの終了に近づいているとの見方や、米ドル安の流れがユーロを支えユーロは堅調に推移しています。この先もこれらの要因から、ユーロは底堅い動きを続けそうです。また、シカゴIMM通貨先物市場のユーロのネットロングは約8.3万枚で、過去最大の約21万枚まで距離があることもあり、ユーロのもう一段の押し上げを期待させます。しかし、米国との通商協議の遅れや、地理的に近い中東の地政学リスクが意識されやすいこともあり、底堅さを維持しつつも上値の重さが意識されやすいと考えます。

来週は英国でも金融政策会合が行われます。金利は4.25％に維持される見込みです。注目はメンバーの投票行動になります。前回はメンバー9人中5人が4.25％への引き下げを支持し、他の2人は4％への引き下げ、残る2人は据え置きを支持でした。前回4％への引き下げを支持した2名は今回も引き下げを支持すると思われますが、これらのメンバー以外に引き下げを支持するメンバーがいるかどうかがポイントになります。利下げ支持が増えるようなら、8月利下げが意識されてポンドへの調整圧力となる可能性はあります。また、長期の流動性供給手段であるインデックス長期レポ（ILTR）を来週から拡充すると、中銀が発表しました。流動性供給の手段が拡充されることで、借り入れコストの上昇がより緩やかになる期待があり、こうした点も金利上昇を抑制してポンドの上値を抑えることになるかもしれません。ポンド/円は上値の重さが目立つと考えています。

ポンド/円は今度はトリプルトップ（テクニカル分析）

ユーロ/円は、直近のボックス上限だった165.216円を上抜けして、アセンディングトライアングルの格好になっています。上昇1波の高値164.261円（5月29日）を割り込まずに切り返せれば、上昇5波を描きながら168.00円付近までの上昇が期待されます。しかし、このラインを割り込むと、今回の上昇の起点となった5月23日安値161.083円から上昇幅の半値押しとなる163.91円や、61.8％押しとなる163.24円までの調整が進むことも考えられます。164.25円付近で少額だけ押し目買いをして様子を見たいと考えています。

また、ポンド/円は196.50円付近で三度頭を抑えられており、上方向の重さも感じられます。192.91円付近で推移する200日移動平均線がネックラインに近いこともあり、200日線を割り込むと、190.00円付近まで調整幅が広がる危険があります。200日線付近の動向に注意が必要と思われます。195.50円より上での戻り売りを検討したいと考えています。