米国ではトリプル安という深刻な状況【外為マーケットビュー】
動画配信期:公開日から2週間
外為市場に長年携わってきたコメンテータが、その日の相場見通しや今後のマーケット展望を解説します。
動画の内容まとめ
直近の市場
- ドル円は一時143.28円まで下落したが、朝方に144.40円近くまで急騰
- その後再び143円台に戻る展開となっている
重要ニュース・政策動向
- 日米財務相会合の結果:
- 為替相場は市場で決定されるべきとの認識を再確認
- 現状の為替レートはファンダメンタルズを反映しているとの見解
- このニュースを受けてドル円が一時的に反発したものの、再び下落
経済指標の詳細分析
日本の貿易収支(4月)
- 財務省発表:1,158億円の赤字
- 赤字は継続しているが、円高進行と原油価格下落により赤字幅は大幅に縮小
- 最近は黒字が続いていたが、再び赤字に転じた
英国インフレ指標(4月CPI)
- headline CPI: 前月比1.2%(予想1.1%)、前年比3.5%(予想3.3%)
- Core CPI: 前月比1.4%(予想1.2%)、前年比3.8%(予想3.6%)
- 全ての指標で予想を上回る大幅な上昇
- 上昇要因の詳細:
- ガス・電気・水道料金の引き上げ(4月実施)
- 社会保険料事業者負担の引き上げ
- サービス価格が前年比5.4%上昇
- 航空運賃が27.5%上昇(過去2番目の上昇率、イースター休暇の一時的要因)
通貨市場の動向
ポンドの動き
- CPI上昇を受けてポンド米ドルは一時1.3470まで急上昇
- 8月の利下げ確率が60%から40%に低下
- 現在は1.34台前半まで下落
- ポンド円は192円台中盤まで下落後、193.58円まで戻したが再び下落
長期金利の上昇とその影響
- 日本の超長期金利動向:
- 40年債:3.61%まで上昇
- 30年債:3.16%まで上昇
- 20年債入札が不調だったことが金利上昇の要因
- 債券価格下落により、保有者には不利な状況
- 長期投資家の新規参入の可能性に注目
- 米国の長期金利動向:
- 20年債入札も不調
- 20年債金利が5.11%まで上昇
- トランプ政権の減税・歳出拡大法案への懸念が金利上昇を促進
- 議会で議論されている税制法案に対する懸念が一段と拡大
株式市場ほかCFD銘柄の詳細動向
米国株式市場
- 3指数全てが大幅下落(長期金利上昇、債券・ドル・株のトリプル安)
- ダウ平均: 1.91%下落、41,800ドル台まで下落
- S&P500: 1.61%下落、5,846ポイント
- ナスダック総合: 1.41%下落
- SOX指数: 1.8%下落
- VIX指数: 20.87%まで上昇(久々の20%台)
日本株式市場
- 日経平均: 36,903円(前日37,000円台中盤から下落)
- 米国株安を受けて今日も重い展開が予想される
コモディティ市場ほか
金(ゴールド)市場
- 金スポット価格が3,321ドルまで上昇
- 長期金利上昇と米国財政赤字懸念により避難先需要が拡大
- 通貨ではないが、安全資産としての地位を維持
暗号資産市場
- ビットコインが市場最高値を更新
- 非常に強い動きを見せている
市場分析と今後の見通し
現在の市場構造
- 日米ともに財政懸念から長期金利が上昇
- 米国では特にトリプル安(債券価格下落・ドル下落・株価下落)が発生
- この展開は市場にとって非常に懸念される動き
ドル円のテクニカル分析
- 重要ライン: (収録時)143.75-80円付近にいる(上昇前の反発ポイント)
- 下値シナリオ: サポート割れで143.20円の安値を再び試す可能性
- レンジシナリオ: サポート維持なら143.80円-144.40円のレンジ相場
- 現在のレベルでの攻防が今後の方向性を決定する重要なポイント
市場全体のリスク要因
- 日米の財政状況への懸念拡大
- 長期金利上昇による金融市場への圧迫
- インフレ再燃リスク(特に英国)
- 政策金利動向への影響
結論
現在の市場は複数の懸念材料が重なり合う複雑な状況にある。日米ともに財政懸念から長期金利が上昇し、特に米国ではトリプル安という深刻な状況が発生している。一方で円高が進行し、投資家は金やビットコインなどの代替資産に資金を移している。英国のインフレ再燃も加わり、各国中央銀行の政策運営がより困難になっている。ドル円については重要なサポートライン付近での攻防が続いており、ここでの動向が今後の相場の方向性を大きく左右することになる。
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株式会社ADVANCE代表取締役 米系のシティバンク、英系のスタンダード・チャータード銀行で、20年以上にわたり、為替ディーラーとして活躍。現在は投資情報配信を主業務とする株式会社ADVANCE代表取締役。ドル、ユーロなどメジャー通貨のみならず、アジア通貨をはじめとするエマージング通貨でのディーリングについても造詣が深い。また、海外のトレーダー、ファンド関係者との親交も深い。YouTubeなどで個人投資家に対して為替に関する情報を発信しており、人気を博している。
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