イベント消化で次の材料を探す段階に 【明快!テクニカルレビュー】
動画配信期間:公開日から3カ月間
動画解説
相場分析ポイント解説・通貨ペア分析
## 市場概況
1. 先週は米雇用統計、FOMC、アメリカ・イギリス間の合意、インド-パキスタン間の停戦など重要な材料があったが、結果的に「何もない材料の状態」となり、市場は方向感に欠ける展開
2. 円相場は対ドル、対ユーロともに「内省中」とも表現できる状態で、トレーダーが振り回される展開が続いている
3. 関税-アメリカイギリス間の合意は明るい材料だが、すでに織り込み済みである可能性が高く、短絡的に「株が買われる」とは考えない方が良い
4. FOMCについては、関税の件があり、本来なら金利を下げられる段階だったかもしれないが、慎重姿勢を維持している
## 米国の経済政策と通商関連
1. 米国では関税引き上げによる原資で減税を打ち出し、景気浮揚を図る方針と思われる
2. ただしこの政策がドル買い・売り、株買い・売りのどちらに働くかは見通しにくい状況
3. ベッセント米財務長官は日本との通商交渉の責任者に任命されており、日本の非関税障壁を巡り生産的な交渉を期待していると述べている
4. スコット・ベッセント氏はキー・スクエア・キャピタルの創業者であり、トランプ大統領の経済政策の指南役を務めてきた人物。彼はかつて金融大手のソロス・ファンド・マネジメントでCIOを務めた経験がある
5. ベッセント財務長官は同盟国と貿易協定を結び、その基盤を築いてから中国に対して不均衡な貿易構造を是正するよう集団でアプローチする構想を示している
## 通貨ペア詳細分析
1. **ドル円**:
- 高いところで終値を迎え、下を見て戻ってきたため弱くはない
- MACDも上向きで、長期移動平均線との距離もあり、上値余地がある
- 週末の終値はあまり変わらないが、高い位置をキープしている
2. **ユーロ円**:
- ドル円と全く異なる動きを示している
- 3本の移動平均線が横ばいで推移する中、実体は長期移動平均線の上側にある点が特徴的
- 高値を更新したところから売りが入るが、また戻るというトリッキーな動き
- 0ラインの上側で再びゴールデンクロスとなり、目先は上向きの可能性
3. **ポンド円**:
- 今回のレポートでトップに取り上げられた通貨ペア
- 下を試して戻ってきた後、5月1日と木曜日の陽線が好材料
- 金曜日は下ひげを伴う陽線となり、終値も高値をキープ
- 3月下旬から4月上旬の取引価格帯を超えると、上値余地は小さくない
4. **豪ドル円**:
- 一時の末期的な症状から改善
- 直近は下値上値を切り上げる動きが目立つ
- MACD線も0ラインを超え、実体線が長期移動平均線に接近
- わずかでも長期移動平均線を超えると、チャートの見た目が大きく変わる可能性
- 下値不安より上値余地の方がやや大きいと見られる
5. **対ドル通貨**:
- 全体的にドル高円安方向に動く可能性
- **ユーロドル**:上値が重く、短期移動平均線が蓋をする形に。水曜日の陰線で完全に跳ね返された
- **ポンド・ドル**:下値が固く、木曜日の陰線の翌日に戻す動きが見られる
- **豪ドル米ドル**:先週の陽線の貯金があり、0.64付近での引けは悪くない位置
## 今後の見通しと対応策
1. 多くのトレーダーが苦戦している状況と考えられる
2. 現時点では体力を削るより、しっかりと動く時期に備えて臨戦態勢を整えるべき
3. 大きなポジションを取るより、小ロットで市場の動きを見極める姿勢が重要
## アメリカの通商政策に関する補足
1. トランプ政権の経済政策は目先の経済成長を押し上げると同時に、インフレを再燃させる可能性がある
2. ベッセント財務長官は銀行融資とエネルギー生産の促進に向けた規制緩和や税制改革を提唱している
3. ベッセント財務長官は米国が世界資本にとって「最優先の投資先」だと述べ、トランプ政権の政策がその地位を確固たるものにすると主張している
## 結論
市場は大きな材料出尽くしで方向感に欠ける「内省中」の状態が続いている。為替市場は全体的にトリッキーな動きで明確なトレンドが見えにくい状況だが、ポンド円やSP500など一部には上値を試す動きも見られる。世界情勢では米中貿易関係や米国の関税政策に注目が集まっており、ベッセント財務長官の動向も重要。現時点ではリスクを取りすぎず、相場が明確に動くタイミングに備えて臨戦態勢を整えておくことが賢明である。
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株式会社チャートリーディング 代表取締役 昭和39年東京都生まれ。 昭和63年大阪大学経済学部卒業、同年大和銀行入行、平成3年よりロンドンの証券現法にてディーリング業務に従事。 平成15年に退社するまで為替・債券・スワップ市場を歴任、チーフディーラーとしてチームを統括。 平成28年 株式会社チャートリーディング設立とともに代表取締役に就任。
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