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ドル/円の5月見通し「4カ月連続下落も下値ポイントは維持 円ロング巻き戻しを警戒」

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ドル/円の5月見通し 「4カ月連続下落も下値ポイントは維持 円ロング巻き戻しを警戒」

執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也

 

ドル/円 の基調と予想レンジ

基調
横ばい

予想レンジ
139.750ー148.500円

ドル/円4月の推移

4月のドル/円相場は139.883~150.471円のレンジで推移し、月間の終値ベースで約4.6%下落した(ドル安・円高)。2日(日本時間3日未明)に発表された米国の「相互関税」が予想以上に厳しい内容だったことから、3日には世界的に株価が急落する中、最大で4円程度の円高・ドル安が進行した。10日にも米中貿易戦争の激化を背景に3円超の円高・ドル安が進む場面があった。なお、米国は対中関税を2日に34%、9日に104%、同日にはさらに125%とし、10日には145%へと矢継ぎ早に引き上げた。これに対し、中国は対米関税を10日に34%とし、12日には125%へ引き上げた。さらに、15日には米国の関税への報復として中国の航空会社に対して米ボーイング社の航空機納入を停止するよう指示。こうした中、4月前半は米中貿易戦争がドル安・円高材料として強く意識された。その後、米中の関税合戦は一服したものの、トランプ米大統領がパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の解任に言及したことでドルが続落。SNSでパウエル議長を非難した翌日の22日の東京市場では節目の140.00円を割り込み、昨年9月16日以来の安値となる139.88円前後まで下落した。もっとも、23日にはトランプ米大統領がパウエルFRB議長を解任する意図は全くないと述べて前言を撤回。米国が対中関税の引き下げを検討との報道もあって米中貿易戦争に緩和の兆しが見られる中で143円台を回復した。24日に行われた日米財務相協議では、米国側から「為替の水準や目標、あるいは管理する枠組みなどの話は全くなかった(加藤財務相)」ことが明らかになり、翌25日には144円台を回復する場面もあった。ただ、ドルを買い戻す動きは鈍く、143.06円前後で4月の取引を終えた。

ドル/円 日足チャート

ドル/円4月の四本値

始値 149.917 高値 150.471 安値 139.883 終値 143.060

1日
米3月ISM製造業景況指数は49.0と市場予想(49.5)以上に前回(50.3)から低下し、3カ月ぶりに好不況の分岐点となる50.0を下回った。構成指数では仕入れ価格が69.4と前回(62.4)から急上昇し2022年6月以来の水準を記録した一方で、新規受注(45.2)や雇用(44.7)はそれぞれ前月(48.6、47.6)から大幅に悪化した。同時に発表された米2月JOLTS求人件数は756.8万件と予想や前回(765.8万件、776.2万件)を下回った。

2日
トランプ米大統領は全ての国に一律10%の関税を適用すると発表。その上で、貿易相手国の関税率や非関税障壁を踏まえ、国ごとに「相互関税」を上乗せするとした。主要国の関税率は中国が34%、日本は24%、ユーロ圏は20%など軒並み高いことが判明した。

3日
米3月ISM非製造業景況指数は50.8と市場予想(52.9)以上に前月(53.5)から悪化。構成項目の雇用指数は46.2と前月(53.9)から大幅に低下した。前日の取引終了後にトランプ米大統領が予想以上に厳しい「相互関税」の発動を発表したことも嫌気され、米国株が大幅安となる中、ドル安・円高が進んだ。

7日
中国政府は、4月10日から米国からの全輸入品に34%の関税を課すと発表。トランプ米政権が2日に発動した相互関税への報復措置と見られ、税率は米国の中国に対する相互関税と同率となる。これを受けて世界的な貿易戦争への懸念が強まると、市場にリスク回避ムードが広がった。なお、米3月雇用統計は、非農業部門雇用者数が22.8万人増と市場予想(14.0万人増)を大幅に上回った一方、失業率は4.2%と市場予想(4.1%)を上回って悪化した。平均時給は前月比+0.3%、前年比+3.8%だった(予想+0.3%、+4.0%)。その後、米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は、トランプ政権が2日に打ち出した関税措置の影響について「不確実性が高まり、下振れリスクが高まっているものの、経済は依然として良好な状態にある。インフレ率もまだ2%の目標を上回っている」などとした上で、「われわれは急ぐ必要はないと感じる。金融政策の適切な方向性について結論を出すのは時期尚早だ」として、利下げの判断を急がない姿勢を強調した。

9日
米国は事前の報道通りに中国への関税を104%に引き上げて発動。これに対して中国は「最後まで闘う意思と手段がある」として合計84%(34%に50%を上乗せ)の対米関税措置を発表した。その後トランプ大統領は、この日発動したばかりの相互関税について報復措置を取っていない国に対しては「90日間の一時停止と、この期間中の相互関税を10%に大幅に引き下げる」と発言。一方で、報復措置を取った中国に対しては関税を125%に引き上げると発表した。

10日
米3月消費者物価指数(CPI)は前月比-0.1%、前年比+2.4%とともに市場予想(+0.1%、+2.5%)を下回った。前月比で低下に転じるのは2020年5月以来約5年ぶりとなった。また食品とエネルギーを除いたコアCPIは前年比+2.8%と、2021年3月以来の低い伸びとなり、市場予想(+3.0%)も下回った。その後、ホワイトハウス高官の話として、米政権の対中関税が145%になることが伝わった。前日に発表した125%の関税に、合成麻薬フェンタニルの流入を問題とした20%の関税が追加されることになった。

11日
中国政府は12日から対米関税を84%から125%へ引き上げると発表。その上で「現在の関税率では米製品はもはや中国では売り物にならない」とし、米国が中国に対して関税を賦課し続けても「中国側は取り合わないだろう」との見解を示した。

17日
トランプ米大統領は自身のソーシャルメディアで、「FRBは欧州中銀(ECB)のように、ずっと前に金利を引き下げるべきだった」とし、追加利下げに慎重な姿勢を示しているパウエル議長について「常に遅すぎて間違っている」「解任は早ければ早いほど良い」と投稿した。

21日
トランプ米大統領はソーシャルメディアで「非関税措置の不正行為」のひとつとして為替操作を批判。24日にも開催される日米財務相協議で円安是正が議論されるとの思惑が広がった。その後も「インフレは事実上ゼロ」「今すぐ金利を引き下げない限り、経済は減速する可能性がある」と投稿し、FRBの早期の利下げを再び要求。パウエルFRB議長を「遅すぎる男(Mr. Too Late)」と揶揄した。

22日
ベッセント米財務長官は「米中の関税水準は持続不可能であり、両国の貿易摩擦をめぐる緊張が緩和されるだろう」と発言。米ホワイトハウス報道官も「トランプ大統領は中国との貿易協定に向けた準備を進めている」「中国との関係は良い方向に進んでいる」などと述べた。

25日
米国時間24日午後、ベッセント米財務長官との会談を終えた加藤財務相が会見。為替に関して「引き続き緊密かつ建設的に協議を続けていくことで一致した」とした上で、米国側から「為替の水準や目標、あるいは管理する枠組みなど、そういった話はまったくなかった」と述べた。その後、「中国政府は米国に対する125%の報復関税を巡り、米国からの一部輸入品を対象から除外することを検討している」と伝わった。

28日
讀賣新聞が27日付で、24日の日米財務相会談でベッセント米財務長官が「ドル安・円高が望ましい」と述べたと報じたことについて、三村財務官は「報道は100%事実無根」、加藤財務相は「全くもって事実と反する」と揃って否定した。

30日
米1-3月期国内総生産(GDP)・速報値は前期比年率-0.3%と市場予想(-0.2%)を下回った。マイナス成長は2022年1-3月期以来3年ぶり。ただ、トランプ関税の発動を前に輸入が急増したことがGDPを押し下げており、駆け込み輸入の影響を除けばプラス成長を維持したと見られる。なお、GDPの7割を占める個人消費は1-3月期に前期比年率+1.8%と、好調だった10-12月期の+4.0%から減速したものの、市場予想(+1.2%)を上回った。

各市場4月の推移

5月の日・米注目イベント

ドル/円の5月見通し

 ドル/円相場は年始から4カ月連続で下落。2021年の上昇相場開始以来で初めて、月足チャートに4本連続の陰線が並んだ。上昇相場が終了したシグナルのひとつと見ることもできそうだ。ただ、4月にはトランプ米大統領による関税政策の強化と米連邦準備制度理事会(FRB)の批判で米株安、米ドル安、米債安(金利上昇)のトリプル安に見舞われるなど、市場が激しく混乱する場面があったにもかかわらず昨年9月安値の139.58円前後を下回らなかった。昨年9月安値の139.58円前後は、強い下落シグナルとされる三尊天井(トリプルトップ)の完成に向けた「ネックライン」で、きわめて重要なチャート上の下値ポイントだ。これを維持した上で143円台で4月相場を終えた動きは底堅さを示すものと言えるだろう。ドル/円相場の底堅さの背景には、海外投機筋による円ロングの膨張があったと考えられる。シカゴ・マーカンタイル取引所の国際通貨先物市場(IMM)における投機筋の円の買い越し(ネットロング)は、4月22日時点で約17.8万枚に上り過去最高を更新。投機筋の円買い余地は足元で低下していると考えられる。加えて、トランプ関税の大部分が7月まで発動を猶予されている点や、関税の影響を見極めようとFRBが政策変更(利下げ)に慎重な姿勢を示している点から、ドル売り圧力は4月に比べると低下していると見られる。5月2日に発表される米4月雇用統計や15日の米4月小売売上高が米国の景気減速を示す結果にならない限り、ドル/円が139.58円前後を下抜ける公算は小さいだろう。むしろ、投機筋の円ロングの巻き戻しによる反発を警戒すべきではないだろうか。

株式会社外為どっとコム総合研究所 取締役 調査部長 上席研究員
神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
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